2.初めて作ったホットケーキミックスのクッキー

自己紹介がてら、好きなことの話をする。

私は、お菓子作りが好き。長く続けている趣味だ。

初めて一人でお菓子を作ったのは小学生の時(10歳くらい)だった。

以前友人の家で、友人とそのお母さんと一緒にクッキーを焼いた。生地はホットケーキミックスで作った生地だった。

それまで、ホットケーキミックスはホットケーキを焼くものという認識しかなかったため、これでお菓子が作れるなんて…!と衝撃を受けた。

それからしばらくして、母が怪我で数ヶ月入院した。入院先の病院の同じフロアの患者さんには、とても可愛がってもらっていた。ある日、母とその患者さんたちにお見舞いとしてお菓子を作ろうと思った。

あの、ホットケーキミックスで作るクッキーを。

作り方は教えてもらってなかったが、とにかくクッキーの型で抜けるような、伸ばせる生地が作れればいいと思っていたので、まずはホットケーキを焼く時みたいに卵と牛乳を入れて混ぜた生地に、追加で残りの粉を入れて生地を作って、伸ばして型抜きし、オーブンへ入れた。

今まで家ではお菓子は母と二人で作ったことがあったが、一人で作るのは初めて。でも、失敗をすることなど一切考えていなかった。成功するものだと思っていた。おいしいクッキーが焼けて、お気に入りの箱に詰めて、きっと母もみんなも喜んでくれると…楽しみだった。

しかし、時間がたつにつれてどんどん膨れ上がる生地。クッキーとはかけ離れたものが出来ている。まるでスコーンのようなものが出来上がるのだが、当時はまだスコーンなどというものを知らない。とにかくクッキーではないものが焼きあがってしまった。

オーブンを見つめてどんどん険しい表情になる孫の顔を、近くで見ていた祖母は見逃していなかった。焼きあがった、クッキーではないものを見て、泣きそうになっている私。『せっかく焼いたけどこんなもの持って行けない』と呆然としていると、祖母が「お母さんに持っていくんでしょ?」と声をかけてきた。

『でも、失敗しちゃったから…』というと「美味しそうだよ!頑張って一人で作ったんでしょ?お母さん、絶対に喜んでくれるよ」と優しく背中を撫でてくれて、泣きながら箱に詰めた。

ドキドキしながら病院へ持っていく。怖かった。沢山焼いたけど全部失敗している。こんなの持って行っても迷惑なだけだ…と思いながら行った。でももう病院の目の前。引き返せなかった。

母は、祖母の言葉通りとても喜んでくれた。そして母は嬉しさのあまり、私が他の人に食べてもらうかどうか迷ってる間に、仲良しの患者さんたちに「娘がね、一人で作ってきてくれたの!!」と自慢しに行っていた。

沢山あるからみんなで食べるね、と言われてドキッとした。私がみんなのために作ったことも、母はわかっていたのだ。でも、失敗したものを見られたくなかった。ずっとドキドキしている。

母が蓋をあけると、みんなが「おいしそう!」「すごいね!一人で作ったの?!」と言って、おいしい!と全部食べてくれた。「私たちのために作ってくれてありがとう」と喜んでくれた。大学生くらいのお兄さんは「こんなおいしいお菓子、初めて食べた!」と言ってくれた。

とても嬉しかった。この気持ちも本当。だけど、こんな10歳くらいの子どもにすごく気を使ってくれたのもわかったので、本当に申し訳なかった。(あと、お腹をこわさなかったか心配…)そして悔しくて、夜、布団に丸まって泣いた。わんわん泣いた。

でも、これがきっかけで、もっとおいしいお菓子を作れるようになりたいと思った。本当はリベンジをしたかったのだけど、その前に母の退院が決まってしまい、それは叶わなかった。でも、数ヶ月という短い期間だったけど、娘のように、妹のように、孫のように可愛がってくれたあの人たちには本当に感謝している。

それから20年。しばらくはお菓子屋さんになりたいという夢を持ったこともあったが、それとは違う道を進んでいる。でも、趣味でのお菓子作りは続けていて、派手なお菓子は作れないけれど、それなりにこだわって作っている。最近は自分で納得のいくお菓子がようやく作れるようになった気がする。

私が作ったお菓子を好きだと言ってくれる人もいるし、なんといっても母が一番喜んでくれる。家族がおいしく食べてくれる。それが嬉しい。

私が作ったお菓子を食べて、「幸せな気持ちになれる」と言ってくれる人もいる。食べてくれる人が笑顔になってくれるのが嬉しくて作っているので、そういってもらえると私も幸せな気持ちになる。

そして、もっと喜んでもらえるように頑張ろう!と、今も特訓中だ。



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