「今の小片リサ」の集大成を観た 〜End roll #2新宿公演〜
マクロス7やマクロスFを履修した方にとって馴染み深いはずのセリフに、「俺/私の歌を聴け」があります。
現実では歌で敵を弱体化させて主人公の戦闘をアシストするまではいかずとも、歌声だけで「私の歌を聴け」というメッセージを強烈に伝えて観客を魅了する人は実在するんですね。
タイトルで盛大にネタバレしていますが、小片リサちゃん(以下、りさまる)のことです。
本記事では、2024年8月4日に開催された「小片リサ LIVE 2024 "End roll #2"」の新宿公演(@新宿ReNY)について語っていきます。
ただ、セトリ全体に触れると記事が膨大になってしまったため、特に語りたい部分を語るスタイルとさせてください。
他記事も読んでくださっている皆さんも、「お前のnote初めて読むぞ」というりさまるサポーターの皆さんも、その他の読者さんも、最後まで楽しんでいただければ。
実は行ってたりさまる現場
僕は昨年9月に宮本佳林ちゃんを推し始めて以来、基本的には佳林ちゃん現場に参戦していました。
過去記事の一覧からも垣間見えるほど、ものすごいペースで。
それと比べるとあまりに控えめすぎるとはいえ、りさまる現場にも何度か参戦してきました。
僕が今回の現場より前に、実際に参戦したりさまる現場は以下の通り。
2023年11月26日 映画の世界リリイベ(@タワーレコード川崎店、2,3部参戦)
2023年12月5日 MSMW(@なかのZERO)
2024年3月24日 MSMW(@めぐろパーシモンホール、1,2部参戦)
2024年6月1日 montageリリイベ(@HMV渋谷店、1,2部参戦)
「MSMWは佳林ちゃん現場でもあるやないかい」とはツッコんではいけませんよ佳林党の皆さん()
最初のリリイベは「近場だし行ってみるか」程度のノリで、参戦後も「りさまるもええやん」くらいしか思っていませんでした。
しかし昨年12月のMSMWで佳林ちゃんと披露した『青春のセレナーデ』で一気に引き込まれましたね。
(以下動画の3:04から観られます全人類で観ましょう。)
ダンスがかなりシンプルで会場全体で楽しむような曲だからこそ、佳林ちゃんとりさまるのパフォーマンスの凄みが際立つと思うんですよ。
まるかりんの全然違う個性が喧嘩していないどころか寧ろ調和しているし、お上品にステップ踏んでるりさまるかわええ(語彙力どこ行った?)。
その上で、りさまる自身のパートでは歌をしっかり聴かせにくる辺りがもうね、たまらないんですよ(急募:語彙力、譲:圧倒的感謝)。
そして神回of神回と話題になった3月のMSMW。
1曲目の『浮気なハニーパイ』で一気に盛り上がったところに、2曲目で『虹を超える』で一気にりさまるの世界観に書き換えられましたね。
当時は稲場愛香ちゃんと尾関舞ちゃんのソロデビューシングルのリリース前ということもあり、二人への応援歌のようにも思えたのも印象的でした。
SIOOMのゲリラお披露目はあまりに衝撃が強く、かつあまりに良すぎて、僕の語彙力と作文力で『C\C '24』を語り切れませんでしたすんません()
その後、オリジナル1stアルバム『montage』のリリース、そして今回の単独ライブと、物凄い勢いでりさまる現場が来たわけですよ。
というわけでここからは、今回の新宿公演について語っていきます。
小片リサの歌を聴け
それは劇場の幕が上がるかのような、オルゴールが鳴り始めるかのような
自席で開演を今か今かと待っていると、りさまるの声で聞き慣れたアナウンスが読み上げられ、その数分後に映画館の開演ブザーが鳴り響きました。
一貫して「映画」というコンセプトでライブが組み立てられているのが、こうした微細なポイントからも伺えるのが面白いですね。
1曲目は『パラレルファンタジア』。オルゴールのゼンマイを巻く音が、りさまる楽曲を堪能する時間の始まりを物語っているかのよう。
RPGの中のような別世界を進んでいく様子、身を投じていく世界そのものが変わっていく様子が表現された曲なんですよね。
今から色々なりさまるで魅せてくれるんだな、という高揚感を覚えました。
からの『幻』で一気に湿っぽさを見せて引き込むのが凄まじい。
強気な女の子が過去の恋愛を振り返って、後悔してる→後悔してない→やっぱ後悔してる とブレるのを繊細に表現してくれる感じと言いましょうか。
サビの「あたしが悪かった」の歌い方が絶妙に違っていて、
「はいはい私が悪うございました」
「確かに私も悪いとこあったけどさ、、」
「私が悪かったわ…」
といった感じで、歌声から違った表情が垣間見えた気がします。
これが小片リサのライブの盛り上げ方
最初のMCを挟んで、『Happyを止めないで』『Painter』『Kitty』と聴いてて楽しい曲が並んできました。
(『Kitty』だけ順番に自信がなく、間違っていたらすみません。)
『Happyを止めないで』は、聴いててめちゃくちゃ明るい気持ちになれる上に曲自体がおしゃれで好き、と初見の時から思っています。
会場中がブチ上がる曲で後先考えずに大声でコールしてペンライトを振るのも大好物なのですが(何スト・ダンスの話でしょうね?)、
りさまるの落ち着いた雰囲気をベースにしつつ、ポジティブな歌詞が骨の髄まで浸透してくるのが本当に凄まじい。
間奏で時折ほっぺたをぷくっと膨らませるところといい、サビの「Woo Woo Woo」といい、細かい所作がめちゃくちゃ可愛いのもね…とても良き。
『Painter』はしっかりとロックな曲調でかなり盛り上がれる感じでありつつ、りさまる特有の清涼感がそのままに混じり合っているんですよね。
初お披露目のリリイベで「サビで"Painter"とコールするのを定番化したい」と語っていましたが、今回もこの曲で現場の一体感が強まりました。
表面的にはかっ飛ばし過ぎていないのに、会場中の人が心の中ではしっかりとアツくなっているのが凄すぎる。
『Kitty』はね…現場で聴くのは危険ですよ(良すぎるという意味で)。
歌声と表情で人はこうもあざとくなれるのか…。
小悪魔なりさまるを緻密に組み立てていき、サビの「Baby, I'm your kitty」に最大級の破壊力を持たせるという、それはそれは綺麗な逆算で成立しているんですよね。
初めてMVを観た時から「(良い意味で)何だよとんでもねえ曲だな…」と思っていましたが、なんかね、これを現場で聴いたら後戻りできませんね。
「まだこの曲知らんぞ」という方は以下のMVを観て、今すぐこちらの世界に足を踏み入れてください()
という感じで、りさまるだからこそ成せる会場の盛り上げ方を前半でしっかり味わえたわけですね。
小片リサは座ったままハットトリックをキメる
大阪公演や名古屋公演に参戦したであろう周囲の面々に倣って着席すると、りさまるもステージ中央の椅子に座って、ゆったりした雰囲気のMCに。
その後は『歌うたいのバラッド』『君が好き』『Unbrella』と、(りさまる含めて)全員着席のままバラード曲3連続になりました。
この3曲全部でボロボロ泣きましたよ。"ライブで"こんなに泣いたのは初めてだと思います。
1曲=1点と考えたら、これはもうハットトリックでいいですよね(?)
このライブの中で特にこの3曲は、りさまるが我々に語りかけるように歌詞を口にしてくれて、歌詞がスッと浸透していく感じがありました。
『歌うたいのバラッド』はこの場で初めて聴いたのですが、カバー曲とは全く思いませんでした。
サビの最後まで歌い方がとにかく丁寧かつストレートで、だからこそ最後の「愛してる」の真摯さが際立つんですよ。
その直後に『君が好き』を聴くと、厳しい現実に打ちのめされてる感が一層増しますね。
『歌うたいのバラッド』のような気楽さというか身軽さを理想としつつも、実際は「君」を泣かせたり連れて行けなかったりしてるのかな?とイメージしていました。
そういう中で「色々な事情はあるけど、とにかく君が好きなんだ」と精一杯に言語化している印象でしたね。
『Kitty』同様、サビの最後の一言に重み付けるために逆算して表現しているようにも思えます。
次は『Unbrella』でしたが、3曲通じて徐々に恋愛で報われない人の歌にシフトしていくのが切なすぎるって。
好きな人と1つの傘に入っている時の、せいぜい半径55cmの狭い空間で「このままで居られたらいいのに」という一途さ。
一方、本来好きになってはいけない相手を好きになったが故に、相手との関係の脆さを自覚しながら、想いも不安も隠しながら、「ふたりだけの世界」に縋りたがるズルさ。
歌詞を聴いての勝手な考察も多分に混じっていますが、この二つがりさまるの歌声を通じて痛いほどに感じられて、涙が止まりませんでした。
等身大の小片リサの弾き語り
MCを挟んで、開演前から上手側で存在感を放っていた電子ピアノの前に腰掛けるりさまる。え、ピアノ弾けるの…?
そうして弾き語りで披露してくれたのが『あかとき』でした。
この曲のレコーディングの様子は動画化されていますが、動画以上に歌い方も音作りもこだわっているのが随所に感じましたよ。
と言いますと、りさまるはピアノ未経験だったにも関わらず、1〜2ヶ月の猛特訓を経て今回の弾き語りに至ったそうですね。
(ライブ後にフォロワーさんから教えていただいて知りました。)
大昔にピアノを習っていた名残で、鍵盤のタッチがどうとか、そういう点は聴けば多少わかります。「ノーミスで完璧に弾き切った」とは言いませんし言えません。
しかし、そんな小手先の技術の問題ではありませんよこれは。
りさまるが一音一音に真っ直ぐに向き合いながら鍵盤を弾きつつ、妥協がないどころか音源を上回る艶感を帯びた歌を聴かせてくれる。
そういう表現を初の単独ライブに用意してくれた辺りに「今の小片リサ」を見たように思います。
小片リサは止まらない
序盤でも盛り上がる曲ラッシュはありましたが、後半でもりさまるの勢いは止まりませんよ。
後半で歌っていた錚々たる曲の中でも、本記事では『Actress』と『君はスターゲイザー』の2曲に絞って語らせてください。
『Actress』はりさまる自身が作詞に携わった点でも、特に強いこだわりというか、他の曲よりも歌詞に重みを込めて歌っているような気がしました。
そのせいか、力強く「綺麗なままの私はニセモノ」と歌われると、
「バチバチに綺麗なりさまるがそんなん言わんでよ、確かにりさまる自身だよ」と返したくなってしまいますよ。
他にも「君にだけは認めてほしかった 今の私が間違いじゃないこと」という歌詞も、グッズのシリコンバンド越しに伝えられたメッセージと相まって
「ここの全員が今のりさまるをしっかり見てるし、今のりさまる"が"良くて今日ここにいるんだよ」と思わされます。
かといって陰鬱とした印象は一切なく、それどころか疾走感と清涼感たっぷりなせいか、最後の「窓に映る私 目を逸らさずに見つめて」がどこか優しくも力強くも感じられるんですよ。
その1フレーズに、ある種の「ひとりで生きられそう」な強さを垣間見たような気がしました(引用元が出身グループじゃなくてほんとすんません)。
アンコール前の最後の曲は、『君はスターゲイザー』。
このライブに参戦する前は個人的にアルバムの中で一番好きな曲だったので、「これを待ってたぞりさまるうううう!!!」ってなっていました。
(先の3連バラードの影響で、執筆時点で一番好きな曲は『Unbrella』に変わりました。)
りさまるの透き通る曲と疾走感が存分に楽しめる曲、という側面がまずありますよね。
りさまる本人には通じるはずの偏見を申し訳ないのですが、Keyの最新作の主題歌ですと言われても信じちゃいそう。どこかリ◯バスみたいな青春みを感じる。
また、間奏で会場中から湧き上がるコールの厚みが凄まじくて、現場だからこそ肌で体感できる高揚感を、終盤で思い切り味わえました。
りさまる現場の真骨頂は歌声に聞き惚れることだと思っていますが、こうした楽しみ方も含めてくれるのは個人的に嬉しかったところ。
その上、歌詞をよく聴いてみるとなかなかに切ないという、一度で二度も三度も美味しい曲(?)。
例えば以下の歌詞が個人的には特に印象的です。
「日が昇っていくその前に 伝えてしまえ僕
答えを聞くのが怖くて 踏み出せない
あの夏の涙」
これをりさまるが真っ直ぐに清涼感たっぷりに歌うのですが、だからこそ歌詞との対比で切なさが際立つところがあると思うんですよ。
他にも「優しい声で話す君が好きでした」「君にとっての光になりたかったから」と、落ちサビと最後のサビで過去形を使っている辺りが、相手に思いを伝えぬままに諦めてしまった感が…。
といったように、音源を聴いていた時よりも、歌詞も含めた曲の解像度が一段階上がった気がしました。
アンコールで垣間見た引き算の美学
アンコールはクラップだけという初めて見るタイプ。
「言葉を介さなくても十二分に伝わる」と言わんばかりの、りさまるとサポーターのコミュニケーションを体感したような気がしました。
再度登場してくれたりさまるが歌ったのは『どっち for montage』。
なのですが、なんと1番がまるまるアカペラだったんですよ。ライブの最後の最後で想像を絶するとっておきを用意しますね小片さん!?
りさまるのあまりに透き通った歌声を何の混じり気も無い状態で、一人ひとりが耳で受け取っていくという場でした。
こんな歌い方されちゃうと、他の楽器があるのがtoo muchというか、寧ろこの歌声だけをダイレクトに受け取っていたいとさえ思えてしまいます。
直後のMCでは「弾き語りやアカペラなど、色々な挑戦を盛り込んだ」と語っていましたし、表面的には色々な足し算で成り立つライブでした。
が、実際には本当に大事にしている要素を際立たせるための引き算を繰り返した結果、あのアンコール曲に至ったように思えました。
最後に
本記事では、りさまるの初単独ライブに僕が参戦した際の様子をひたすら語っていきました。
今回は歌詞に注目しつつ言及する部分が多くなりましたが、りさまるが1曲1曲の主人公になってあらゆる歌詞を大事にした歌い方をしてくれましたからね。
1曲1曲をまっすぐに受け止めて咀嚼しようとした結果、このスタイルで記事を書くのが良いのかな、と思ったのです。
また、僕がよく参戦している現場とは違った魅力の込められた素敵な現場でした。
現場のカラー(ペンラの色だけでなく雰囲気も)がかなり違うものの、どちらの現場も、そこに居合わせないと体感しきれないものがありますよ。
今後も僕が大事にしている「良いものは良いと素直に受け取る」スタンスのまま、そして自分にとってメインの現場を大事にしつつも、今後もこうした現場にも赴きたいところですね。