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【解説】今TVで話題の執行官とはどんな職業なのでしょうか?

今TVドラマで、執行官を織田裕二さんが演じており話題となっていますが、そもそも執行官とは、どのような職業なのでしょうか。

執行官は,各地方裁判所に所属する裁判所職員で,裁判の執行などの事務を行うひとです。(裁判所法第62条,執行官法第1条)。

裁判の執行とは,裁判で出された結論に対して、債務者がその通りに実行しないときに,強制的に実現することです。

たとえば、次のような場合が、想定されています。
・家の明渡しを命じられた人が明け渡さない場合に,その家から,家財道具等を全て運び出し,明け渡し義務を負う人(債務者)を退去させた上で,明け渡しを受ける権利を有する人(債権者)に引き渡します。

・借金を返さない人(債務者)の宝石,貴金属等の動産を差し押さえて売却し,その代金を貸主(債権者)に返済するお金に充てます。

・子の引渡しを命じられた人(債務者)が子を引き渡さない場合に,債務者による子の監護を解いて,子の引渡しを受ける権利のある人(債権者)に子を引き渡します。

・不動産の(強制的な)競売が申し立てられた場合に,不動産の状況等を調査します。

・民事訴訟の裁判関係文書を当事者等に届けたりします。

執行現場では,債務者等の抵抗に遭うこともあるため,執行官には,その抵抗を排除するために,自らの判断で警察の援助を求めることができるなど強い権限が与えられています。

また,執行官は,各地方裁判所によって任命される裁判所の職員であり,地方裁判所の監督を受けますが,国から給与を受けるのではなく,事件の当事者が納めた手数料を収入としています。

(裁判所法)
第六十二条(執行官) 各地方裁判所に執行官を置く。
② 執行官に任命されるのに必要な資格に関する事項は、最高裁判所がこれを定める。
③ 執行官は、他の法律の定めるところにより裁判の執行、裁判所の発する文書の送達その他の事務を行う。
④ 執行官は、手数料を受けるものとし、その手数料が一定の額に達しないときは、国庫から補助金を受ける。

執行官になるには、どうしたらいいのでしょうか?


執行官採用選考試験を受験し、これに合格する必要があります。

1 選考資格
法律に関する実務を経験した年数が通算して10年以上である人(性別不問)です。
(ただし、日本国籍を有しない者、国家公務員法第38条の規定に該当する者を除かれます。)

(国家公務員法第38条)
・禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
・懲戒免職の処分を受け,当該処分の日から2年を経過しない者
・日本国憲法施行の日以後において,日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し,又はこれに加入した者 

2 選考手続
執行官の採用を予定している地方裁判所において、採用選考試験が実施されます。
試験を実施する地方裁判所は、裁判所ウェブサイト(執行官採用選考試験)に掲載されています。
試験の内容は法律知識などを測るもので、筆記試験(択一式・記述式)及び面接試験が実施されます。

ちなみに、令和5年度の受験申込期間は
7月18日(火)から7月31日(月)で、筆記試験は8月18日(金)となっています。

現在、全国に650人の執行官がいて、年収は歩合制であり、2000万円から3500万円程度とも言われています。すごいですね。

執行官になりたい方は、お早めに!

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