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怪しい世界の住人〈龍神〉第七話「八大龍王のこと」

❻「和修吉わしゅうきつ龍王」

 四番目の和修吉龍王は九の龍頭を持つと言う〈龍神〉です。いわゆる〈九頭龍王〉とか〈九頭龍大明神〉などと呼ばれる〈龍神〉がいますが、それらは皆、この龍神のことです。元々の伝説では、千もの頭を持ち、須弥山を守り、細い龍を取って食べていたそうです。ですので〈多頭竜王〉と呼ばれることもあります。

❼「徳叉迦たくしゃか龍王」

 五番目の徳叉迦龍王は、舌が多く、視線に毒を持つとされています。
 この龍王が怒って人を凝視した時、
「その人は息絶える」
 と言われています。
 また、法華経を守護し、日蓮衆が身延山の守護神とする〈七面大明神〉、あるいは〈七面天女〉は、この徳叉迦龍王の娘神とされています。

❽「阿那婆達多あなばたった龍王」

 六番目の阿那婆達多龍王は、ヒマラヤの北にあるという神話上の池〈阿耨達池あのくだっち〉に住み、四方に大河を出して人間の住む大陸〈閻浮提えんぶだい〉をうるおすと伝わります。八百里にも及ぶ池の岸辺には、金・銀・瑠璃・水晶の仏法で言う〈四宝〉で囲まれていると言います。また、阿那婆達多龍王は菩薩の化身とされあがめられています。

❾「摩那斯まなし龍王」

 七番目の摩那斯龍王は、体も大きく、力も強い龍神として知られています。かつて阿修羅が、須弥山頂上にある帝釈天の居城〈喜見城〉を海水を持って侵した時、この摩那斯龍王が身を踊らせて海水を押し戻したと言う伝説があります。
 ちなみに、帝釈天はフーテンの寅さんで有名ですが、梵天と並び称される仏法守護の主神です。十二天のひとつとして、東方を守護し、ヒンズー教の〈インドラ神〉が仏教に取り入れられたものとも言われています。

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