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播磨陰陽師の独り言・第500話「雀百まで」

 日本の雀は可愛いですね。外国では形の違う雀が主で、一般には、
「空飛ぶネズミ」
 と呼ばれ、とても不潔な生き物で、病原菌をばら撒くそうです。日本の雀とはかなり違う生き物のようです。
 わが国では古くから雀が愛されています。俳句や様々な作品の中に雀を愛でるものがたくさんあります。
 雀は田んぼを荒らす鳥として知られています。稲にとってはかなりの害鳥となりますが、実はそう言う訳でもありません。
 その昔、まだC国が毛沢東主席の政権の頃、四害駆除運動と呼ばれる政策がありました。国をあげて、蝿、蚊、ドブネズミ、そして雀を駆除したそうです。
 当局によると、
「人民の健康を害する生き物を駆除せよ」
 と言うことで、約一億羽の雀が殺されたと言います。
 当局は、
「雀は一日に4キロの米を食べるので、滅ぼせばその分、食料を確保出来る」
 と考えたそうですが、滅ぼしてからが、さぁ大変。食べるのでもなく無闇に殺してしまったため、自然は逆襲とも言える行動に出たのです。どうなったのかと申しますと、雀が食べていたのは何も稲ばかりではありません。稲を食い荒らすバッタま食べていたのです。天敵がいなくなったバッタは爆発的に増えました。蝗害こうがいが発生して、ありとあらゆる食物を食べ尽くしたのです。このことが原因となり、重大な環境破壊が起こりました。この事件は、ロシアから雀を大量輸入することで治まったそうですが、C国では今でも時々蝗害が発生します。今年の夏にも蝗害があったばかりです。

 さて、千本鳥居で有名なあの伏見稲荷では、雀の串焼きを食べることが出来ます。江戸時代までのわか国では野鳥を食べていました。今だに食べている野鳥は雀くらいのものかも知れません。稲を食い荒らす雀を敵視して食べるそうですが、食べられるところはあまりなく、そんなに美味しくもないそうです。
 古い文章の中に、
雲雀ひばりは美味い」
 と言う記載は数多く見られます。雲雀はツミレにして食べると美味いそうで、様々な文章に出て来ます。
 しかし、
「雀が美味い」
 と言う文章には、今のところお目かかったことはありませんが……。

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