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怪しい世界の住人〈七福神〉第五話「弁天さんのこと」

❻ 大黒天の祭文について

 最近の大黒舞の口上には、

——御座った、御座った。福の神を先に立てて、大黒殿が御座った。一は俵を踏んまえて、ニにニッコリ笑って、三に酒を作って、四つ世の中良うして、五ついつもの如くに、六つ無病息災に、七つ何事もうして、八つ屋敷を広め、九つ小蔵をぶっ建てて、十でとうとう納まった。大黒殿を見なさいな。見なさいな。

 と言うものも資料にありました。
 大黒天は主に大国主の神と習合されています。大国主の神は、大己貴おおなむちの神や、大物主おおものぬしの神の別名で祭られている場合があります。
 昔は、毎月、申子きのえの日に大黒天を祭ったようです。この日には二股になった大根を供えたとあります。
 さて、大黒天の行法の祭文についてです。
 この行法は心が塞ぎがちな時に使い心を上向きにする行法です。
 ここで使う祭文は、

——千代萬ちよよろづ、こと足りて、きびやらかに玉光る。大らかに降らし給え。

 と唱えます。
 この祭文は、

——美しく光る玉の、その光を天の恵みとし、千代に萬に、すべての物事が足りるよう、どうか導いてください。

 と言うような意味になります。
 大黒天は元々インドのヒンドゥー教の神・シバ神がチベット密教を経由してマハーカーラに変化し伝わったものです。
 マハーカーラは大いなる暗黒とも呼ばれ、

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