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小さな頃は姉が「世界」だった話

12月に麻布十番のパレットギャラリーで「装幀画展Ⅷ〜文学とアートの出逢い〜」に参加致します。
出版されている本に関する作品を作り本の装幀も手がけるという企画展です。

去年日本橋Art Mallで初めて個展をさせていただいた時にアートソムリエの山本冬彦さんにお声かけ頂き実現しました。
山本さんに「どんな本を装幀したいか考えておいて」と言われた時に暫くワクワクしながら妄想してましたが、一番自分らしく自分の土台のような小説ってこれかなぁと思って縫ったのが
赤川次郎の「ふたり」でした。

赤川次郎の「ふたり」は今年亡くなられた大林宣彦監督が映画化もされてるし、ドラマ化もされたのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
ざっくりあらすじを言うと優等生の姉の千津子を持つ妹の実加が主人公で、ある日千津子が突然不慮の事故で亡くなります。遺された家族と共に途方に暮れる実加ですが、突如亡くなったはずの姉の声が聞こえるようになります。姉の声に見守られながら妹が成長していく話です。

私は2つ上に姉がいます。他にも弟妹いるので二人きりではありませんが、年は近いし同性だし姉から影響は大きかったです。
私は小中学生辺りは人と上手く話せなかったので友達もほとんどおらず、それに比べて社交的で友達が多い姉は世間的に「優等生」かは置いといて私には眩しく見えてました。

今思えばちょっと怖い話だけど姉が色で「青」が好きだったら私も1番好きな色は「青」が好きだったし、姉が中山美穂のファンになったら私には中山美穂がテレビで見る1番美しい女性に見えてました。

「ふたり」を読んだ時イマイチ取り柄の無い自分と実加に重ねました。
初めてこの小説を自分のものの様に思った事を覚えています。(赤川次郎さんからしたら迷惑かもしれないが…。)

姉は高校生辺りから脚本や映画に興味を持ち始めて色んな脚本家や映画の話をするようになります。
最近兄弟間のLINEでお互い十代の頃は姉からは色んな影響を受けたねと言う話になり興味深い文化を運んできた姉に感謝をしたものです。

姉が大阪の大学に進学する為に実家を出て離れて暮らすようになってから、私は1番好きな色は「青」より「緑」が好きかもと気付き始めました。

宮沢賢治の詩「アメニモマケズ」を机に貼っていた姉は農家のお嫁さんになって3人の子供達を育てています。
私は姉が産んだ子供達が可愛くて3人とも刺繍絵にしてしまいました。
どうかこれからも健やかであります様に。

装幀画展Ⅷでは私が一方的憧れていた作家さん達、大御所イラストレーターの宇野亞喜良さんも展示されるので嬉しいやら恐れ多いやらと言う気持ちです。

生地を重なりや刺繍の縫い目などを間近で見ていただけたら嬉しいです。
お時間ございましたこんなご時世ですがどうぞ足を運んでみて下さい。

「装幀画展Ⅷ〜文学とアートの出逢い〜」
12月5日(土)〜13日(日)
11:00〜19:00(最終日17:00まで)
パレットギャラリー麻布十番
〒106-0045
東京都港区麻布十番2-9-4
http://palette-gallery.jp/

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