0707

ああ、さっさと捨ててしまいたいなと思う感情が頭の大部分を占める。
人の優しささえ上手く受け取れずに今日が終わる。

定員100人程の船に乗って向こう岸へ行く。
たった1kmなのに、どうしてこんなにも遠い。

未来を語りたい、の願いは日に日に増していく。
願えば願うほど現実味が薄れていく。薄れていくからまた願う。
理想と現実がまた少し離れていく。

どうしてそんなに汚い顔をしているの?
そんなに眉間に皺を寄せて一体何を見ているの?
彼らの価値観を真っ向から否定する気は毛頭無い。それでも今のままじゃダメだと声に出したい。我儘だ。

私は彼らにまとわりついている汚れが心底嫌いなのだと思う。言葉、仕草、表情、行動、全部嫌いだ。硬いタワシでゴシゴシ擦りたくなる。

出ていく。きっと私は近いうちにその選択をする。
今のままなら。この場所の停滞は急速な衰退を意味するから。
これは愛情ではなく同情だな。同情で動くこと程、無駄な時間の過ごし方は無い。そう思う自分がいる。

せっかく綺麗にしてもらった身体を、また呪いの中に沈めたくはない。
見捨てないことを最大の正義とするなら、私はまだ弱い。勇者にだってなれやしない。


課題解決より課題発見なんだと。
課題はひとりでに現れる。そして、ひとつも解決できなくて泣きそうになる。
そんなら最初っから見せないでくれ。解決する気がないなら。なんなんだ、ほんとに。

何もかもが苦しい。
行動で示せ、なんて言ってくれるな。
一体誰が見てくれているというのだ。

ああ、一年がこんなにも長い。
私はまた何も残せないまま。


誰にだってできることはある筈だと、彼女が言った。
私は私のできることをちゃんとやれているだろうか。
できるのにやってないことがまだある気がする。
やりきってから帰る。また後悔しないように。今は自分の力を信じるしか。

生温い風が肌にまとわりつく。
潮の香りをたっぷりと含んだ空気をこれでもかと吸い込んで、アクセルを踏んだ。
私は美しい景色が見たくてここに来たんだ。