0623

一年前、私何してたっけ…と写真フォルダを遡る。
人に話せるような物は何一つないのでそっと閉じる。

誕生日を祝うことの意義を見失い、真っ先にメッセージをくれるのは公式アカウントだというのに、それでも0:00は起きて迎えようとするくらいには、今日という日に何かしらの意味を感じているのかもしれない。

「好きな数字は6」などと安直に答えていた子供の頃。この日が楽しみだったのは、きっとプレゼントが貰える日だと認識していたから。誕生日とクリスマスを生きがいに、その間の半年を生きていた。
親からプレゼントが貰えなくなったのは中3の時だったっけ。あの年は色んなことの節目だった。

6月が嫌いになったのはこの頃からだ。
かれこれ6年。毎年この時期になると私はダメになる。
体が布団に重く沈み込む。馬鹿みたいな夢を見続ける。
夏に向かって上昇する気温に追いつけず、またただでさえ低い意識を雨音に奪われる。

欲しい物など何も無い。
平穏な日常が変わらず続けばそれでいい。
それでいい筈なのに。


雨が降る。風が吹く。雨か涙か分からない水が頬を伝う。
ああ、やっぱり今日はこんな日なんだなと思う。
荒れた波を越えて辿り着く先には何がある。

変えたいと思うものが変えられないと知った時、どこで諦めをつけようか。
このままでいいのか。今を耐えれば時は過ぎ去る。何もせずに、何の成果も求めずに終えることもできる。

ここに流れはある。流れに身を任せるのも悪くない。


誕生日になると思い出す。この日を誰よりも心待ちにしている彼の話を。
今日60を迎えたらしい彼は今、どんな気持ちだろうか。
沢山の人に祝われ、盛大なサプライズを受ける。企画は最高のプレゼントなのだと、そう語る。

川の流れに身を任せるだけじゃダメなんだ。
オールを手にして漕いで漕いで、流れに逆らう。
分岐しているところで方向を変えて、細い道に入ってみる。
そうすれば違う景色が見えてくるのだと、そんな話をしていた気がする。

今日は土砂降りの雨で、川は激流を見せる。
寒さで手が震え、濡れた指先はしわしわになっている。
こんな流れを相手にして、私はどうしたい。