0927 死ぬことばかり考えてしまうのは
誰にも見てもらえず、報われるとも限らない努力を続ける。見返りは求めていないと言いながら、何の結果も残らないことに悲しみの心を抱く。
気持ちの籠らない「ごめんね」に「気にしないで」と返す。相手のいいように使われていることを知りながら、優しさを演じ続ける。
そんな私こそが、結局のところ悪い女なのだと思う。
善人は正義を振り翳しやすいから。
己の信念に疑問を抱くことなく胸を張れるから。
善人は堂々と胸を張ればいい。
悪人は堂々と悪を働けばいい。
だけど、善人でいたいのに悪行を働いてしまう人というのがこの世にはいて、そういった人が最も辛い立場にあるんじゃないかと思う。
善を実現できないことに葛藤し、反省し、悔い改める。それを何度も繰り返し、そうやって死んでいく。
残念なことに、人間という生き物は大半がそうなのだ。
正直者が馬鹿を見る。
そんなことはとうに分かっている。
真面目に、愚直に、ひたむきに、日々を生きていきたい。
いつか堂々と胸を張れるように。
好きだった人の訃報が流れてきた。
悪い女の子はどこへだって行ける。
天国ではないどこかで、また同じように歌う彼女を想い描く。
死ぬことばかり考えていた彼女のことが好きだった。
命の使い方をだれよりも考えていたと思うから。