見出し画像

曾祖父様の御言付け 一

曽祖父様(おおおじいさま)の言うところ、

「霊魂に現世の未練を残させぬよう、死者への慰めの花は芳香焚き染めないようにする。さかしまに、生きる者の心の未練を慰めれるよう、生者への慰めの花は芳香強きものにする」

わたくしも曽祖父様のこのお言葉を心に留めて、死者への手向けの花は芳香なき花、生者への慰めの花は芳香かぐわしき花としております。
この例で喩えるならば、曼珠沙華は死者のための花で、金木犀はわれわれ生きている者のための花です。

ですから毎年秋彼岸の頃に咲く曼珠沙華の花を見ると、死者の魂への悼みとして逸早く捧げられ、その後に咲く金木犀が凡ゆる死の残り香を浄め、生きているわたくし達を慰め未練を洗い流しているように感じるのでした。

合掌

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?