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行動療法実践 体重さらしダイエット


カウンセリングなどで、認知行動療法が使えますよと言っているのですが、自分に的用してどのくらい使えるのかわからないとクライエントさんに申し訳ない気がしまして。

何かやりたい事は無いかなと思っていましたら、そんな時に宇野常寛さんがYouTubeのラジオ番組で、『世界に対して体重を晒す』という事を実践されていたのを知って、自分もやってみようと思いました。

で、自分の性格を鑑みると、他人から注目して貰える事が好子になり得るなと思ったので、持続出来て尚且つ毎日のフィードバックによって効果の見えるダイエット方法だなと思ったので、実行する事にしました。

好子(または強化子)とは、ある行動の直後に出現し、以後のその行動の生起頻度を増加させるような環境の変化のことを言う。簡易的に、行動を強化するものと説明されることがある。 逆にある行動に対して好子の提示を中止、または減少させることによって、行動の生起頻度を減少させることができるものも強化子として定義される。 ウィキペディアより

2021年5月1日から測った体重をTwitter上に晒すという事をし続けています。毎日計測が目標ではありますが、計測できない日や忘れたりしたこともありました。そんな時には、思い出したらすぐに計測して晒すという方法をとっていました。

今回の記事では実践の様子や効果、考察などを書きたいと思っています。

方法

就寝前に体重を計測。計測後すぐにTwitterに #世界に対して体重をさらす とハッシュタグをつけて数値と共にツイート。5月中は動画を撮影して記録。6月には動画を編集してYoutubeにアップロード。ちなみに6月にギックリ腰を罹ってしまい、計測が不規則になりがちになってしまいます。朝方計測が増えてきました。7月28日現在も継続中。

計測結果を表計算ソフトに入力し、直近三日間の平均値を指標として、体重の増減が誤差なのかどうかを評価。

好子を得るために、通勤時間や帰宅後などに、計測値を晒したtweet のアクセス数などを確認したり、いいね やコメントを見る。

結果

体重 と 直近3日間の平均

計測結果をグラフ化してみました。青線が実際に測った数値で、赤線が直近三日間の平均です。隙間が空いているのは計測忘れや計測できなかったものです。(徐々に隙間の間隔が広がっていますね...)グラフを見た印象では、約2か月で2kg減らせているのかなと思います。計測値では誤差の範囲と思えるものでも、線の傾きが右下がりになっているのは間違いないと思います。ただ朝の計測に変わってきているので、最近の数値は下駄をはかせて見ないと実際よりも下がっているように見えてしまいますね。

もちろん、計測したことが体重減少に直接影響したわけではありません。実際に減った事としては、買い食いする機会、間食、食事量(おかわり)です。計測が日常化されたことで、食事などの際に計測していることを思い出したり、あとで誰かに晒すという事が思い出され、今までは同じ状況で「食べる」という行動をしていたのが、それと同じ状況になっても、「食べる」ことを「我慢」したり、他の行動をして食べることを「避ける」ことができたことが実際の効果であると言えるでしょう。

まあ、当たり前なことではありますが、「行動」をベースに考える上では重要な事なので書かせてもらいました。

考察

①買い食い行動していたのが、買い食いする機会が減った

②間食していたのが、間食する機会が減った

③おかわりしていたのが、おかわりしなくなった

計測する、計測した結果をTwitterに晒す、アクセスを確認するなどの記録に関わる行為が、関節的に上記の行動に作用していると考えられます。

あくまで、僕のケースになるので、どこまで汎用性があるものかはわかりませんが、何が起こっていたのかを考えてみたいと思います。

行動療法的に考えると、行動が学習されるには、好子の出現か嫌子の消失が起きていると考えます。①は買い食いが好子になっているので、好子を遠ざけることで行動が消去されます。実は買い食いが起こりやすい道のルートを外して歩くなどの工夫をしていたりします。買い食いの欲が湧きづらくしているのです。これを繰り返してきたことで、特定の店での買い食いが減りました。

②の間食は自宅での話です。家族にもTwitterで体重を晒していることを伝えているので、家族に直接止めてもらってもいます。自分の力はできるだけ使わないように我慢できるように工夫しています。③も同様です。

そうなのです。意外と記録し始めると外部の力が働くようになったのです。おかけで2か月間も記録が続いています。

これらの行動が継続しているのが測定なのか、ツイートしているからなのか、アクセスを確認しているからなのかをハッキリさせる事は難しいような気がしています。

結局のところ、何が好子や嫌子であるのかを理解した方が今後の展開を考える上で必要になるので、また検証してみたいと思います。


何かの参考になれば、行動療法的な考え方を少しばかりお伝えしたいと思います。

オペラント条件付け

行動心理学は古典的条件付け(条件反射)と、道具的条件付け/オペラント条件付け(自発行動)の二つに分かれます。

オペラント条件付けは、行動を道具として捉える考え方です。つまり、何かを得るために行動するということ。それが条件付いていく。B.F.スキナーが体系的に示したのでスキナー型条件付けとも言われます。

ちなみに、この行動心理学はわかりにくい専門用語が多くて嫌厭されがちです。ですが言っていることは、当たり前のこと言っているだけなので、そう難しいことではないと思います。それをあえて言葉で説明してみます。

行動随伴性

では、説明を始めます。随伴ですから、何かに伴います。行動随伴性とは『行動』が『結果』に伴っていますよという意味です。
行動随伴性とは、行動が結果に伴って(随伴して)行動が増えたり減ったりする事です。行動が結果に依存するので、結果次第によって、強度が上がったり下がったり、持続時間が伸びたり縮んだりします。

これは当たり前の事を真面目に難しく話した考え方ですので、できる限りわかりやすく説明したいと思います。必要な言葉の定義は引用表記しておきます。

強化:行動の頻度が多くなる、持続時間が長くなること
弱化:行動の頻度が少なくなる、持続時間が短くなること
好子:強化刺激。行動が増える刺激。
嫌子:嫌悪刺激。行動が減る刺激。


改めて。行動随伴性とは、結果に行動が伴っている事で、行動の後に好子なり嫌子なりの刺激が提示されたり、取り除かれたりすることと定義します。

行動の直後に好子が提示される、あるいは、嫌子が取り除かれると、その行動が起きる確率が高まりまったり、強さや持続時間が長くなったりします。行動療法ではこれを使います。ちなみに、行動が出現しやすくなることを強化、出現しにくくなることを弱化と言います。

(強化の例)

会社に行く→給料が貰える→会社に行く頻度が増える、持続する。
仕事をする→ありがとうと言われる→仕事をする頻度が増える、持続する。

消去の手続きについて

ダイエットを扱う上で、消去という手続きがかなり重要なのですが、行動随伴性を理解していないと使いづらいので、なるべく理解出来るようにしたいと思います。

強化の反対で、好子を取り除いたり、嫌子を与えたりする事で行動の頻度を減らす手続きを弱化と言います。そして、完全に行動を無くしてしまう手続きを消去と言います。

使うのはどちらか?

刺激に感情が結びつくことを条件性情動反応と言います。嫌子を与える手続きを使うと、悪い感情が発生することになります。ダイエットの場合、自分が自分に罰を与えるわけですが、欲求を抑えることに加えて、罰を受けるフラストレーションを抱えることになります。我慢にエネルギーを多く使ってしまい、食行動を継続的に減少させるのに向いていません。

ちなみに、人やペットなどの動物を対象として行う時に使うと信頼関係が無くなるやり方なので、要注意です。しかも、攻撃性も上がります。

例えば、子供の問題行動などを叱りつけて抑えようとする場面があったとします。しかし、子供が強いと抑え込めなくなります。より強度の強い刺激で弱化をする必要が出てきます。これではエスカレートしていくので、虐待に繋がる恐れがあります。

つまり、好子を取り除く手続きの弱化を選択する方が効果的である場合が多いです。

消去抵抗(消去バースト)

好子を取り除く事を負の弱化と言います。しかし、これをすると一時的に問題行動が悪化します。既存の行動がうまく行っていた時に、弱化を受けると、それまで身につけてきた行動が強くなるという事があります。これを消去抵抗と言います。

消去抵抗により、行動の強度が上がっている時に、正の強化(好子が与えられる)を受けると次からはその強度の行動から始まります。

例えば、自動販売機で飲み物を買おうとして、お金入れて、ボタンを押した時に飲み物が出てこなかった時に、ボタンを連打したり蹴飛ばしたりした経験は無いでしょうか?

他にも、ドアも開かないといつも以上にガチャガチャドアノブを回したり、強めに押したり引いたりすると思います。

これを知らずにやると、悪化したと勘違いしたり、余計に事態を悪くさせてしまう恐れがありますので要注意です。

食べる事を制限したダイエットがリバウンドしやすい理由のひとつになると考えられます。食べる行為を制限します。好子が取り除かれ、消去抵抗の条件が出来上がります。しかし、生き物ですから食べる事を消すことは出来ません。(死にます。)
空腹感により食欲が増します。次に食べた時の幸福感が高まります。そのため次の食行動が強くなりがちです。

食べる行為を抑えている最中に空腹でイライラしていたとします。そのイライラを収めるために、周りの人が優しくしてくれていたり、食べ物が与えられたり、その人にとって他の好子となるものが提示されていたとしたら、イライラすると良い事があると学習してしまい、空腹感を感じるとイライラする事が増えるかもしれません。

消去抵抗が生じた時は、一時的な悪化が収まるまで待つ必要があります。そして適切な強度の行動を学習出来る様にしていきます。

少し脱線してしまいましたが、少しでもお役に立てれば幸いです。

最後まで読んで下さりありがとうございました。

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