ネタで書いたBLっぽい奴の続き

この記事は『限界感情オタクアドベントカレンダー Advent Calendar 2022』の6日目の記事になります。

BL小説

これは以前マストドン書いたBLっぽい小説の続きになります。
ネタで書いたら思いのほか好評というか「続きまだ?」と言われたので頑張って書きました。
BL小説を読んだことがないので濡れ場はフタナリとか男の娘もののエロ同人を参考に書いたので描写としてどうなのかわからんね。
途中でキャラ変わってねと思ったけど途中途中で半年ぐらい空いてたので許してね。
誤字脱字は見直していないので許せ。
最後尻切れで終わっているけど時間がなかったんで許して。

なんか書いてみたが起承転結の起で終わった(ケツまで)

三城下祐人(29)。
彼女いない歴=年齢。
普通のサラリーマンだ。

そこそこの大学を修士で出て、業界ではそれなりの大手の企業で働いている。
そうは言っても俺以上に仕事ができる奴はたくさんいて、出世レースでは同期に水をあけられている。
文句は特にない。5年も務めていると仕事の流れ、金の流れなんかは何となくつかめてくる。
前線で働いて客先で交渉している彼らは仕事のできる連中だ。むしろ毎日書類仕事している俺の方がうらやましがれる立場だろう。

そういう感じ。

やりがいは無いが部署の連中はいいやつらで特に不満があるわけではない。
SNSじゃ仕事の関係者との飲み会は嫌われているらしいが同僚と飲むのは嫌いではない。
こんなご時世、パワハラやらセクハラと捉えられかねない行動なんて気をつけている人の方がおおい。

決して満足しているわけじゃないが特別不満があるわけではない。
俺の人生はだいたいそんな感じだった。
確実に受かる大学を第一志望にして担任教師にも「もっと上の大学を目指せる」と言われたことをは10年以上前。
わざわざ浪人するかもしれないリスクを背負ってまで『頭のいい大学』に行く気持ちはなかった。精々生涯年収が数百万変わる程度だ。

そういう感じ。

年収を考えれば俺の年齢の平均は超えていて会社は有休もとりやすい。一人暮らしが長いのでそれなりに家事炊事はできる。
優良物件だとうぬぼれているが、親しくなった女性はだいたい『いい人』で終わった。
まあ彼女らはその後俺より稼ぎのいい男と付き合っているのだから見る目があったと言わざるを得ない。
いまいち仕事に熱意はなく、かといって特定個人に入れ込む行動をするほどじゃない、何かしらの趣味に人生をつぎ込むわけでもない。
恋人としてはつまらない人間だろうな、と自分でも思う。

そういう感じ。

「そういう感じ」済ませてたから。だからあのへんな男につかまってしまったんだろう。

「そういう感じ」で済ませてたから。だからあのへんな男につかまってしまったんだろう。
つかまってしまったというのも変な話だ。
バイセクシャルを自認している男にホテルに連れ込まれた。ただこれはそれだけの話。

杉田昭
最初に出会ったときは22歳。
学部卒で新卒入社。
初対面の印象は「チャラい」。
実際役員との面接でも染めたまんまの髪で来ていた。
俺が担当した一次面接ならまだしも、役員のおっさん相手に茶髪で行くのは度胸のある男だと思った。
一次面接を通したのは俺だが、まさか二次面接も髪を染めたまま行くとは思わなかった。
飲み会でその話をすると本人は「いや学生時代は紫にそめてたんですよ。さすがにそれはちょっと思って茶色にした俺の社会性をほめてくださいよ」と言われた。
ふざけた男だ。

その度胸に感心したのか、なぜか社長に気に入られ入社した。一通りの研修が終わった後俺がOJTという面目で面倒を見ることになった。

仕事の話は守秘義務などがアリだいぶごまかしている。
あやふやで申し訳ないが許してほしい。肝心なのは俺がそれなりに売り上げをあげている実働部隊のメンバーであるもののドキュメント作成など裏方の仕事をしており、それゆえに評価されているということだ。
単純に新人の面倒を見る手が空いているのがおれしかいなかったというのがわかれば問題ない。

「ん。ああ」
そういった気の抜けた返事をしたのは今でも覚えている。

さすがに5年目ともなると後輩の面倒を見なくちゃいけないんだなと思った。
しかしあまりに突然なので気の抜けた返事しかできなかったのが正直なところ、
「仕事はするが会社利益を考えたりはしない男。」
「後輩の面倒を積極的に見たり自分から同僚の助けになったりしようとはしない」
そういう評価を目指していたしそう思われていたはずだった。なんでいつも微笑みを浮かべている上司に「後輩の面倒を見てくれ」と言われたときは戸惑った

上司にしてみりゃいまいちやる気のない俺に活を入れるつもりだったんだろう。
同期で活躍している清水にも似たようなことを言われた。
「そんだけ気にかけてくれてるって事よ」
普通に仕事をしてれば平でもそれなりの収入が約束される会社で馬車馬のように働きたくはねえな。
酒が入っている席なので冗談半分でそういうと清水は
「頑張ればそれなりに評価してくれて給料もあがる。そういう意味ではいい会社だと思うけどね」
あいまいな顔でそういった。

話を戻す。
杉田の話だ。

杉田は仕事のできる男だった。
頭の回転が速く、慣れない俺の雑な指示も期待通りこなすような男だった。

それと単純に人当たりがいい。
俺の部署ではすぐに馴染んだ。

職場に茶髪で来るような男だが、挨拶やら言葉使いはちゃんとしている。
実際に正しい敬語なのかは俺は国語の先生ではないのでわからないが”ちゃんとしようとしている”。
そういう態度が必要なのはさすがに社会人として過ごしていれば俺でもわかる。
元々中学から体育会系だったらしく先輩や上司に頭下げるのは苦ではないらしい。
テニス部。俺とは違う人種だ。
なんだかんだ上司や客先に気に入られて「杉田君今度ゴルフ行こうよ」なんて言われていた。
「いやーゴルフはやったことないんですよ。テニスならいきますよ。」
朗らかにいいながら笑顔で対応する彼はまあ大人だったんだろう。

あと顔がいい。
好みによるだろうが髪を少し伸ばし中性的な印象がある。
女性ならキャーキャー言うだろろうし、しょっちゅう見せる笑い顔は性別関係なく良い印象を受ける。
いつかだったか「お前モテるだろ」と言ったら「ええまあ」と困ったように笑っていたので自覚もあるのだろう。

教育係にさせられた俺は一応まじめ対応した。
例によって仕事の話なのであいまいになってしまうが、会社の組織図、部署の商流の流れ、客先の重要人物
そういった話を早口で話した後、「何か質問ある?」と言った後「確認したいんですが」と切り出したあとのやり取りは彼の頭の回転の速さを理解できるものだった。
先の話になってしまうがそのあと「新人にあんなに一気に教えても処理できねえだろ。ゆっくりやれ。」と清水に怒られた。
杉田標準で雑に扱うのは普通ではないらしい。その後気を付けて対応したら杉田の直後に入ってきた後輩の長瀬君に「俺のときも気を使ってくださいよ!」と言われた。

あいつのいいところ書きたくねえな。
仕事で大きなミスはしなかったが客先の新人社員を口説いたり色々迷惑かけられたんだが俺。

杉田がバイセクシャルであることは知っていた。
そもそも本人があまり隠していなかった。

さっき言った「お前モテるだろ」「ええまあ」のやり取り後「体育会系の部活だったんでマジで男の先輩に尻狙われてたんすよ」と笑い話風に語っていた時は「お前も苦労しているんだな」と同情したが、その後「いやまあ入れるのも入れられるのもよかったんですけど」と言い出したので俺の同情を返して欲しいと思った。
まあそのあと「とはいえあんまこういう話好きじゃない人もいるんで人には言わないでくださいね」と語尾に♡マークつけてそうな声で言われたときは「キモ」と口に出たが、頭のどっかでは色々あったんだろうなとも考えていた。

3か月のOJT自体は俺の不慣れもあったものの滞りなく終わった。
俺は定型業務や報告書のテンプレートを一通り教えて実務を手伝ってもらった。
物覚えが早い杉田はだいぶ役に立つ後輩だった。
とりあえずというわけじゃないが「やる気ありますし、新規案件の少ないうちより清水の部署に行かせた方がいいと思います」と上司に言ったのは少なからず感謝の気持ちもあった。

この時点で清水と杉田は顔を合わせている。
紹介しようとしたわけじゃない。
「役に立つ後輩に飯ぐらい奢ってやるか」と思い誘ったら清水が来ただけだ。
おそらく同期では最も仕事ができる清水と俺はなぜか仲が良い。

少なくとも俺はそう思っている。

それなりに大きな会社なので出世頭のおこぼれを預かろうと人が集まってきそうなもんだが清水と飲む時は大体少人数か二人っきりだ。社風なのか、清水に人徳がないのか、あるいは俺が来るならと倦厭されてるか。
それは分からないが三人で飲んだときはではまあいい感じだったし、俺が気にすることではない。

色々あったが杉田は清水のとこにいき、それなりに仕事をこなしているようだった。
チーム異動の話をしたとき「先輩俺がいなく寂しくないっすか♡」と言われたときはぶん殴りそうになったけど「キモい」と言っただけの俺を褒めて欲しい。

何はともあれ、清水と杉田はそれなりに上手くやっていたらしい。
チームが違うので実情は分からないが上からくるタスクをこなしそのうえで文句もちゃんという。
再三いうがこのあたり守秘義務でごまかしているので実際にどうこうの話はしない。

ちょいと事が起こったのはそのあたりのタイミングだ。
いつも微笑みを浮かべている上司から声をかけられた。笑ってなかった。
「定時前だがちょっといいかな?」

「あっ、いいっすよ」
めんどくさい仕事になるなと思った。
この人がそういうことを言い出すのはだいたいまあそういうこと。
「清水君のチームに協力してほしい」
「メーリス回ってるから流し読みですけど、こっちの不手際じゃないっすよね?」
「スケジュール的にはこっちが巻き取ることになった」
「クソじゃないっすかね?」

素面が出た。
メールのやり取りでしか把握してないが清水と杉田が抱えている案件が炎上しているのは知っていた。同じ部署だし。
取引先の連絡が遅れて全体の工期が遅れて、何故かこっちが苦労する。そういう流れだ。
清水は初期から連絡が遅いことを危惧して杉田あたりも資料作りをして報告はしていた。結局向こうの都合でスケジュール組まれたわけだけど。

「というわけで作業員みたいなことになるがサポートしてほしい」
「こっちも清水がちゃんと仕事してたし、俺が行く意味が分からないんすけど」
「その清水君が倒れた」

「あーあーあー」
思ったことがそのまま声がでた。
「じゃあやります」

そういうことになった。

相変わらず色々すっ飛ばす。
俺は杉田と一緒に某地方の支社に来ていた。出張だ。
ぶっ倒れたと言ってもすぐに回復した清水は後方支援というか元々の仕様書や議事録からの変更を逐一まとめていたので俺もスムーズに仕事ができた。
「あんたんとこの変更でこっちも工期送れてるんですけど?」といってしまったのは人生最大のミスだろう。会議室が一気に寒くなった。杉田に「マジでやめてください!」と帰りの電車の中で怒られた。

で、何故か俺は杉田と同じビジネスホテルの同じ部屋に泊ることになった。
会社で予約していたホテルの不手際らしい。
シングル二室がダブル一室になった。男同士なのでまあいいやでそのままになった。杉田は男も行ける奴だが別に誰かれかまわず襲うような男ではないので俺も何も言わなかった。

そういう感じ。

一仕事終えたものの会議は長引き支社を出たときはもう結構な時間で、今から居酒屋に行ってもすぐに閉まるような時間だった。
「コンビニでてきとーに酒買って部屋で飲みません?」
そういったのは杉田。
杉田も疲れているだろうが色々頭を悩ませている案件がそれなり目途がついたのですっきりしたのだろう。
「居酒屋、この辺少ないしやってねえか」
控え目に賛成する。

「俺蒲焼やさん好きなんすよね」杉田がつかんで籠に入れる。
「駄菓子じゃん」
「いやいや、これが結構つまみによくて」
「おれ酢だこさんがすき」
「駄菓子ジャン」
学生みたいなやり取りをしながらコンビニで酒とつまみやらなんやらを買って二人で部屋に帰る。

「お疲れー」気の抜けた声で乾杯する。
実際疲れていた。
清水は仕事のできるやつだと個人的に思っているが若く注目されると年かさの連中に色々いわれるらしい。
そいう愚痴を二人、杉田も入れて三人の飲み会で少し聞いた。
仕事できるのも楽じゃねーな。そう思っているから俺はさぼってるわけだが。

「いや、今回はまじで助かりましたよ三城下パイセン」
杉田が赤ら顔でいう。酒に弱いタイプではないが疲れていたんだろうか、夕飯もまともに食べていないすきっぱらだからすぐに酔ってしまったんだろうとおもった。
「いや清水がドキュメントなりなんなりをちゃんと作ってたからで俺いなくてもお前一人でこなしてたんじゃね?」
俺も腹の中がカッと熱くなるのを感じていた。普段よりか砕けた言い方でそういった。
「いやいや単純に手が足りなかったですから。清水さんもまじで大変そうでしたよ」
「まあその辺は実際やり合ったから分かる・・・。」

そんな感じで世間話を進めていると唐突に
「でも俺と同じ部屋でよく泊りましたね」
そんなことを杉田が言い出した。

言葉を選ぶ。
「俺別にお前の好みのタイプの男ではないだろ」
誰彼かまわずおそうようなやつじゃないだろ?そういう意味でいったはずだった。

杉田は少し黙って考えるような仕草をした後、
「でも清水さんのこと好きですよね先輩。恋愛的な意味で」

「あーあー」声が漏れる。
しくじったと思った。何が「でも」なのか。文脈はつながっていない。
そもそも清水は女だ。
仕事もできて同僚として信頼してるし顔もいい。男に負けるかと思っているかは知らんが負けん気が強い表情は嫌いではない。
でもそれは恋愛とか一切関係なはずだしバイセクシャルの同僚とする話ではない。

「まじなやつじゃん」
杉田が笑った。
「なにいってんだよ?」
「いや、安心したって言うか」
お互い覗うように少し黙る。
「シャワー浴びません?」
「ひとりで行けよ。俺は後で入る」
お互い仕事上がりですぐに飲み始めたのでスーツのままだ。
寝る前にシャワーぐらい浴びるつもりだったが特にタイミングは考えてなかった。

「一緒に振ろ入りません?ってことです」
ドストレートとに誘われた。
じゃっかんビビる。
というか怖い。

「この流れで一緒に行くとぜったい犯される奴じゃん。おれそういう趣味ないんだけど」
「おれネコなんで」
「意味が分からない」
「ちょっと仕事ができる後輩にご褒美と思って一緒に風呂に入るとと思えばいんですよ。俺からは手を出さないんで」
「余計意味が分からない」

お互い酔ってたんだろう。
そういうことにする。言い切られる流れでなぜか俺と杉田はユニットバスに一緒にはいっていた。だいぶ強引な流れだった。

「狭い」
口から言葉が漏れる。
何故かシャワーもそこそこに湯船にお湯をためたあとしな垂れるように杉田は体を預けてきた。
手を置く場所がないのでなんとはなしに杉田の腰のあたりに手を置く。
細くは無い。
引き締まった腰つきだ。
浮かび上がった腰骨が彼の中性的な顔立ちとともにある種の色っぽさを演出している。
「おんなの子がキャーキャーいうだけあるよ」
独り言のようにつぶやく。実際ひとりごとだ。
酔っぱらっているんだろうか杉田は俺に体を預けた後黙っている。強引に笑い話にしようぜのノリで男二人で風呂に入った俺の立場はどうなる?

「はぁ」
吐息が俺の胸にあたる。
「キモいからやめろ」
「すいません酔ってます」
「それは分かる」
「ちょっとすいません。調子に乗りました」
「何に調子に乗ったのか知らないけど今後気をつけろ。お前も言ってただろうが両性愛者だと公言すると色眼鏡でみてくる人もいる」「わかってはいるんすけどね」
そこでまたはぁと息をこぼす。
吐息が乳首のあたりにあたって気になるので体勢を変えて欲しいと思ったが今強引に触ると差しさわりがありそうでやめた。
俺の手は腰に置いたままで動かせない。

「おいそろそろ出ようぜ。酒入ってるしのぼせそうだ」
「はい・・・」
実際のぼせてるんだろう。杉田は少しぼーっとしていたので半ば無理やりにタオルを手渡し、寝間着を着せた。
さっきまで普通だったのに「風呂に入ろう」と言い出した途端こんな調子で俺はだいぶ困惑していた。

残ったビールを飲みながらベットに転がした杉谷に声をかける。
「まじでなんかあったの?さっきまで普通だったのにいきなりで結構心配なんだけど」
「なんかあったって言うなら先輩のせいっすね」
「今回の案件きつかったし疲れてるだけだろ」
「そういうことにしときましょう。わるかったっす」
気まずい沈黙が少し続く。

「あーなんか俺が悪かったなら謝るから。心当たりねえけど。」
今後もその調子だと困るのはほんとだが心当たりがないのもほんとなので若干苛ついたような声が出る。
「じゃあ頑張ったご褒美に添い寝してくれません?手は出さないんで」
「きも」
思わず相槌のように言ったが成人男性から添い寝をしてくれと言われても困るというのが正直なところ。
しかし今回の案件がきつかったのは分かるので、ず太いように見える杉田もいろいろまいっていたんだろとおもう。
仕方ないので、隣に寝そべる。

顔を見る。
何故か涙目だった。
「なんで泣いてるの?」噴出してしまった。
いや、そこはマジにとらえてしまうよりか噴出して笑い話にした方がいいという判断だった。
「いやちがうんすよ」
杉田のやつまじ泣きしやがった。
困惑する俺。
「なに?」ひきつった笑顔でごまかそうとするから女にもてないんだよと内なる俺が突っ込む。
いや今目のまえで泣いているのは男だが?

「ちがうんすよ。今回の仕事色々あって結構辛くて。清水さんが倒れた後先輩が来た時ほんとに安心して。清水さんのこと尊敬してるけど先輩が清水さん好きなこともわかってて」
文章になってない。
多分杉田はおれのことが好きで清水との中に嫉妬しているんだろうなと何となくで理解した。
両性愛者の気持ちなんかわからねえよと思ったのが正直なところ。同性愛どころか異性の恋人の一人もいたことない俺はなぜ泣いているのかよくわからなった。
それ以上に、怒りにも似た気持ちが湧き上がってきた。
おれも疲れていたんだろう。
精神的に参っている後輩の男に気を遣うのも疲れるという気持ちがあった。
よく働いている後輩に対するねぎらいの気持ちもあったのは本当だがいい加減俺もめんどくさくなってきた。

「わかった。わかった。おまえ疲れてるんだよ」
そういって抱きしめる。
髪と肩をなで、腰に手を回す。
風呂上がりだからか温かく心地よい。
女にだってこんなに優しくしたことないなとふと思った。

俺も杉田も黙ったままだ。
そのまま眠りたかった。
しかし部屋の電気はついたままなので眠れないまましばらく沈黙が続く。

杉田が少し身じろぐ。
めんどくさいので強く抱きしめる。
そのまま寝ろ。俺も寝る。
逆効果だったのか杉田の膨らんだものが俺の太ももあたりにあたる。
俺も男なのでそれが何かはすぐわかった。
「はあ」
ため息が漏れる。
「すいません」杉田が謝る。

それがひどく苛ついた。
変なスイッチが入ったのだと思う。
なんだこいつは。
仕事ができて顔もいい。
両性性愛者という社会的な悩みは抱えているかもしれないがそれを公言しても受け入れられる程度には男にも女にも人気がある。
それが俺みたいなつまらない男に懸想し泣いている。
あまつさえ抱きしめられて勃起している。

ひどく意地悪な気持ちになった。

腰に回していた手を尻と怒張に動かす。
「いやそういうわけじゃなくて」
杉田が言い訳じみたことを言うが何がそういうわけじゃないんだよ、そう思ったが口に出さない。
睦言めいた言葉は苦手だし言葉攻めなんかやったこともない。
なので黙って手を動かす。

ゆっくりと手を動かす。
経験があるからわかるが強すぎるとはっきりいって痛い。なので優しくなでるように触る。
「あっ」と杉田は声を漏らす。
酒が残っているのか赤くなり涙の跡が残る顔はひどく色っぽく見えた。
ゆっくりとなでる俺の手は無意識のうちに少し力が強くなりしごくような動きになる。
そのあたりで杉田の手も俺の股間のあたりにを触り、じらすように俺の物をしごくように動いた。

それがひどく苛ついた。

こいつが男とも女とも寝たことがあるのは知っていたし性に奔放なのも知っていた。
しかし俺のものを触る手つきは風俗嬢のようになれていてそれが経験の多さを察せられた。
自分勝手な怒りがわいてきた。
俺のものを触っていた手をつかむと体を寄せより強く抱きしめる。
俺と杉田の体は近くなり、ものも触れ合う程度に近づく。
「ちょっと先輩マジな目じゃないっすか。こわいっすよ」
余裕を取りもどしたのか、半分いつもの調子で杉田は言う。
さっきまで泣いてたくせに。
黙って俺は頭を押さえキスをする。風俗に行ったときもしないほど無理やりに。
「うぁ」
杉田の顔がより赤くなったが気にする必要はない。

俺は黙ったまま杉田の手をお互いのものを握らせるように誘導する。
杉田のはだいぶ固く俺のものに触れると感じているのかびくっと動いた。
二つのものを握ぎらせ俺はその上から手を覆うように握りゆっくりと動かす。

杉田は「あ・・」と吐息にもにた声を漏らすが俺の手が動かすまま握っていた。
お互いに黙ったまま、耳元の杉田の吐息と股間のあたりから水っぽい音だけが俺の耳に流れていた。

しばらくたって俺の方が先に根をあげた。
ありていに言っていきそうになったのだ。
「すまんが、そろそろ出る」
お互いに黙りこくったままお互いのものをさすっていて随分情けないことだが、沈黙を破ったのは俺だった。
杉田はにや~と人が悪い笑みを浮かべ普段と変わらぬ様相で
「あーしょうがないっすね」と言って手の動きを早くした。
自分のためか、杉田のためか、肩に回した腕により強く力を込めて抱きしめる。
「ほらいっちゃえ」
エロ漫画でしか聞いたことのないセリフを言われ俺は射精した。

荒い息を吐き肩に回した手をほどき杉田から体を離すと下腹部は出したものでだいぶ汚れていた。
気が付かなかったが杉田もいったらしい。
お互いがだしたものがお互いの体を汚しているのはなるほどエロティックで古代ギリシャ人が男色にふけったのもわかるなと冷静ではない冷静な頭で思った。

なにか声をかけようと思い、やめる。

枕もとのティッシュでお互いの体をふく。
杉田は途中魅せた余裕な顔なんかしてなかったように息が荒かった。
赤くなった顔で目を潤ませはぁーはぁーっと呼吸は色っぽく古代の美少年趣味とはこういうことなんだろうなと、射精しておきながら風俗嬢に説教するおっさんのようなことを思った。

ぐったりしているのか動かない杉田の体を勝手に拭き、布団をかける。
「お互い疲れてたんだよ。もうねろ」
何もなかったように語り掛ける。
実際時計を見ると日付はとうの昔にかわり明日も仕事だと考えると憂鬱になった。

「あの」
「なんだよ」
「一緒に寝てくれません?」
杉田から甘えるような声が出た。

なんなんだろうこいつは。
もし女だったら都合がよすぎるし、女だったらこんな感情を抱いていないだろうなと先ほど抱いたいらだちが俺の中で再び巻き起こる。

「今日は寒いしな」
言い訳のようなことをいい自分でかけた布団に潜り込む。
杉田に触らぬようにして、杉田も俺に触らないような数センチほど離れた距離でそのまま眠った。

その次の日はお互い何もなかったように会社に戻り報告をし、いつも通りの日常を過ごした。
杉田はたまにダルがらみしてきて俺が「きも」と言って同僚らがわらう。
そういういつもの定型業務。
清水を交えて3人でたまに飲みに行くのも変わらず。
今回の件ではだいぶ感謝されたが一回奢ってと言ったらほんとにおごろうとしてきたので止めた。

清水は体調を崩したものの仕事ができることは変わらず、ばりばり働いている。
俺は定型業務。たまにほかのチームのサポートに行くことが増えた、そのせいかボーナスには色をつけてもらったので上司には感謝している。
杉田は、杉田はあの一見からも特に変わらずお互いにし過ごしていたが1年と少しで転職した。友人がやっている会社の立ち上げに関わることになるらしい。仕事はできるからどこに言ってものになるだろうから心配しなかったが「先輩俺がいなくて寂しくなりません♡」と行ってきたのは相変わらずむかついた。

そのあともたまにあって酒を飲んだりしている。

あの時のことを引きづっているのは俺だけで、清水さんのこと好きなんだからさっさとつき合えと親戚のおばちゃんのようなことを言ってきた。
まあなんやかんやあってそのあと清水と正式に婚約することになるのだがそれは別の話。
さらにいうと杉田が両性愛者の女性と結婚したあとなぜか俺がその奥さんとに誘われて修羅場になるのは笑い話にもならないのでしたくはない。


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