「ランダムということ」
text by 久家
こんばんは、久家です。
まずは、あけましておめでとうございます。
いやあ、寒いですね。
僕は普段職場まで原付で20分程かけて通っていまして、
先週まではゴツめのReebokのダウンを着ていれば比較的快適に通勤できていたのですが、
ここ2,3日はグッと冷え込んでいるようで、体感温度は氷河期です。
皆様もこの時期、原付に乗る際は、氷河期が到来致しますので、お気をつけください。
◯ランダム再生設定の欠陥?
さて、今日は「ランダム」について、書こうと思います。
「ランダム(random)」は「でたらめの」とか「行き当たりばったりの」というような意味の英語です。
日本でもカタカナ語として日常的に使われていますよね。
今朝、いつものように8時半に職場に到着し、パソコンを立ち上げ、音楽用の画面バキバキiPhone6で
最近ハマっているsirupのsynapseを再生して、仕事を始めました。
新鮮な気分を保ちたいので再生設定はランダム。
しばらく仕事を続けていると、あることに気づきます。
あれ、"また"sirup?
僕の音楽用の画面バキバキiPhone6には100人以上のアーティストと1500曲以上の楽曲が入っていて、
そのうちsirupの曲は6,7曲程度。めちゃめちゃレアなsirupコンボが来たのです。
レアって言い方だと少しプラスに聞こえるかもしれませんが、その時僕が思ったのは"また?"でした。
もちろん好きなアーティストであるからダウンロードしているわけですが、
作業モードの僕は新鮮な気分が何よりも重要、そのために音楽を流しているといっても過言ではありません。
で、思い返してみると、こういうことが以前に何度も起きていることに気が付きました。
そこで、ある疑問が浮かびます。
「この機械、ランダムにするのがめんどくさくて、勝手にルーティンを作ってるのではなかろうか。」
「そもそもランダムってなんなの、完全なランダムって可能なの。」
調べました。
すると、同じような不満を持っている人が一定数いるらしく、ある程度信ぴょう性のありそうな情報を入手することができました。
◯アルゴリズムによる純粋なランダム
ほとんどの記事に書かれていたことは、
ほぼすべての音楽配信アプリのランダム再生は、ちゃんとランダムであること。
また、シャッフル再生については、シャッフルボタンを押すことで、シャッフルしなおすことができるというシステムで、シャッフルの結果はちゃんとランダムであること。らしいです。
僕の予想は外れ、ちゃんとランダムになっているようです。
しかし、
ランダム設定はランダムではないじゃないか! や、利権が絡んでいて制御されているんだろ!や、ランダムに再生されなくて不快だ!
といった僕と同じような体験をしたであろう方が実際にいることもわかりました。
ではなぜ、そう感じてしまったのか、考えました。
◯ギャンブラーの誤謬
みなさんは"ギャンブラーの誤謬"という言葉をご存知でしょうか。
平たく言うと、人間の脳に起こる錯覚現象なのですが、
例えば、ルーレットでボールが4回連続で赤に入ったとします。
もしこのタイミングでベットする場合、次こそは黒に入るのではないか。。。と思ってしまいそうです。
こういった心理傾向をギャンブラーの誤謬と呼びます。
実際は赤に入る確率も黒に入る確率も同じ2分の1で、その前までの結果はその後の結果に影響を与えることはありません。
このように、人間は長い間同じ状態が続くと次は何か違うことが起きるのではないか、という根拠のない期待に似た推測をするようなのです。
今回僕はこれと同じ理由で同じアーティストの曲が続いたことで、次こそは違うアーティストが、、、と推測をし、
その次にランダムに選ばれた曲がたまたま同じアーティストの曲だったために、
これはランダムではないようだ。と錯覚してしまいました。
これだけ低い確率の事象が続いたのだから、"もうそろそろ"変化が起きるだろう。というなんの裏付けもない推測を自然に、何の疑いもなくやってしまっていたのです。
そしてそれが三度裏切られて、そもそもの前提条件を疑ってかかったのです。
これがギャンブルであれば、ディーラーにイカサマだろ!と食って掛かるようなもんですかね、本人はイカサマだと確信しちゃってるので、タチが悪いですね。
◯作られたランダム
実は、それが時に"また"○○?と不快に感じる要因となっていることを音楽アプリの運営は認識しているようです。
ある運営は不快になりうる事象を解消すべく、ランダム再生に一つのルールを与えました。
それが、"再生中の楽曲のアーティストは、リストの後ろへ配置する"というアルゴリズム。
これを導入すると、同じアーティストの曲が連続で再生されることがほぼなくなります。
また○○?という不快感を感じずに済むようになったのです。
ランダム再生を好むユーザーにとっては、こちらのほうが常に新鮮な気分を保つことができ、快適だとおもいます。
ですが、それは同時に、純粋なランダムではなくなるということでもあります。
つまり、僕は純粋なランダムではなく、アーティストが連続しない制約がかかった上でのランダムを求めていたのだということに気づきました。
ああして欲しい、こうして欲しいなど注文を沢山言っている人も、実は何でそうしてもらいたいのか分かっていなかったりします。
物やサービスを生み出す側の人間は、そういった使い手の無意識下のニーズを汲み取ることが必要だなと改めて感じました。
最後に、
大型音楽ストリーミング配信サービス『Spotify』代表のババール・ザファール氏はこう述べています。
「私たちの脳は素晴らしい法則発見器で、実際には存在しない法則すらも見つけてしまう」
結局、純粋なランダムは認識できないということなのかもしれませんね。
それでは、本年も宜しくお願い致します。