EEE
読みもの「EEE」
それは
ある日のド昭和。
クラスの女子が
みんな履いていた
キラキラメッシュのサンダルを
自分も履きたくて
母親に泣きついた私は
イトーヨーカ堂の
靴売り場にやってきた。
今でこそ
未就学児さんくらいの年齢の子が
履いている印象の
キラキラメッシュサンダルだが
当時それは
小学校低学年女子に
大いに流行っていたのだ。
先がほっそりした
パンプスのような形。
透明でラメの入った
キラキラのサンダルは
シンデレラのガラスの靴のように思えた。
*
今まで出会った靴の中で
最もかわいいと思った。
そんな靴に
恐る恐る
足を入れてみると…
幅広の私の足は
哀れ、半分くらいしか入らなかったのだ。
ガビーン!!!(昭和的ショック)
*
「しょうがないじゃない。」
母親に言われても
しょうがないとは思えなかった。
全くしょうがなくない。
私は思いっきり落胆した。
*
ああ、私は…
ガラスの靴みたいなこの靴が
……入らないのか。
(友だちはみんな履けるのに!)
シンデレラになり損ね
シンデレラ姉のように
無様に足が入らないショック。
自分に「意地悪で不細工な女」という
烙印が押されたように感じた。
(※おおげさだな!)
無様ついでに
シンデレラ姉がそうしたように
靴を引っ張ってなんとかして
足をねじ込んでやりたかったが
虚しくなってやめた。
真っ暗な
底なしの穴に落ちてくような感覚。
(※本当におおげさだな!)
そう、
私は大げさな子どもだったのだ。
しばらく引きずった。
口惜しかった。
ううう。
*
今なら別に
1ミリも気にしないことだけど
子どもの頃には
ショックな事件だった。
EEEサイズみたいなのが
子ども用にも
あればよかったのになあ。
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