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娘に引かれてハリポタ詣り

読みもの「娘に引かれてハリポタ詣り」

「牛に引かれて善光寺詣り」
という言葉がある。

牛が角に洗濯物を引っ掛けたまま
走っていってしまい、
それを必死で追いかけたおばあさんが
ついには善光寺にたどり着いて
お詣りすることになったという伝説。

「思いがけないご縁で偶然に良いほうに導かれる」
という
ことわざ的意味で用いられる。

さて
春頃からハリーポッターシリーズの
読破に挑んでる娘。

クラスの数人の間で
地味に流行っていたこともあり、
図書館で借りたり、新書を買ったり
読み進めるうちに
ものの見事にどハマりしてしまった。

「お母さんも読んだ方がいい」
とおすすめされるも

子供の頃に
「不思議の国のアリス」を読んで
世界観も翻訳された文章の感じも
あまり好みでなかった私は

イギリスからやってきた
魔法山盛り超大作であるハリポタを
読み通せるか自信がなかった。
映画も見ていない。

ところがである。

恐るべしハリーポッター。

たくさんの固有名詞や
翻訳の壁やら、文化の違いすらも
全くものともせず

あっという間に
読む人を物語の世界に引き込む
超パワーを繰り出してきて
私は早々に
ノックアウトされてしまった。

どんな感じかというと

ドラゴンボールとか
鬼滅の刃を見た時に
「あ、まずいぞ、これ面白いやつだ…」と
どハマりする、その瞬間のような高揚感。

どんな作品にでもあるわけじゃない、
世界的に売れるやつが持っている
ググッとハートを鷲掴みするパワー。

……こりゃ売れるわけだよ。
面白いもん。

ひとっつも挿絵がなくて
字も細かいのに
子どもが
がっついて時を忘れて読んでしまうのだから
本当にすごい。

20年経ってようやくハマる私。
今まさに
私は娘に引かれてハリポタを詣っている。

そんなこんなで
夫が勢い余って

最近オープンした
ワーナーブラザーズスタジオツアーに
予約をぶっ込んだ。

娘はどうも
ハーマイオニーの衣装を
着て行きたいと張り切っている。

夫は
私にだけそっと言う。

「小さい頃はプリンセスの格好ではしゃいでいたのに
あっという間に大きくなってしまって
『ドレスとか、もうそういうのいいから。』とか
言うようになってしまった。
何かの扮装をして私たちとお出かけしてくれるなんて
もう最後かもしれないよ。
だから予約取っちゃった。」と。

それを聞いて
なるほどな、と思った。

あの小さかった娘も
最近すっかり
お姉さんになってきてしまったものな。
写真も昔のように撮らせてくれなかったりする。

成長してるのは
嬉しいことなんだけど
同時にしんみりもする。

……大きくなっちまってよ。

だから
スタジオツアーにかこつけて
「娘の写真撮りまくりバブル」
を静かに堪能しようと思う。










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