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初めから教えといてほしい検眼知識と技術とは?

眼鏡を作る時って、眼科さんで処方箋を出してもらったり、眼鏡屋さんで視力測定して眼鏡を作成するのが一般的だと思いますが、眼科さんで処方箋出してもらって作ったもののイマイチだったり、眼鏡屋さんで測ってもらったけどしっくりこない、、

そんなことをお客さんから言われたり聞いたりしたことはありませんか?

もちろん人間なので完璧な処方というのは難しいものはありますが、イマイチと思われる原因はいくつか考えられます

この記事は主に眼鏡の視力を測定し、眼鏡の度数決定をする際に「何故その度数を処方したのか?」を説明することが苦手な検眼初級〜中級者さんへの情報となります

仕事場で教えられる検眼マニュアルや眼鏡学とは違い、中々教えてもらえない装用度数決定方法に特化した情報です

結論をいうと

眼鏡の処方をする際、必要なことはお客さんの情報とお客さんの意思を「しっかりと聞けること」です

ふつうですよね

では、「聞いてるけど?」って思った人に聞きますが
「なんでその処方にしたの?」って聞かれて細かく追求されても答えられるのであれば問題はないと思いますが、「お客さんがそう言ったから」なんて頭で考えた方は注意です(結構いてビビります。えっ?お客さんの数年先までの視生活を決めるんだよ?、、)

検眼を勉強してるけど、機械操作やら予備検査やらやること多いしイマイチ自信ないなぁ、、って方への知識と技術アップに繋がればと思います

なお、これより先の内容は検眼基礎知識を知った上でご覧いただいた方が、より理解が深まるので、機械の操作や用語はある程度分かるものとして進めますのであしからず
あくまで処方の正確さと度数決定までのスピードを上げる為の知識と技術だと思って頂ければとおもいます

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ゴールまでの道のりを最初に決める

装用度数決定までの道のりを正確で最短にする為に、絶対にお客さんに聞くことを書きます
(注:ここを省くと絶対に遅くなります)
お客さんと何を見る為の眼鏡を作るのかを深掘りしてからスタートします

その為にはまず情報を引き出します
1.現用眼鏡(以後KB)の使用年数
2.KBの不具合な所
3.今回の作成する眼鏡は何用で、どうするのが希望か?
この3つを「しっかりと追求して聞くこと」が
すべての処方理由に繋がります

運転用なら普通免許か大型免許か?
年齢によって老眼が入るので、手元は外して見るのか1本の眼鏡でいきたいのか?
読書用なら何センチから何センチまでの距離を見たいのか?
お客さんの職業や生活環境別にお勧めな設計レンズ(遠近、中近、近々)をイメージ出来るか?
ざっくり考えただけでもこのくらいはあります

大事なことは、眼鏡の設計の限界を伝えられた上で、「どことどこを見たいか?」「ここは見たいけどここは見えなくなってもOK」などを聞き出すまでスタートしないことです

どこを見たいか決まったら

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検査手順

オートレフ値をとる
裸眼測定(片眼、両眼)
KBで測定(片眼、両眼)

以下は必要に応じて行う予備検査
R/Gテスト(近視、遠視)
クロスシリンダーテスト(乱視)
利き目テスト
ワース4灯
完全矯正値最弱度数決定

予備検査の必要性

まず予備検査についてですが、全てやる必要はないです
もちろん全てやった方がちゃんと調べてくれてるって思うお客さんもいるかもですが、やるなら3分以内に収めてください
検査は受ける側はめちゃしんどいです
たまに初心者の練習台になることがありますが、5分過ぎたら疲れてきます
疲れたら正しい目の力を測定できなくなるので、10分も予備検査に時間をかけるなら眼科に行ってもらった方が有意義です(結局目の病気などの診断は出来ないから)
自己満な予備検査は今すぐやめてあげましょう

今回度数決定をするにあたっての必要な項目を仮枠装用時に後から追加すればOKです
(左右バランスが均一にならないから利き目テストするとか、乱視入れても改善されないから水平眼位テストをするなど)

仮枠テスト

ここでようやくテストレンズを入れますが、この時の装用基準が初めにお客さんと決めた今回の主訴です

例1
45歳男性
裸眼視力右目0.3左目0.3両眼0.3
KB年数5年
主訴 遠くが見えにくいので見やすくしたい
運転もよくする
仕事でパソコンもよくする
今回の情報
KB S-2.00で視力0.7 レフ値S-3.25
最高矯正値 S-3.00で視力1.2 加入数値0.50
の場合

ダメな考え方
「遠くが見えにくいって言ってたし、このお客さんは視力1.2まで出るから、1.0くらいにしとこうかな。度数はS-2.75くらいだな!」ではなく
まずお客さんの視生活を考えて説明から入る
「今の眼鏡の度数は、パソコンなどはまだ見やすい距離にピントが合っていて、そこから度数を上げると遠くは見やすくなりますがパソコン作業は目の力を使いますので少し疲れやすくなる可能性があります。ですので、今の眼鏡は仕事のパソコンや家の中で使って今回の眼鏡は運転メインでパソコン使用時は掛け替えできますか?それとも1つの眼鏡で両方見たいですか?」
と、質問をして次のルートを選択してもらう
それによって、使い分けなのか累進レンズで作成なのか、メリットとデメリットを知った上でお客さんに選んでもらうことが大事です

ダメな例はこちらが勝手に想像して度数を決めて、それで手元が見えにくくなることを後から伝えてしまう点です(もしくは伝えず終了する)
もし、お客さんが手元見えにくくなることを理解していて、なおかつ遠くだけ見やすくしたいと言ってきてるならほぼ正解度数ですが、違いますよね?
「遠くが見えにくい」しか解決してませんよね?
隠れ主訴である「パソコンもする」に対して
遠方の視力を1.0にした場合の話を
伝えてませんよね?
それを伝えた上での度数決定をしましょう

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例2
70歳男性
裸眼視力右目0.1左目0.1両眼0.2
KB遠近度数S-5.00 加入+2.00 視力1.0
KB年数3年
主訴 KB遠近でパソコンが見えにくい
今回の情報
レフ値S-4.50最高矯正値S-5.00で視力1.2
加入数値2.50の場合

この場合の選択肢として
1.加入を上げる
2.近視を下げる
3.設計を変える(中近、近々」
が考えられますが、これもお客さんの視生活を相談しながら決めていきましょう

提案1
まず単純に加入を+0.50上げれば見えるようになるでしょうが、デメリットが多いです(おススメしません)
理由1
左右の歪みが増え視野が狭くなる
理由2
単純に度数が上がって目線の位置が変わって見えるようになっただけ
対策例
運転用と併用出来ないのなら苦肉の作として
S-4.75にして加入を+2.25にするなどがあります

提案2
設計を中近か近々にして運転用遠近と併用してもらう
中近なら運転出来なくなるが、中間〜手元の視野を遠近より広く取ることが出来るので、
度数はそのままかS-4.75にするか加入を+2.25にすれば解決します

近々なら手元の必要視野距離を計測して
40センチくらいから奥行き80センチなら
およそS-2.50逆加入-1.50あたりで解決すると思います

ここでのポイントはお客さんが遠近の存在しか知らなかった場合、違う設計のレンズがあり、メリット、デメリットを解説したのち今回の主訴をもう1度聞いてどの設計を選んでもらうかということです

まとめ

視力測定はある程度経験が必要な点もありますが、正直その経験をもつ先輩がそれを初めから教えてくれていれば防げる失敗はたくさんあります

お客さんの視力を決める重要性について、お客さんの視生活を考える為の「コミュニケーション能力」と「聞く力」を向上させることが、生産性の向上に繋がると思いますので
これから先も研鑽していきましょう
おつかれさまでした

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