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「老眼鏡よりも使いやすい!?近々両用をおススメするポイント」

みなさんは「近々両用」を提案しようかな?って思うタイミングってどんな時ですか?


一般的には中近両用では手元の見え方が満足できなくなってきた60代以上の方だったり、調節力が同世代よりちょっと少ない50代くらいの方が対象になると思います。


遠近両用は提案するけど、中近両用や近々両用はイマイチよくわからないから、ムリやり遠近両用で処方してることってないですか?


僕も若手のころは、中近とか近々ってイマイチよくわからなかったので、提案の選択肢として考えることも少なかったんですけど、今は「お客さんの主訴」に沿って「あ、これなら中近とか近々の方が快適にできそうだな」って言うのが考えられるようになりました。


よくわからないものを提案するのは怖いという理由で、お客さんの快適な選択肢を減らすのはもったいないと思いますので、ぜひこの動画で近々両用の特徴をしって、近々両用の提案ポイントを押さえてもらえればと思います。



近々両用は、簡単に言えば「遠近両用」を逆さまにしたイメージがわかりやすいかと思います。


遠近両用は遠方視野が広くて、近方の視野が狭い設計だと言うのはわかりますよね?


比率で言えば「遠方8割、近方2割」みたいな視野イメージですね。


これを逆さまにしたということは、

近々両用は、「近方8割、遠方2割」みたいな視野イメージで大丈夫です。


加入度数は、逆加入

-1.00、-1.50、-2.00などが一般的で

「加入度数が増えるほど左右の歪みが増えて視野が狭くなる」というのは

遠近両用と同じです。


では、どのように処方していくかを解説していきます。


近々両用の処方は特にむずかしくなく、

2つのステップだけです。


ひとつ目のステップ

・まず手元をどれだけ近い距離で見たいか?を確認する


これは老眼鏡とかと同じで、どこまで近い距離で細かいものを見たいか?を確認するということです。


一言に老眼鏡と言っても、10センチで見る人もいれば、40センチで見る人もいます。


これは、その方の生活スタイルによって変わるので、「いつもと同じように楽な体勢でどのくらいの距離で見ますか?」と質問してみてください。


「見たい距離」が決まれば度数を入れていきましょう。


一般的には「最高矯正値に年齢加入」を入れれば40センチ前後の明視域に入るはずなので、年齢加入を変にブレさせなければ大丈夫だと思います。



例えば「年齢が50歳で加入度数が2.50を超えている」とかですね。


フォロプターなどで加入度数を測定する時に、年齢より明らかに強い場合などは数値がおかしいと疑い、参考程度にするようにしましょう。




ふたつ目のステップ

・そこからどれだけ離れた距離を見たいのか?を具体的に確認する


近々の加入度数は-1.00から-2.00が主流なので、-2.00を超える範囲を見たい場合には「中近両用」に切り替える提案をしましょう。


例えばパソコン画面が少し離れていたり、「1メートル以上の距離も見たい」という希望の場合です。


近々両用はあくまで「手元」がメインになるので、変な色気を出して「離れた距離を見たい」からといって加入度数を2.00にするのは悪手です。


近々両用の加入度数は、できるだけ-1.50に収まるようにしましょう。


理由は、加入度数が2.00になると左右の歪みが増えて「近々両用の良いところ」がなくなってしまうからです。


近々は近々のメリットデメリット、中近や遠近もそれぞれにメリットデメリットがあるので、そこを混ぜるのは本末転倒になります。


テストレンズで見てもらった時に、-1.00で70センチ、-1.50で100センチぐらいがレンズ上部の明視域の目安です。


テストレンズがない場合は、手元の度数を仮枠に入れた状態で、-1.00か-1.50のテストレンズを上から入れることで、およその見える範囲を体験することができます。


実際には左右の歪みが入るので、そこの説明は絵を見せたりして理解してもらいましょう。



近々両用の処方ステップは以上です。


おさらいすると、

まず手元の距離を確認して度数決定する。

そこから見たい距離を確認して逆加入を入れる。


この2つです。


そんなにむずかしくないと思いますが、何でみんなむずかしく考えるのかと言うと、お客さんに「見たい距離」を確認しないのが原因です。


つまり「なんとなくこの辺かな」と言った具合に「フワフワ」してるからですね。


この「見たい距離」を明確にすることで、お客さんも「この眼鏡はここからここまでを見る眼鏡なんだな」と理解して使うことができるし、何より処方ミスを減らすことができます。




結局のところ、近々両用をおすすめするタイミングは、遠近や中近のレンズを使いこなした上で「さらに手元の見え方を改善したい」という60代以上の場合か、


同世代の人より調節力が弱くて老眼鏡では奥行きを見ることができない50代以上の方が対象となります。


老視初期の40代に近々両用は最強の眼鏡になりますけど、後に「遠近や中近の視野が狭くて使えない」ということになるので、よほどのことがない限り提案するのは避けて、弱加入の遠近かリラックス系のレンズを提案するようにしましょう。

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