余所者も何もあるか、近所の寺が燃えている。(『寺が燃える』山羊メイル著)
日本語で小説を書く上で寺を燃やすのは勇気がいると思うのです。三島由紀夫の『金閣寺』があるので。アニメを作る人が、環境汚染で滅んだ文明を扱うのに覚悟がいるだろうことと似て。
お寺と近しい関係の土地で、火事の知らせを受けて家に向かい家族の無事を確かめるA面と、鎮火後のB面で構成されています。A面は、火事の影響で、みんな少しずつおかしいことを、冷静に描かれている。新宿駅を思わせる野次馬も、貴重品を取りに家に戻った奥さんも、待つには幼過ぎた小学2年の男の子も、主人公を殴った男も、皆