判例聖地巡礼(大阪南港事件)

友人と名門大洋フェリーに乗ることになった。大阪では乗船まで別行動だったが、することが無くなったので港に向かおうと予約明細を開くと、「大阪南港」という文字列に見覚えがあった。もはやどこで読んだのかも覚えていない「大阪南港事件」の有名な判例である。

三重県で暴行を加えたうえで被害者を大阪南港の資材置き場に放置したところ、そこで何者かによってさらに暴行が加えられて死期を早めたという事件で、判決では三重県の暴行と死亡との因果関係を肯定して傷害致死罪の成立を認めた。詳しくは裁判所のWebサイトなどで調べていただきたい。

せっかく判例聖地の近くに行くのであれば、しっかりと訪れたくなる。図書館に行けば伏字になっていない住所を見ることができるが、その時間が無くても同じ趣味を持つ人のブログなどがすぐに見つかる。「大阪市住之江区南港南三丁目八番地横浜鋼業株式会社南港スチールセンター北側資材置場」とのことで、Googleマップで調べるとすぐに出てきたので行くことにした。

フェリーが発着する「大阪南港」と同じ地区ではあるものの、犯罪現場となるような場所はもちろん人の多いフェリーターミナルからは遠く、貨物倉庫の地区でさらに奥まったところにある。最寄りの南港東駅から徒歩22分、フェリーターミナルからは27分かかる。

ニュートラムで港湾地区の景色を楽しみながら乗り、フェリーターミナル駅の隣にある南港東駅で下車。改札を出たあとの通路が曲面の壁になっており好きな雰囲気。

駅から出ると早速行き交うトラックが目に入ってくる。Googleマップに従って進むとFedexやニチレイなど多くの企業が持つ倉庫があり、続いて「E岸壁」「E-1」といった看板が見えてくる。たまに大黒ふ頭に見に行きたくなるあの風景が広がっている。

倉庫がならぶ間の道路を覗くとこの後乗る名門大洋フェリーが見えて、同じ大阪南港であることを感じさせてくれる。

駅から17分ほど歩くと、このような場所には珍しくコンビニがある。駐車場が広くトラックも多く停車しており、売上は悪くなさそうである。目的の場所へはこのローソンの奥を右折していく。

また、ローソンの近くにバス停もあった。1時間に1本程度ではあるが、こちらを利用すれば徒歩距離を短くできるだろう。

あの橋を渡りたいとも渡らずに済んで良かったとも思っていると船に積む荷物を運ぶトラックに多く出会う。石垣の東横インに泊まったときもそうであったが、このように行き先の書かれたコンテナを見るとつい写真を撮ってしまう。

沖縄に行きそうなコンテナが多いがそれもそのはずで、この道の先には志布志を経由して沖縄に向かうマルエーフェリーの「琉球エキスプレス5」が待機していた。

さて、そのようなものを見ていると右側にはGoogleマップで調べたあの場所がある。周りと同じような雰囲気なので特別感は無いが、どこかの倉庫になっている。

ところで、私はこれで満足して帰ったわけであるが、あらためてこのnoteを書いていると猛烈な違和感に襲われてしまった。これは道中で何気なく撮った住居表示板であるが、「南港南」っていう地名なんだーと呑気に撮っている場合では無い。住居表示実施地区なのである。

Googleマップで出てきた「3丁目8」に満足してしまったが、検索結果をあらためて見ると、複数の倉庫が建っているし形も道路に沿いすぎている。これは「3丁目8番地」などではなく、「3丁目8番」という街区符号の地域を囲った地図であった。改めてMAPPLE法務局地図ビューアで調べると、問題の番地は見ていた場所とは反対側にあった。

正しい番地の方角を撮っている写真を探すとこれしか無かった。船に積むコンテナが並んでいるが、問題の番地はここに写っていない海側の建物である。下調べしないで思いつきで行くとろくなことがない。

ストリートビューで確認すると、ここの左奥の方である。撮影車が奥まで進んでおらずあまりよく見えないが、思わぬ形で再訪問が決まってしまった。


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