住基ネットの照会履歴を開示請求する

住基ネットとは全国の自治体や国の機関などを結ぶシステムで、住民票などが無くても電子的に本人確認ができるものです。住民基本台帳に登録されている氏名、住所、性別、生年月日と住民票コード、個人番号を記録し、各機関の照会に応じて情報を提供しており、税や社会保険など様々な業務に使われています。パスポートの申請でも住民票の添付が無くても本人確認処理ができますし、住所地以外の市区町村で広域交付住民票を取得する際にも、最初に本人確認処理をしています。

そんな住基ネットですが、実際どのくらい使われているのか知りたいと思いつつ、広域交付住民票の取得履歴を見ることができたら面白いと思って関係各所に問い合わせてみましたのでその記録です。

住基ネットのサーバは、市区町村、都道府県、J-LIS(地方公共団体情報システム機構)の3つに分かれて繋がっているので、照会履歴がわかるのはこのどれかでしょう。制度については素人ですので、とりあえず1つずつ問い合わせてみました。

住民基本台帳のネットワーク(総務省Webサイトより)


市区町村

まずは住所地の川崎市です。情報公開担当から担当部署に取り次いでもらうと、「公文書に該当するのかわからないし、該当してもプログラムには著作権があるので出せるのかわからない」という回答がありました。とりあえず撤退します。

都道府県

そんなことをしているうちに、総務省のWebサイトに以下のような記述を見つけました。

 住基ネットにより、いつ、どの行政機関が、何の目的で、住民の方々の本人確認情報を利用したかを、都道府県知事に対して開示するよう請求することができます。
 具体的な手続については、各都道府県のホームページをご覧いただくか、窓口にお問い合わせください。

総務省Webサイト

住基ネットを住所地の市区町村自身が使うことはありません(住民基本台帳をそのまま使える)ので、全ては都道府県のサーバを通るはずです。なるほど、都道府県で出せるのかと納得して神奈川県の情報公開窓口に向かいました。

通常の情報公開は郵送やWebサイトで対応しているところがほとんどですが、自らの個人情報を開示する際は本人確認が必要なので手続きが煩雑になります。川崎市は電子署名によってWebでも受け付けていますが、神奈川県は申し込みも受け取りも県庁に来所するしかありません。

担当部署の方に来ていただくと、こちらではマニュアルが用意してありました。開示申請書とともに、今回開示のために調査するにあたり住基ネットの本人確認情報を利用することの同意書を提出します。開示申請書では期間の指定をお忘れなく(そこまで件数多いものでもないので、全期間でいいと思います)。

1週間ちょっとで開示されましたが、ここでは神奈川県の機関が照会したものしか出せないとのこと。私は直接納税もしてませんし社会人ではないのでパスポート関連のものしかありませんでした。

J-LIS(地方公共団体情報システム機構)

ほんとは広域交付住民票の取得履歴とか面白そうって思っただけなんだけどな…と思っていたら、県の担当者によると「全国の分はJ-LISで開示できる」ということなので行くしかありません。

電話だと長くなりそうだと突然押しかけてしまったのですが、総務課の方に電話で問い合わせてもらったところ「本人確認情報の開示」しかやっていないとのことでした。「本人確認情報」とは基本4情報や住民票コードなどのことで、要するに住民票を見ればわかる内容です。なぜか本人確認が通らないといった時に登録内容を確認する場合があるようで、1件あたり20円の手数料で開示してもらえます。

ともかく、各所にご迷惑をおかけしながらも開示に対応していたのは都道府県だけでした。総務省のサイトは一応正しかったですが、県の機関で使った分しか出せないのは残念です。

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