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市区町村ごとの住民票発行手数料

住民票の発行手数料は自治体ごとに条例で定めているため、全国で統一されているわけではない。どこでも300円だと思っていた私は、これを知った時相当驚いた。さらに、いくつかの自治体を回っていると、近くの自治体は同じ手数料を設定していることが多かった。

そこで今回は、全1,741市区町村(北方領土除く)のWebサイトを調査し、MADARAを用いて地図に表現した。なお、住民票発行手数料額の記載が無い自治体については、戸籍の附票などの手数料額を記載していればそれを基に推定しており、そのようなものも記載がなかった3つの自治体(粟島浦村、新庄村、南大東村)は白色で表した。このような自治体について、情報をお持ちの方がいれば、Webサイトのリンクやレシートの画像などとともにTwitterでメンションしていただくか、noteのプロフィールに記載のメールアドレスにお送りいただければ対応させていただく。

住民票は住基ネットを利用した広域交付によって居住地以外で取得することもでき、それを集める趣味もあるため、本来は広域交付住民票の発行手数料を調査したかったが、Webサイトに記載のない自治体も多いため、今回は通常の住民票について調べた。同一の手数料とする自治体が多いものの、50~150円程度上乗せする自治体もあることに留意が必要である。

このような調査経緯から、データは全て1人分の抄本を取得した場合の手数料を採用している。謄本の場合には、2人以上の場合に手数料を加算したり、1人ごとや5人ごとなどで加算したりする自治体も相当数ある。

全体の傾向

全体の傾向を見ると、64%を占める1,120市区町村が300円に設定しており、さらに200円に設定している446市区町村を含めると90%以上の自治体が該当する。地図で見てもほとんどがピンク色(300円~349円)か黄色(200円~249円)になっており、301円以上に設定している自治体は7%と、それほど多くない。平均額は277円で、データのある自治体の手数料額を合計すると481,890円となる。概ね50万円あれば広域交付住民票を集めることができると言えるだろう。もっとも、交通費の方が高くなるであろうことは言うまでもない。

手数料の高い自治体

1人分の住民票の写しの発行で最も手数料がかかるのは、北海道の夕張市で、500円の手数料を設定している。2人以上の写しだと600円以上の設定をしている自治体もあるが、戸籍の附票の手数料が戸籍謄本の手数料を上回っているのは夕張市だけである。そのほか、410円以上の手数料を設定しているのは以下の自治体である。

地域ごとに見ると、山形県は35市町村のうち32が400円という設定をしており、全国的に見ると高めの設定になっている。また、徳島県とその周辺では350円や400円の設定が多い。

周囲と比較して目立つのは熊本市である。九州地方は離島を除けば熊本市以外は全て300円以下となっており、県庁所在地でありながら400円という設定が目立つ。なお、このほかに県庁所在地で350円以上の設定をしているのは、徳島市、京都市、札幌市がある。

手数料の安い自治体

逆に、窓口での手数料が最も安いのは北海道の厚真町が設定している100円である。マイナンバーカードを用いたコンビニ交付では同様の設定をしていることもあるが、広域交付住民票を100円で取得できるのは厚真町だけである。
(※広域交付住民票については公式Webサイトに記載なし。Twitterでの複数のツイートから同一手数料を設定していると判断した。)

さらに、期間限定ではあるが東京都港区は区民の住民票の写しや戸籍謄本などを無料で発行している。感染症の拡大に伴い、経済負担を軽減する目的であり、2023年3月まで実施される。なお、コンビニ交付はシステムの都合上無料に設定できないとの理由(区議会議員のツイート)で10円に設定されており、併せて区民以外でも本籍地が港区にあれば戸籍謄本等は10円となる。

200円の設定をしている自治体は多くあるが、都道府県単位で集中しているところが多い。秋田県、福島県、栃木県、埼玉県、愛知県、三重県、和歌山県、山口県、鹿児島県は300円未満の設定をしている自治体が多い。また、北海道もある程度安い自治体がまとまっている地域がある。150円の自治体も秋田県と埼玉県にまとまっており、埼玉県では200円のところでも数年前までは150円だった自治体が複数あった。


金額が中途半端な自治体

このように手数料の設定は自治体によって様々だが、ほとんどは50円単位の設定となっている。そのなかで、音威子府村、新ひだか町、真室川町の3町村は10円単位の端数がある。

郵送で証明書を取得する場合には定額小為替を使用することが多いが、これは最小単位が50円となっており利用できない。音威子府村の場合は端数は切手を使用するように案内している。また、真室川町はお釣りを切手で返すとしながらも、あくまでも「お釣りが出ないように」現金書留、定額小為替、普通為替のいずれかで送付するように案内している。

地域別拡大マップ

一部再掲となりますが、前掲地図を地域別に拡大したものを掲載します。

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