東芝の浜川崎工場に抵当権を設定(仮登記)していた金融機関一覧
東芝は2017年、原子力事業で多額の損失を出し債務超過に陥った時、協調融資を継続するよう銀行団に求めて株式や不動産を担保に差し出した。(日本経済新聞「東芝の取引銀行、融資継続 担保設定も応諾へ」2017/04/14)
その際、工場財団が複数設定されたという記事(東京商工リサーチ「東芝が保有する不動産が「工場財団」に」2017/04/19)があったので、試しに浜川崎工場の財団登記簿を請求してみた。
工場財団は通常、工場にある高額な機械などを担保にまとめて設定するために使うイメージだが、東芝の場合は土地と建物だけが属している形になっていた。不動産登記簿に直接乙区を設定しても良い気がするが、なぜか工場ごとに工場財団にしているようである。
財団は抵当権を設定するためだけに存在するような制度で、表題登記から半年以内に抵当権が設定されなければ消滅する。この工場の場合も平成29年4月6日に所有権保存登記がされたあと、同月28日に根抵当権設定仮登記がされている。段階的に一部の銀行が放棄して権利人から抜けていき、最終的には平成30年10月1日に仮登記を抹消し、同日工場財団消滅となっていた。
この財団では仮登記がされたまま、本登記がされないままだった。仮登記は実際の登記の効力は持たないものの、本登記すればその順位が維持される制度で、登記手数料の節約などに利用されることも多い。抵当権設定の登記手数料は0.4%で、今回の場合だと20億円を超えてしまう。一方で仮登記だと不動産1個につき一律1000円とほぼ無視できるような金額で設定できるため、実際に行使される可能性が低いこともあって仮登記とした可能性が考えられる。
以下が、最初にされた根抵当権設定仮登記の権利者として登記されていた金融機関の一覧である。取扱店の記載があるものは括弧で示した。
株式会社三井住友銀行
株式会社みずほ銀行
三井住友信託銀行株式会社
株式会社三菱東京UFJ銀行(東京営業部)【→株式会社三菱UFJ銀行】
三菱UFJ信託銀行株式会社
株式会社りそな銀行(東京営業部)
農林中央金庫
株式会社横浜銀行(川崎支店)
株式会社岩手銀行(東京営業部)
株式会社福岡銀行(東京支店)
株式会社滋賀銀行(東京支店)
株式会社常陽銀行(東京営業部)
株式会社七十七銀行(東京支店)
株式会社北海道銀行(東京支店)
株式会社静岡銀行(東京営業部)
株式会社群馬銀行(東京支店)
株式会社北國銀行(東京支店)
株式会社京都銀行(東京営業部)
株式会社中国銀行(東京支店)
株式会社大分銀行(東京支店)
株式会社千葉銀行(東京営業部)
株式会社伊予銀行(東京支店)
株式会社第四銀行(東京支店)
株式会社南都銀行
株式会社八十二銀行(東京営業部)
株式会社福井銀行
株式会社足利銀行(東京支店)
兵庫県信用農業協同組合連合会
埼玉県信用農業協同組合連合会
静岡県信用農業協同組合連合会
株式会社広島銀行(東京支店)
株式会社日本政策投資銀行
株式会社国際協力銀行
信金中央金庫
第一生命保険株式会社
日本生命保険相互会社
明治安田生命保険相互会社
三井生命保険株式会社
住友生命保険相互会社
株式会社青森銀行(東京支店)
株式会社池田泉州銀行(東京支店)
茨城県信用農業協同組合連合会
大阪府信用農業協同組合連合会
株式会社神奈川銀行
株式会社京葉銀行(東京支店)
株式会社佐賀銀行(東京支店)
株式会社山陰合同銀行(東京支店)
株式会社清水銀行
株式会社十六銀行
株式会社荘内銀行(東京支店)
株式会社親和銀行(長崎営業部)
ソニー銀行株式会社
株式会社大光銀行(東京支店)
株式会社千葉興業銀行
株式会社筑波銀行(東京支店)
株式会社東邦銀行(東京支店)
長野県信用農業協同組合連合会
新潟県信用農業協同組合連合会
株式会社肥後銀行
株式会社百五銀行
株式会社百十四銀行
株式会社福島銀行
株式会社北都銀行(東京支店)
株式会社みちのく銀行(東京支店)
株式会社武蔵野銀行(東京支店)
株式会社山形銀行(東京支店)
株式会社山梨中央銀行(東京支店)
全て文字起こししてもそこまで面白く無いので省略するが、抵当権設定仮登記がされたあと、会社分割の反映とその後の仮登記根抵当権変更や、半分くらいの銀行が放棄したりする様子が書かれていた。
登記簿は法務局で誰でも取れるので、ご自身で取得されたい場合は冒頭紹介した東京商工リサーチの記事に地番が載っている。ちなみに浜川崎工場の財団登記は消滅済で、登記番号272である。
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