中国の鉄道連絡船(旅順ー煙台)

高徳地図を見ていると、海の上を通る線路の記号に目が行きます。ここにはトンネルがあるわけではなく、鉄道連絡船が運航しているというので乗ってみました。

鉄道連絡船とは言っても、線路が伸びているのは貨物船だけなので、旅客は普通の船と同じような感覚で乗船します。鉄道予約サイト12306は外国人でも簡単に予約できて便利なのですが、残念ながらこの船は予約できません。インターネットは便利なもので、少し調べるとすぐに渤海铁路轮渡のWebサイトに辿り着き、WeChatで予約できそうな雰囲気があるので見てみましょう。(結論から言うと外国人はネット予約できません。乗船記へは目次から飛んでください)


ネット予約?

当然のごとく英語サイトはありませんが、雰囲気で中国語が読める気分になれるのは日本人の特権です。(以下のスクショは後日取得)
旅順西は貨物線しか通っていない駅なので、無料送迎バスは大連駅まで来てくれます。ただ、バスで1時間ほどの距離があり、さらにこの区間は競合も多く大連港から出ている会社もあるので、こだわりがなければ他の船の方が良いかもしれません。

それなりに需要のある区間なので、便数もそれなりにあります。7時間かかるので夜行便の利便性が高いですが、船旅を楽しみたい方は昼の便を取ってみるのもありかもしれません。

運賃は¥180と出ていますが、もちろん日本円ではなく中国元です。さらに便名を選択すると船室別の運賃を見ることができ、180元で乗れるのは椅子席だということがわかります。さすがに7時間椅子はきついので、220元の3等Bが現実的ではないでしょうか。シャワーを浴びたければ340元払って2等に乗る必要がありますが、これも開放式の相部屋です。

この画面では送迎バスの案内もありました。大連駅と旅順から送迎バスがありそうです。煙台側は煙台駅まで送迎してくれます。

さて、情報を確認したら予約……とはいかないのが中国です。外国人の利用を想定しているごく一部を除けば、中国の電話番号が無ければ予約できません。天安門の上に登る予約もできない(広場への入場は予約できる)のに、中国人しか乗っていない航路の予約なんてできるわけがありません。
どれどれ、と見てみると、やはり身分証の選択欄にパスポートがありませんでした。電話番号だけであれば中国香港台湾あたりの番号を手に入れて予約できることもあるかもしれませんが、こうなるとどうしようもありません。

現地で予約

問い合わせれば家から予約が取れるのかもしれませんが、そこまで早く売り切れる様子でも無いので、現地で購入してみました。

購入場所がわからないので、大連駅前にある中铁渤海铁路轮渡售票处(高徳地図)という事務所に行ってみると、カウンターで暇そうにしている従業員がいたので、用意してきたメモを渡してみます。ちなみに入口は両側にありますが、駅前広場の側だけドアが開いていました。

外国人でも学割が使えるらしいという情報を見かけたので学生証を出してみましたが、どこかにWeChatで写真を送ったうえで無理だと言われたので、素直に大人料金で買いました。支払い方法は?と聞かれてAliPayを出してみたら、個人送金QRコードを出されたので、張さんに2人分440元を支払いました(高額決済手数料3%が取られています)。大手なのに個人間送金で驚きましたが、ここで購入したい方はあらかじめ追加の本人認証を完了しておきましょう。

提示したパスポートの名前と番号が印字されたチケットを購入することができました。これが買えないと旅程を組みなおす必要があったので、大連空港から直行して乗船2日前に購入しました。

購入するついでに送迎バスについても筆談で聞いてみると、このような回答が得られました。ミニアプリだと3時間半前(20:30)と出ていますが、こちらでは21:00との案内で、これ以上聞く語学力は無いので退散します。

なお、後から気がついたのですが、もっと駅に近い場所に、いろんな会社の乗船券を販売しているチケットカウンターがいくつかありました。手数料を取られるかはわかりませんが、こちらの方がチケットカウンターの雰囲気があり、他の会社のチケットも扱っているので便利かもしれません。

乗船

さて、大連駅前から送迎バスが出るということで、20時頃に駅に戻ってみました。手書きのメモでは21時となっていたのですが、置いていかれたら困るので早く来るに越したことはありません。

駅の南側の広場にバスがいました。車体には何もない普通のバスですが、前面に中鉄渤海フェリーの無料送迎バスっぽい雰囲気の案内板が出ているので、運転手にチケットを提示して乗り込みます。

少しずつ人が集まり、結局出発したのは21時でした。そこそこの乗車率

橋を渡ってひたすら真っすぐ旅順の南まで走っていき、1時間15分程度で到着しました。港には検問所のようなものがありましたが、バスは船に乗るわけでもないのでスルーしてターミナルの入口で降ろされます。前日に路線バスで旅順まで行ったばかりなので、早さに感動しますが、やはりそれなりに疲れます。同行者は寝ていましたが、私はスマホを弄りながら疲れを蓄積し、大連港から乗ればよかったと考えたりしていました。

それなりの大きさのフェリーです。鉄道連絡船らしいですが、ターミナルに横づけされたのでよくわかりません。

ターミナルに入ると、鉄道と同じように保安検査があります。鉄道だと普通に抜けるだけですが、ここでは外国人が珍しいのか翻訳サイト片手にスタッフが声をかけてきました。チケットとパスポート、ビザを見たあと列に誘導してくれます。

カウンターではチケットを見せるだけですが、煙台港で降りたあと送迎バスに乗る場合にはここで申し出る必要があります。我々は、先ほど声をかけてきたスタッフが列に並んでいる間に「港から送迎はありますか」と翻訳画面を見せてきたので、これのことだろうと返事をしておいたら代わりに申し出ていただき、チケットにスタンプをもらえました。バスに乗る時のチェックは無さそうでしたが、バスを手配する台数に影響があるのかもしれません。

ターミナルはこじんまりとしたもので、検札所周辺に少しだけ椅子が並んでいます。全員が座れるくらいの数はありましたが、椅子についている充電器は有料のようで、3つしかないコンセントがすぐに埋まります。

例のスタッフは「22時50分からボーディング」的な翻訳を見せていなくなったので、検札所からボーディングブリッジを渡って乗船します。

吹き抜けを上がり、各階の船室に廊下が続くというよくある構造です。

奇数と偶数で廊下が分かれており、少し構造が分かりづらいのですが、3等席は下の階、上の東急が上の階にあるようでした。一応申し訳程度の英語表示もあります。

寝台最下級の3等Bは1部屋8人の相部屋です。カーテンすらない開放式ですが、一応窓側で、コンセントも2つだけあります。Wi-Fiはあるみたいですが、繋がらないと同室者が騒いでいました。

例のスタッフが船内スタッフにWeChatでチケットの写真を送ったようで、船室にいるとスタッフが「明日の朝着いたら案内するから心配しないで。何かあったら〇〇に声かけて」みたいな翻訳を見せてきました。謎のVIP待遇で助かります。
同室者は夜まで大声で通話していたり、我々に日本円を見せてと言ってきたりして面倒でしたが、0時頃には静かになったので意外と寝れました。全区間が穏やかな湾内なので、何より揺れが少なくて助かります。

夜の短い時間の航海なので、船内の様子はあまり見ることができませんでした。いずれにせよ夜間はカーテンが閉まっているので景色は楽しめないでしょう。トイレは共同でありますが、シャワーはシャワー付きの部屋を取らないと無さそうです。

朝起きてGPSを見ると煙台港にゆっくり入るところでした。下船の列が少しずつ形成されていたのでどうするか迷っていると、昨日の船員さんが迎えにきてくれて、列を無視して下船口のフロアに我々だけ入れてくれました。椅子で待ってろと言われて、ゆっくり待っているのに一番最初に下船できました。

ボーディングブリッジからは別の係員にバトンタッチされ、ターミナルの出口まで引率していただきます。鉄道連絡船らしいところを少し見てみたい気もしましたが、ターミナルを出るとバスがずらっと並んでいるので、そそくさと乗り込みます。周りにはツアーだかタクシーだかの客引きもいました。わざわざ港まで来てご苦労様です。

船旅というより流れで移動しく感じになってしまいましたが、バスは線路を渡って煙台駅に向かい、申し訳程度に鉄道連絡船要素を感じます。

何時に着けるか不明だったので鉄道は予約していませんでしたが、最初のバスに乗れたのもあり6時30分頃に煙台駅に降ろされました。屋根と敷地面積だけやたらと大きいですが、青島方面の高速鉄道はバスで30分かかる煙台南駅から出るので結構面倒です。たまたまその場で煙台駅から煙台南駅を通る高速鉄道と、その先の青島までの高速鉄道が予約できたので助かりましたが、その次の便は満席になったりしていたので、スケジュールに余裕が無い場合は余裕のある便を予約してしまうべきでしょう。

夜に7時間乗るだけのフェリーはもはや何も見ることはできませんが、宿代込み4500円で移動できたと考えると悪くはありませんでした。客層だけ何とかしてくれ

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