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短編小説『ワタシは花瓶。呪文のように言い聞かせる。』全06話

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渦巻く不安を晴らすためアームカットを繰り返すモエ。攻撃的なギターを奏でるサキと出会い、やがて二人は深くつながり合う。 しかし二人の距離は次第に離れ、モエは男を漁ることで寂しさを埋…
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#恋愛小説部門

短編小説『わたしは花瓶。呪文のように言い聞かせる。』第01話 オルファの黄色いカッターナイフ

 ベッドの中で独り、耳をふさいでいる。  静けさに耐えきれず頭から毛布をかぶった。眠れない夜に聞く、静寂の音が嫌いだ。  もう三十分以上もこうしているだろうか。耳から手をはずそうとしたのだけれど、肘の関節が油の足りない機械のように悲鳴をあげて動かない。きしむ腕をゆっくりと伸ばして、ベッドの中からはいだした。  照明は消したままだけど、窓から差し込む月明かりのおかげで部屋を見渡すことができる。半年ほど住んでいるワンルーム。綺麗に片付いたワタシの部屋。憧れていた独り暮らしは自由で