畳のうえにうつる影は三剣士そのものであった
秋の三連休の初日
男は買い出しにでていた
十一月も下旬にはいり、時期としては「霜秋」ともいわれる
それにも関わらず、初日は夏のような日差しで暑いくらいだ
秋風は強く、宙を舞う落葉たちは、旋律の舞踏会を繰り広げていた
「暑いな〜、風も強いし、砂埃も舞っているよ〜」
男はひとり言をつぶやきながら、行きつけの店へと歩を早めた
〜 🍂 〜 🍂 〜 🍂
まだ店内の客数は少なく、歩を進めるぶんには快適だ
「しっかり三日分を買わないとな」
脇目も振らず目的に向かって一直線に進んでいく
そしてたどり着いた
…… まではよいのだが
が っ か り し た ( 哀 )
「くそっ、なんてことだ …… 」
棚の目の前で地団駄を踏む男
「わかった二度寝したんだ」
大きな声でひとり言をつぶやく男
「そうだこれは夢に違いない」
男は力の限り自らの頬をつねる
「いってえええぇぇっ ーー ! 」
痛いに決まっている
「はあはあ、何んてことだ三連休で唯一の楽しみが」
やり場のない怒りのなか、ふとなにかが男の視界に入った
ジャンボ栗入りどら焼き 69円
和菓子好きが見たら大はしゃぎしそうな光景である
「まっ、安いからいっか」
男にとって「どら焼き」は好きでも嫌いでもないものだが、一つだけカゴにいれた
そして、さらに目の前には ……
ドーナツミックス チョコ&シュガー
ドーナツが3つで99円、男は安くて量の多いものが好きである
「ほう、よろしい」
これもカゴへと吸い込まれる。
ついでに、その下の段にあった、薄皮チョコパン5個入りもカゴに放りこまれる。
〜 🍂 〜 🍂 〜 🍂
家に帰った男は満足そうな表情を浮かべ、
リュックから戦利品を取りだした
畳 の う え に う つ る 影 は 三 剣 士 そ の も の で あ っ た
ドーナツミックス チョコ&シュガー 🍩
1つにつき、およそ33円(税抜)
薄皮チョコパン 5個入 🍫
一口サイズなので、食べ勝手が良い
ジャンボ栗入りどら焼き 🌰
お茶と一緒だと美味しさ倍増である🍵
どら焼きに関してはクリスマスまで保つようだ
この物語がフィクションかノンフィクションかは読者の想像に任せよう
【辛島信芳の著書】
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