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(雑談)稼いだ翌年は「予定納税」に気をつける

日本の税金制度において、一番厄介だなーと思うのが「予定納税」のシステムです。業績が安定しているならいいのですが、たとえばお店が開店当初めちゃくちゃお客さんが来て業績が良く、その翌年落ち着いてきたみたいな状況の時、ないしは業績が緩やかに下降しているようなときは、油断しているとめちゃくちゃ苦しめられます。

予定納税はざっくり説明すると、所得税や消費税が一定額を超えた場合に、その半分だったり3分の2を翌年の確定申告前にあらかじめ払っておく仕組みです。所得税だったら7月と11月、消費税だったら9月(場合によっては年3回だったり、年11回だったり)に支払う必要があります。

ポイントは、その時点の所得に関係なく、前年に払った税額にもとづいて請求が来るという点です。たとえば開業1年目に毎月50万円所得があり、翌年毎月30万円の所得があるとします(1年目:年間600万円、2年目:年間360万円)1年目の税率は20%とします。すると1年目の所得税は120万円ですね。なお個人事業主(12月決算)とします。

これもいきなり払えと言われるので結構苦しいわけですが、問題は2年目です。120万円の所得税を1年目終了後の3月確定申告で支払うと、それで終わりでは無く、7月と11月に予定納税として、前年の120万円の3分の1、40万円の税金を国に払う必要がでてきます。2年目の所得は毎月30万円ですから、1ヶ月分の所得がまるっと予定納税に消える計算になるのですよ。

所得という言葉には様々な意味が含まれますが、たとえば毎月の自宅家賃やローン、家庭に関する様々なお金、趣味のお金などは一般に、すべてこの所得の中から出ていくことになりますので、それがまるっと全部ナシになることのインパクトがどれほど大きいか、ってことですよね。

いい面もあって、予定納税は翌年の税金の前払いですから、3月の確定申告時に支払う所得税は安くなるのです。上記の例だと、2年目終了後の所得360万円に対し税率は20%とすると、税額は72万円になるわけですが、予定納税で80万円(40万円×2)を払っているので、確定申告時に税金を払う必要は無く、なんなら8万円還付されます。1年目の確定申告時に一気に120万円を払っていたことを考えると、こんな楽なことはないですよね。仮に業績がほぼ横ばいで、毎月50万円、年600万円の所得が2年目も継続したとすると、税額120万円、うち80万円予定納税、確定申告時に支払う額は40万円です。

ただそれはあくまで確定申告時の話であって、やっぱり期中にごそっとお金が持っていかれるのはなかなかにしんどいわけです。業績が毎年安定していれば、予定納税の仕組みは上手く機能するのですが、上記のような開業時ごっそり稼いで、翌年落ち着いてというケースだと、予定納税のことをしっかり考えておかないと後々大変なことになってしまいます。

一応、予定納税については仮決算だったり中間申告をすることで、金額を減らせる仕組みがありますが、たとえば帳簿をつけるのが年1回、確定申告のときだけで、期中は全く何もしていないようなケースだとそれも難しいです。税理士さんが付いていたらあらかじめ教えてくれると思いますが、それなりに稼げていて、かつ自分で確定申告を全部やってたりするケースでは、ちょっと注意が必要でしょう。

お笑い芸人さんで「一発屋」と呼ばれる人、前年めちゃくちゃ売れていたのにある時を境にパタッとテレビに出なくなってしまうケースってありますよね。その背景にはこの、予定納税の仕組みが影響している、という話を聞いたことがあります。めちゃくちゃ売れたことで、翌年の予定納税がすごいことになる。それを全然知らず、稼いだお金を後輩とかに使ってしまった。困った、どうしよう。テレビとかってどうしても報酬が後払いで、すぐにお金が手に入らないので、テレビの仕事を断ってすぐにお金が入るアルバイトなどに手を出す。だからテレビで見なくなり、振り返ってみれば「一発屋」になってしまう。みたいなカラクリ?があるらしく、本当かどうかは知らないにしても、仕組みを考えると「ありえる話だな~」とは思ってしまいます。

最近だとYoutubeや配信で、若くして扶養を外れるぐらい稼げる人も多いと思いますが、若いうちはそういう税金の仕組みとかも疎いでしょうし、そういう層にちゃんといろんなことを教えてあげられるとか、そういう人になれたらいいなーと、ちょっと思ったりしたのでした。

見出し画像は「みんなのフォトギャラリー」からお借りしました、ありがとうございます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!