魔王子復讐譚Schadenfreude~全てを奪った貴様を俺が滅ぼすまで~ 3話

・翌日、「奈落の奥底」の空洞にて

ジーク「よし、完成だ!」

・ジーク、鏖讐斬(クリームヒルト)のエネルギーから生み出し、完成したガントレットを負傷した左腕にはめる。

リエル「お兄様、その腕の鎧は何ですの?」

ジーク「こいつは鏖讐腕(ブリュンヒルト)、詠唱する事なく魔法を打ち出す為のガントレットさ。魔物の穴魔を握り潰せるだけの握力も持っているし、これでまた戦闘の為の武器が出来たってところだな」

リエル「お強いだけでなくアーティファクトまで作ってしまわれるだなんて、お兄様は凄いです」

リエル(それに比べてわたくしはお兄様の力に甘えて守ってもらってばかり)

ジーク「あまり褒めるな照れ臭い。それに、俺はお前さえ無事でいてくれれば良いんだから」

リエル「ところでお兄様。そのガントレット、まだ治療している方の腕にはめていますけれども、もう腕の状態は大丈夫なんですの?」

ジーク「ああ、この鏖讐腕(ブリュンヒルト)は筋力ではなく魔力で動かす代物なんだ。だから動かしたところで魔力で腕の痛みは大幅に軽減され、動きに支障はなくなる。さて、そんな事よりまずはこの洞窟から出ない事には何も始まらない。行くぞ、リエル!」

リエル「はい!」

・二人がまた奈落の出口へと出発したその時、

????「シャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

ジーク・リエル「「!?」」

・二人が後方を振り向くと、そこには岸壁を突き破って這い出てきた魔物・タラスクが顔を覗かせていた。

リエル「き、きゃああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

ジーク「チッ、こんな時にまた魔物か。仕方ない、早速この鏖讐腕(ブリュンヒルト)の威力を試すか」

・ジーク、タラスクに向けて鏖讐腕(ブリュンヒルト)をかざす。瞬間、手のひらから魔法陣が現れ、燃え盛る炎がタラスクへと襲いかかる。

魔物・タラスク「シャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

ジーク「よし、効いたか!?」

魔物・タラスク「シャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

ジーク「チッ、やはりこれだけじゃダメか。ならばやはり、貴様の首を刈り取るまで!」

・ジーク、横から回り込みタラスクの首へと斬り掛かる。しかし、

魔物・タラスク「シャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

ジーク「なっ!? クソッ、毒の息か。うぅ、思うように体が言うことを聞かん……」

・タラスクの吐いたブレスにより、その場に崩れ落ちてしまう。

魔物・タラスク「シャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

・タラスク、ジークに尻尾の一撃をお見舞いする。

ジーク「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

リエル「お兄様ぁ!!」

リエル(ああ、お兄様。絶体絶命の危機ですわ、どうしましょうか……そういえばわたくしはここに来てから泣いてばかりでいつもお兄様に甘えて守られてばかり……このままで本当に良いのでしょうか? いいえ、わたくしはもうこれ以上お兄様の足手まといになるような存在にはなりたくありません。このまま守られるだけのか弱いお姫様のままでいるのは嫌ですわ! だから……)

ジーク「わたくしは……お兄様の力になりたい!! 」

・突如、魔法陣が現れ、死神が持つような巨大な鎌が現れる。

ジーク「こ、これは……」

・リエルの脳裏にこの鎌に関する情報が記憶される

・死霊鎌(グリム・リーパー):敵を切り裂き、殺した相手をゾンビとして操ることが出来る切れ味抜群の大鎌。見た目とは裏腹に結構軽い。振り回すことで敵を薙ぎ払う結界を生み出すことも出来る。

リエル「お兄様!!」

ジーク「どうしたリエル、その大鎌は一体……」

リエル「……お兄様、わたくしも助太刀致しますわ。お兄様はわたくしが無事でいてくれればそれで良いんでしょうけど、わたくしもこのままお兄様に守られるようなか弱いヒロインでいたくはないのですわ!」

ジーク「そうか、お前がいつまでも子供だと思っていた俺がどうやら馬鹿だったらしい。よしわかった! お前はタラスクの注意を引き付けてくれ!」

リエル「本当であればお兄様を傷付けたこの駄竜はわたくしが手を下したいのですけど……承りましたわ! さてそこの駄竜! わたくしが相手をして差し上げますわ! かかって来なさいまし!」

魔物・タラスク「シャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

・リエル、タラスクの注意を引き付け、毒の息を自分の方へと向かわせつつ、それをかわす。ジークはその隙に解毒の薬草を口に含む。

ジーク「はぁ……これでよし。それじゃあ今度こそ、喰らいやがれ!!」

・ジーク、タラスクの首に鏖讐斬(クリームヒルト)を突き刺す。

魔物・タラスク「シャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

・タラスク、痛みでのたうち回る。

ジーク「リエル、こいつの首はそこいらのモンスターよりも硬い。だからお前と俺でこいつにとどめを刺すぞ!」

リエル「承りましたわ、お兄様!」

ジーク・リエル「「往ね! この駄竜がぁ!!」」

ザンッ

魔物・タラスク「シャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

・鏖讐斬(クリームヒルト)、死霊鎌(グリム・リーパー)の斬撃によりタラスクは首を刎ねられ、倒れ伏す。

ジーク「ふぅ、一時はどうなることかと思ったぜ。サンキューな、リエル」

リエル「いえいえ、お兄様のためですもの。当然ですわ」

ジーク「ところでリエル」

リエル「どうしましたお兄様?」

ジーク「何でお前、死んだはずのタラスクを側に従えてるんだ?」

タラスクゾンビ「シャア」

リエル「これはどうやらこの鎌の効果みたいですわ。何でも殺した相手をゾンビとして従えさせることが出来るんだとか。安心してくださいませお兄様。この駄竜にお兄様を襲わせるなんて事は致しませんし、これからわたくしとお兄様の言うことだけを聞くように調教しますので、うふふふふふふふ……」

ジーク(リエルの背後から黒いオーラが見えるのは気のせいだろうか……?)

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