02.レビューの御紹介

新規デザインをご注文いただいたお客様より、とてもありがたいレビューを頂戴しましたのでご紹介いたします。

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 夫の実家の愛犬パフィーが急逝したとの連絡が入った。帰省のたびに可愛がり、時に預かることもあった私たち家族にとって、その訃報は大きなショックだった。

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 生まれつき体が小さく、「子犬ですか?」と聞かれることも多かったヨークシャテリアのパフィー。アレルギーなどの持病を抱え、10歳を過ぎた頃からは白内障を患っていた。最後の数年は視力をほぼ失っていたため、大半の時間を過ごすのは義父母の腕の中や膝の上。私たちが「過保護すぎ」と笑っても、義母は「そうねえ」と言いながら目を細め優しく撫でるのだった。そのぬくもりを突然失った悲しみは相当だったと思う。しかし、義母がその後ペットロスに陥り、深い暗闇の中をさまようことになるとは想像していなかった。

「何も喉を通らない」「どこかに出かけたり人に会ったりが億劫だ」と言い、かといって家にいればそこここに残るパフィーの面影に涙、という毎日。電話の声にはハリがなくなり、何か別件の話をしていても、急に思い出しては泣いてしまう。バリバリと仕事をこなしながら3人の男の子を育てあげ、退職後もアクティブに暮らしていた義母の弱りきった状態はしばらく続いた。

 県外に住んでいることもあり、顔を見に行くこともなかなかできないなか、ふと浮かんだのが「ペットの振り子時計」だった。数年前、娘のクリスマスプレゼントとしてこの時計を注文したときは、既存の定番デザインの中から彼女の好きな犬種をオーダー。いつかオリジナルデザインもオーダーしてみたいなあとぼんやり思っていたが、今がその時ではないか、と。この時計の魅力は、まさに「振り子」であることが大きい。振り子になった手の部分が右に左に絶え間なく揺れ、その「動」のエネルギーが空間に生気や温かさをもたらす。それこそが、パフィーを失った瞬間から時が止まってしまった義母には必要な気がした。私はすぐにメールで関野絡繰堂さんに連絡を取り、事情を話した上でパフィーを時計にしてもらいたいと伝えた。関野絡繰堂さんは「こうした形で力になれることを幸せに思います」との心強い返事をくれ、メールでの打ち合わせが始まった。

 オリジナルを作ってもらうためには当然写真画像が必要になる。特徴や魅力をしっかり伝えるため、複数用意した。画像ではわかりにくい毛の微妙な色合いや長さ、しっぽの形などは細かくヒアリングされることに。そのペットを知り尽くす飼い主に「あー、これうちの子!」と納得してもらえるものを、写真画像でしか知らない関野絡繰堂さんが作りあげる難しさたるやいかほどのものだろうか。我が家にはおしりやしっぽの部分まではっきり分かる写真がなく、義母に聞いてみたものの、思い出すのも写真を見るのも辛い状態が続いていてなかなか準備が進まない。制作作業を中断してもらうことを申し訳なく思ったが、「お義母さまのペースでゆっくりいきましょう」との関野絡繰堂さんの言葉に気が楽になった。最終的に動画から静止画像を取り出したものの明確にならない部分は残ったが、「今ある資料で、ここから先は頑張ってみます」と頼もしかった。

 この間も義母の状況は一進一退。義母が「悲しみに温度差があり寂しい」と義父とぎくしゃくしていることなどをぽろっとメールに吐き出すと、「お義父さまはこんなふうに受け止めてらっしゃるのかもしれませんね」「こんなお客様の例もあります」など、何も誰も否定せず、義母の悲しみや私の戸惑いに寄り添い、さりげなく助言をくれた。そこには、自身も2匹の猫と暮らす関野絡繰堂さんの動物に対する深い愛情と畏敬の念が強く感じられ、いろいろなことに気づかされ励まされた。ネット上でモノを発注して、作ってもらう──。この関係性において、こんなにも温かな気持ちのやりとりができることなど正直期待していなかった。岡山県北の静かな田舎町にある工房で、ペットのひとつひとつのストーリーに丁寧に向き合い、大きな使命を持って制作に打ち込む姿を想像した。

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 細かな微調整(このあたりの職人技にはただただ感服)や確認作業を経て、振り子時計に生まれ変わったパフィーは、ついに義母のもとへ。見事なまでに再現された「パフィー」に義母が再び感情を乱されないか少し緊張したが、泣きながら笑いながら「ありがとう」と電話口で何度も言う声を聞いたとき、ほっとすると同時に、この振り子時計を選んで良かったと心底思った。「時計なのにパフィーそのものなんよねえ。不思議よねえ‥」。それから義母は少しずつ「パフィー」の刻む時と共に本来の明るさを取り戻していった。

 実家のリビングでは今日も「パフィー」が元気に手を振っていることだろう。コロナが落ち着いたら、またみんなでそれを眺めながら思い出話をたくさん、たくさんしよう。

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A様、改めまして素敵なご依頼をありがとうございました。
日頃から、ペットを愛する方の想いをデザインに込めて表現出来たら、これ以上のやりがいは他にないと感じるほど天職だと思っていますが、本件では贈り主であるAさんから、贈り先様であるお義母様への想いも乗った重要な仕事でした。
デザイン中、手に持たせる物を何にするかを迷われた際には、私からのご提案で娘さん(お義母様からするとお孫さん)にご協力いただき素敵なイラストを描いていただきました。

Puffyイラスト

結局イラストではなく、パフィーちゃんの好物だった犬用FOOD(写真)を採用されましたが、素敵なイラストですのでここで御紹介させていただきました。

・・・ペットを失う哀しみは計り知れません。少しでも慰めのお手伝いが出来ましたら、作り手冥利に尽きます。

そして快く定番化デザインをご承諾いただいたことにも感謝しております。
現在まで日本国内はもとより、台湾・香港など海外のお客様からもパフィーちゃんの妹的存在の振り子時計が求められて巣立っていきました。これからも世界中でずっと愛され続けることを願っています。
ご依頼主様にも「思い出深いペットのイラストがデザインされた時計が世界中で愛され、今日も元気に振り子の手を振っていること」を共に喜んでいただけると、私も嬉しく思います。
A様、素敵なレビューをありがとうございました!

D-214 ヨークシャテリア-ペットの振り子時計(BASE)
https://sdr.base.ec/items/39466098


ペットの振り子時計-新規デザイン
BASE店
https://sdr.base.ec/items/992159
minne店
https://minne.com/items/369663
Yahoo!店
https://store.shopping.yahoo.co.jp/skdy/muumxswj0i.html

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