CoCシナリオ「海も枯れるまで」感想とPLキャラについて

はじめに

CoCシナリオ「海も枯れるまで」について、途中で考えていたことや、キャラクターについて、備忘も兼ねて書き連ねようと思います。
本noteはCoCシナリオ「海も枯れるまで」のネタバレを含みます。
未プレイでネタバレを避けたい方は、そっとブラウザを閉じていただくことを推奨します。

今回のセッションについて

今まで何度かクトゥルフTRPG、またはマーダーミステリーにPLとして参加させてもらいましたが、プレイした感覚で言うと今回のシナリオが最も長く、重厚だったと感じました。後でまた詳しく記載しますが、途中で長めの休憩+休憩中にセッションを振り返って考える時間があったことが、一番大きな差だったかと思います。
また、秘匿HOがあるのも初めてだったので、正直お声がけ頂いた時から超わくわくしており、速攻でキャラ設定と立ち絵を作成しました。
なので、キャラを作ってから、実際にプレイするまで結構長かった子でもあり、一度冷静になれたのがRPにも影響したかな、と思っています。
全体の感想としては、かなり感情移入して楽しめました。元々、海が絡むお話にはエモくなりがちなのもありますが。すごく良かったと思います。月並みな感想ですね。。

シナリオについて

HOの内容で、どんな物語なんだろうとあれこれ推測していましたが、全然合ってなかったですね(笑)クトゥルフ経験値不足ですね。
人魚伝説、幽霊船の話を融合させたストーリーでしたが、人魚姫って被害者のイメージが強く、終盤になるまで人魚姫(に当てはまる人物)が黒幕だという発想がありませんでした。HO1(自分)が人魚姫で、島に留まった場合は殺されて御神体にされるのかとばかり。
NPCのことは、まんまと好きになっていたので、全員死んでしまった時は正直ショックでした。死ぬと思っていなかったので。。
NPCの中でも漁師のケイゾウは、絶妙な軽さと不穏さが合わさって特に好きでしたね。途中から、一緒に行けないんだろうなとは思っていましたが。あと顔が好き。
まあ、でも、15歳の子どもに、親の愛を理由に身勝手を押し付けちゃあいけないですよね。納得してくれるPLいるのかな。知らんけど。

PLキャラとRPについて

今回のPLキャラはHO1用の新規ということで、「美しい自殺志願者」でした。
自殺志願の理由は自由とのことだったので、考えた結果「解決方法がないことが原因で死にたい」キャラにすることにしました。
というのも、「死にたい」というには、それなりの理由がないと、説得させられてしまうかと思ったからです。
例えば、自分では視界が狭くなって解決方法が見つけられていない状態だったり、分かっているけど一歩が踏み出せない、みたいな状態だったら、第三者から見たら、その人が欲しい言葉って見つけやすいし、止めやすい。まあ、目の前の人が自殺しようとしてたら、普通は止めますからね。
なので、キャラクターの設定と、自殺志願の理由は以下のようにしました。

  • 名前:雨夜 玲美(あまや れいみ)

  • 年齢:28歳、職業:図書館司書

  • 幽霊が見える。

  • 幽霊と目が合うと強烈な死の衝動(幽霊の死因と同じように死のうとする)に襲われ、抗うことができない。幽霊と同じ方法で死のうとする。

  • 死の衝動を抑える方法を探したところ、リスカなどの軽い自殺未遂が1番効果的だった。他に方法がないため、今まで何度もその方法で死を免れている。

  • 突然の死の衝動に襲われる日々を疎ましく、惨めにも思っており、いっそ死んでしまいたいと考えている。体質の都合上、箱入り娘 。

名前は「雨夜玲美」、幽霊が出そうな雨の夜に、霊が見えるのでれいみ、です。ジョジョ4部の幽霊お姉さんも「れいみ」なので丁度良いかと思い、こうなりました。
細々とした設定を考えるのが好きなので、色々と設定を付けましたが、結構気にいっています。まあ、クトゥルフ内で生かすのは、少々難しい設定ですが、おかげで「他人から生きるよう説得されても、ほぼ響かない」とする理由ができました。

玲美は、本当はセッション内で自殺させる気満々でしたし、体力やSAN値も低いので、事故死する可能性も高いだろうと思っていました。
ですが、今回のセッションは2人とも生還エンドです。なぜか?
それはHO2が、外の世界で行きたいと願ったからです。

今回のHO2(雨谷 紺)は15歳の、島の外の世界を知らない女の子で、自分を慕ってくれています。対する自分は28歳の自殺志願者です。
最初は、自殺未遂の果てに流れ着いた島でチヤホヤされて、かつ(恐らく)島には幽霊もいなくて自殺衝動もないし、ここで暮らしちゃおうかな、と思っていました。
で、その後ジンゴから「この島で自殺するな、海を汚すな」と怒られます。玲美は28歳箱入り娘なので、人から怒られるのは相当ショックだったでしょう。私もショックでした。
ジンゴから怒られたことで、この島でも自殺衝動に駆られない保証はないし、やはり家に帰って、その後自殺しようと考えを改めます。それに、急に流れ着いた不審者をやたらと歓迎する島はかなり異質で、ミッドサマーか?と思ったのもあります。ミッドサマー見てないですが。

その後、このシナリオの特殊なポイントですが、紺に手紙を書きます。
ここで、帰ろうと思っていること、自身の体質のことは明らかにしますが、帰ったら自殺しようとしていることは伏せました。会って一日の子どもに背負わせることじゃないと思ったからです。
この時、紺は母が実の親じゃないと知り、両親に不信感を抱いていたので、そのことをケアする文章も軽く書きましたが、普通に紺とお別れする気でした。

事態が変わったのは、島の急変後です。
それまで、ちょっと控えめだった紺が、少しずつ主体的に動き、かつ両親への不信感を露わにし始めました。父は詳しいことを教えてくれないし、母は得体が知れないし、そりゃそうと思います。
この辺りから、島もやばいし、周りの大人も頼れないし、紺は私が守らなければ、大人としての使命を果たさなければという感情になってきした。
最近、自分も歳をとってきて、「子どもは守られるべき」という感覚が染み付いてきたというのもあると思いますし、玲美は28歳という、もう子どもがいてもおかしくない、高めの年齢に設定したのも影響したと思います。
でも、あくまで「一時的な親代わり」だと考えていました。紺には、愛情を注いでくれる両親がいるから、その親に庇護されるべきだと無意識に考えていたのです。

その気持ちが変化したのは、最終場面前、手紙を読んだ時です。
あのタイミングで手紙を読もうと提案してくれたのは、結構大きかったんじゃないでしょうか。PLの太郎さんに感謝です。
手紙には、紺が外の世界に行きたいこと、無知でいたくないことが綴られていました。玲美は図書館司書という職業柄、知りたいという感情には弱く、ここで紺を外に連れて行こうと決心しました。そうなると、外に行った紺が頼れる人は自分しかいません。そんな状態で、子ども1人残して死ねるほど無責任か?と言われれば、NOです。この瞬間から、玲美に死ねない理由ができました。
今まで、実家で親に守られてぬくぬくと育ってきた人間ですから、自殺についても親に迷惑をかけるくらいにしか考えていなかったと思います。血縁以外の大切な存在ができたことで、玲美も一つ成長しました。

最後のチェイスで、DEXもCONも低い(DEX=10、CON=7)のにほとんど失敗しなかったのは、「紺を守らなくちゃ」という感情が高まって、本来のパワー以上の力を出せたからではないか、と邪推しています。紺が力強く手を引いてくれたことが、大きな支えになったのでしょう。実際はダイスのみぞ知るところですが、ね。

最終的に、2人は生還し、体の自殺痕も明らかにして、一緒に生きていく道を選びます。紺が人間になった時、またジンゴの麦わら帽子が流れ着いた時は、ちょっと泣きそうでした。これから2人は色々と大変でしょうが、まずは玲美の両親に事情を説明するのが大変ですね。

ざっと、ストーリーの流れに則って、玲美の心情の変化について振り返りました。RPとしては、かなり演劇的というか、もう1人のキャラクターに影響を受けたものになりました。個人的には、かなり良かったと思っています。
というのも、演劇をちょっとだけ齧ったものが偉そうに言いますが、1人で完結する芝居はつまらないからです。過去に一度、自分で書いた脚本を人に演じてもらったことがありますが、その時は自分の脳内を再現することしか出来ず、反省しました。それは、ただ文字を3次元に起こしただけですから。
芝居中は、考えることがたくさんあり、自分が言う台詞、やる動き、表情のことを考えるのでかなりいっぱいになります。それでも、その台詞は目の前にいる人に向けて言わなくてはいけないし、目の前にいる人と会話しなければいけない。そうでないと違和感があるし、芝居として成り立たないと、当時演出家に言われました。

TRPGは台詞がないので、会話が全てです。玲美は、紺と会話しなければ、変わることなく自殺していたでしょう。玲美は紺の気持ちに触れて、紺の言葉に触れて、私が作った設定よりも成長したのです。
人によっては、自分が想定した筋書きと違う結果になるのは、あんまり面白くないかも知れません。実際、今までのセッションだと、やりたかったRPができなかったな〜とか、もっとこうしたら良かったな〜ばっかりで、キャラクター同士のやり取りによる変化、は重視していませんでした。
でも、私は玲美が私の手を離れて、物語の中で違う道筋を見つけたのが面白い。こういうTRPGのRPもあるんだ、と知れて、すごく良かったと思います。自分のこれからのセッションにも生かして行きたいし、もっと玲美の道を探してあげたくもなりました。

いいシナリオがあれば、彼女の体質についての理由を見つけてあげられらいいなと思うし、紺との未来を作ってあげるのもいいでしょう。せっかくなので、玲美とはこれからも付き合っていけたらいいなと思います。

最後に、今回 KPをしてくれたちゃぶ氏、一緒に遊んでくれた太郎氏、いつも遊んでくれるみんなに感謝の意を示して、終わろうと思います。またTRPGした〜い。

おまけ

雨夜玲美。自分で描いたので愛着ありありです。

雨夜 玲美

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