2019年の術理 2月

2月のノートは怪しいです。
あちこちに「仕事しない」、「神」、「信仰」、「褒美」と書いてあります。しかし、私的にはこんな試行錯誤が毎日続いているので、もう慣れました(笑)。
身体感覚が生まれると、それまで持っていた言葉がバージョンアップします。知識だけでしかなかった事が、実感として得られるようになります。特に「褒美」という言葉には強い驚きをもらいました。2月はこの「褒美」がキーワードです。

【ご褒美】

ご褒美が術理だなんて、と思われるかもしれません。しかし、私とっては大変な一歩でした。
なにかをもらう時、つい「対価」としてそれを考えてしまいます。これは私の癖、観念です。
「タダでもらう」というのが苦手なのです。

この「もらう」という事を考えると、それは術理でも、強さでも、力でも大同じように考えられます。
この数年、「努力禁止」を言葉にしてきましたが、それはそれだけ努力が頭の中にこびりついているからです。自分自身も言葉にするたびに心へ言い聞かせているのです。

練習はしていないつもりですが、それでも毎日を丁寧に生きなくては「ならない」という思いを持ってしまったりします。これは、その丁寧さがあればいい事があるはずだ、という「対価」を期待したものだ、と気づきました。

「ご褒美」のアイデアを得るきっかけはたまたまです。お腹を伸ばし、頭を上へと抜いてみた時、胴体を「筒」として感じられるポジションがあります。その時、頭の上から、ぐわぁ~と「降りてくる」ものに気づきました。この自分が何かをたくらんだわけでもないのに勝手に降りて、満ちていく感覚に「ご褒美だ」という直感を得たのです。

最初、その力をそのまま受け止めるのが困難でした。理由ははじめに書いた通り、タダでもらうのが苦手だから。しかし、お腹を伸ばし、頭を上へ抜くだけで、どんどんと満ちてくるのです。好き嫌いという心の問題ではなく内圧が上がっていくという身体の問題としか考えられなくなりました。

この満ちてくる力はどこからくるのだろう、そう考える気持ちもわかってくれると思います。何もないところからは来ません。
ご褒美だ、という直感になったのですから、誰かがそれをくれたのです。
きっと、その流れで「神」などという大それた文字を書いて頭をまとめていったのでしょう。

いつもの事と言えばそうなのですが、書き出してみれば、心は落ち着きます。ノートに頭の中の全てを書きなぐり、気づけば、どこからかわからないが、降りてくるものは降りてくる。身体を満たせてくれるのならば、ありがたく使わせてもらおう、となりました。

私の中では「ご褒美」という術理として認識をしていますが、お腹を伸ばし、頭を抜く事で猫背が解消され、背骨のポジションが整い、頭の重さを全体で受け止める事ができる。そんな言い方もできるかもしれません。
しかし、私にとってはやはり「ご褒美」なのです。自分の意志とは関係なく、力が降りてくる。
見えないものを想像するだけではなく、実感として感じられた、と考えられたきっかけにもなりました。

今、改めてこうして書きまとめてみると、今年一年のテーマは「ご褒美」だったかもしれません。世の中と向き合い、仕事をして対価を受け取る、というよりも、ひたすら身体を観察する事で、自らの中に自信という大きな力を与えてもらっています。そんな稽古のおかげでこの一年、身体感覚がどれほど大きく、広く、深くなったことか!
身体の中に広がる世界は無限です。心とは違い、その広さ、大きさ、深さを実感できるのが稽古です。

そして、一人稽古だからこそ、周りの常識に脚を止められず、どんどんと広げて行く事ができます。
「ご褒美」という考え方は心の世界に思えるかもしれませんが、身体を探ってでてきた「ご褒美」です。これは再現性のある事、間違いなく、身体操法による身体感覚、身体の世界のお話です。

【いよいよ今年の稽古も最後です!】
名古屋 12/25(水)10:30-12:30、12/29(日)10:00-17:00
浜松 12/28(土)13:00-17:00
【久しぶりの東京稽古も決まりました】
東京目黒 2020/2/2(日) PM1:00~PM4:00

http://www.karadalab.com/sch

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