リアルよりも強いイメージの作り方 その3

イメージ力を改めて考える

いつからだろう、「イメージする」という言葉が多用されるようになったのは。
なんとなく広がり、気がつけば当たり前に必要な能力と言われるようになった。
世の中に広がる時にはいつも、「専門家」も増える。イメージを教える専門家が生まれる。

イメージ力の専門家はイメージの力で現実を切り開いてきた人たち。自分の持つ成功の原因をイメージに求める。すでに結果はあるのだから、結果のないもの、結果を求めるものなら、成功するためにはイメージが必要だ、と思ってしまいがち。

ただ、大抵の人は失敗する。よくて2割ではないだろうか。ビジネス系の啓発書で「トップ5%」なんて書かれたりもするから、実際にはもっと少ないかもしれない。
ただ、うまくいく人が「ゼロじゃない」。これが問題だ。

イメージすることによってゴールが決まる。そのゴールは目的地のよう。西に行きたいのに東に行けばいつまでもゴールにはつけない。目的地をイメージしておく、というのは必要な事だ。
ただ、「現実」が敵になり、戦わねばならない時、イメージの力をちゃんと持ち続けていられるか、それを説く人はあまりいない。結果を得た人は出来ちゃった人。イメージの力がもともと強かった、とも言える。

イメージには様々なレベルがある。考えて言葉にするレベルから、言葉にもならない無意識のレベルまで様々。
言葉にすれば叶う、と言われたりもするが、よくわからずそれに頼ると相当遠回りをさせられる。言葉によって身体が緊張もすれば、緩みもする。現実が身体を通して襲ってくる

私はうまくイメージが出来なかった側。ただ、稽古を通してイメージとは何か、とわかった事で、イメージに自信を持てない人の力にもなれると思う。こうして書いているのは私のようにイメージに自信の持てない人のため

イメージと現実

イメージした時、身体にどんな変化が表れているのか、それを確かめる事が重要だ、と考えていたものの、緊張と弛緩ぐらいしか手がかりがなかった。なかなか自分のイメージ力に自信を持つ事が出来なかった。しかし、やっと、イメージと身体との関係が明確になった。
どうすれば持ちたいイメージを持ち続けられるのかがわかった

イメージ力に自信を持ったことで、逆にプレッシャーは強くなる。責任をもって「考える」事をしなくてはいけないな、と思うようになった。
イメージは核と殻二つの要素を持てばイメージは壊れない。どんな人にも右と左はある。つまり、誰もが、現実に負けない、強固なイメージ力を持てるという事。自分の持つイメージ力がとてつもなく強いのだ、と思わせてくれるのが稽古である。

一人稽古と実験稽古

いつも、一人稽古の良さを口にしている。ただ、一人で身体を探っていると、次々に現れる気づきがどれだけ現実に力を持つのかわからなくなる。身体感覚は数字によってあらわされない。気持ちがいいか、よくないか、そんな感じばかり、第三者にもわかるものさしはない。

一人稽古が上手になれば勝手に身体のレベルは上がっていく。しかし、強さとしての自覚は生まれにくい。楽しいが、自信を持てないものにとってはずっと、自信のないままが続く。私がそうだった(笑)。

初めてプロの力士と手を合わせた時がそうだった。
たまたま縁あってプロの力士と稽古することになった。紹介した側は軽い気持ちだったのだろう。こちらも、身体の奥深い働きには自信があったが、はるかに身体の大きなプロの力士に技が効くかどうか、不安があった。
しかし、手を合わせてみればあっけないほど簡単に動きが通った。「いつもと同じ」ように技が効く。こちらはその動きを当たり前の顔をして説明をするが内心はほっとしたり、驚いたり、バタバタだった(笑)。身体が大きくても、人間なのは同じだったのだ。

あれから数年。何度か手を合わせたおかげで、体格的に劣っていても、年齢的に劣っていても、身体の働きを知れば大丈夫、とわかった。
それは私だからではなく、誰でもそうだと思う。身体が持つ働きの通りに現実が動く。その中で衝突が生まれるが、身体の大きさだけで「絶対ダメ」という結果は現れない。衝突したなら違う部分を主役にして立ち向かえば自由は得られる

今、私の中ではプロの力士であっても、彼を崩す動きはある、としてイメージできる。しかし、それは考えるレベルのイメージではなく、これまで何度かの稽古を経験して得てきた無意識のイメージ。
ダメなものはダメ、効くものは効く。淡々と現実を見ればいい。

安易にイメージ力を求めると、自分が持つ現実の力を忘れてしまう。強い現実に対して、身体が先に緊張してしまう。核と殻を使ったイメージはなんとなくではなく、確かなもの。ちょっと試せばきっと、それが分かると思う。とっても簡単。親指と手のひらでそれは試せる。

実験稽古は術理を確かめさせてくれる絶好の機会。競うためでも、昇級昇段、心を満たすためのものでもない。自分がどれだけ動けるのか、出来るのかを経験しておけば無意識のレベルが変わる。イメージのレベルもこれで変わっていく。

ちょっと話がずれて、長くなってしまったので、実験稽古で楽しめるイメージの技についてはまた、次回。

【稽古予定】参加受付中
7/11(日)甲野善紀名古屋稽古
7/17(土)川崎稽古会
8/21(土)つくば稽古会

6/5(土) 名古屋緑区
6/9(水) 名古屋緑区
6/12(土) 浜松
6/25(金) 名古屋東山
6/27(日) 名古屋緑区

詳細はウェブサイトで。
カラダラボ ウェブサイト

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