【ヒーラー入門】骨を支える【技】

まずご紹介するのは「骨」です。
私たち人間は当たり前のように、二本の足で立っていますが、これがどれほど大変かを忘れてしまいました
これからご紹介する五つの技は、人にとっての「当たり前」を問い直すものです。これらの技を通して「常識」を疑えば自然と身体の声に従いやすくなります。

電車に乗っている時、指先一つでも壁についていると安心ですよね。グラグラが無くなり、安定します。誰でも知っている事です。この「誰でも知っている」事だからこそ、危うい(笑)。
当たり前、大したことない、と気にしません。しかし、この時ただ立っているだけですが、身体的には実に精妙な働きが行われています

この精妙を実感できる実験があります。そして、この実験こそ、身体や重力そして、無意識の働きを自覚させ、そこに安心を生む事になります。
相手の背中、もしくは腰に手を当て、支えます。
この時、「強さ」が肝心です。気にされない程度に、そっと手を当てるのです。

気にされてしまうと動きがぶつかります。触れているのはわかるけど気にならない力で支えます。
すると、身体が自然と、その手のひらを頼りだします。ただ、それに気づいているのは私だけ、相手は触れられていても、それがどれほど自分に影響を与えているのかがわかりません

相手は意識的にわからないのですから、感謝はしません。むしろ、ここで感謝をされてはダメなのです。
「人の役に立ちたい」と思い、これで「人の役に立てる」とわかっても、気づかれなければ意味がないじゃないか、と思われるかもしれません。

しかし、手を離した瞬間、支えている時と支えていない時の「違い」が身をもってわかります

触れている手を離した時、身体は支えを失いバランスを崩します。その時、重力の重さに気づかされるのです。
普段、そのアンバランスに気づかないのは重力が軽くなっているわけではありません。骨格が持つアンバランスを筋肉がしっかりと支えているからふらふらとせず、立ち続ける事が出来るのです。

今はそれが気にならないでしょう。今は今のままで大丈夫、そう思うかもしれません。
しかし、10年たてば10年歳をとります。老いていきます。当然、筋力は衰え、バランスを維持するのが難しくなります。
また、20年後、30年後ならどうでしょう。頑張って筋トレをして鍛えても、もともとのアンバランスな骨格のままではいつか、筋肉の限界にたどり着きます。

いや、だからこそ整体で整え過ごすのだ、と思われるかもしれません。四つ足の動物ならまだしも、私たち人間はどれだけ骨格を整えても、必ず転ぶ運命にあるのです。
今、意識を無くしたとしたら、バタン、と前後、どちらかに倒れてしまうはず。弁慶のように意識を失ってなお仁王立ち、は不可能です。

私たちの脳はその大部分を転倒の怖れに対して使っている、とも言われています。転倒問題は大変複雑ですが、解決策は簡単です。二本足で立つのをやめればいいのです。
杖があるのなら、その杖をうまく使えば転倒の怖れをぎゅっと小さくする事が出来ます。しかし、その杖を使いだすのが、すでに二本足でも歩くのが困難、という状態ですから杖を使いこなす時間さえ与えられません。今から、みんな杖をもったらいいのに(笑)。

人間は倒れる恐怖を持っている。これは確かな事です。どれだけ心が強くても、身体は転倒を恐れます。しかしその恐れを自覚できるのは、肉体的な強さが衰えてからです。ほとんどの人が無意識の転倒問題に対して先送りしています。

ただ、逆に言えば、ここに私が役立てるところがある、とも言えます。
そっと手を差し伸べ支えれば相手の身体はその手を支えにバランスを取ります。そして、それはごく当たり前に行われ、意識に上がりません。その人は、その人のまま、その人の好きな事、したい事を進めて行く事が出来るでしょう。もしかしたら、ずっと感謝されないかもしれません。

本当に大切なものは失ってからでないとわからない、と言います。
身体は便利だからと言って腕を4本求めたりしません。同じように、指が20本もあるからと、1本ぐらいいらない、とはならないのです。
しかし、その事を普段、考えもしません。身体は当たり前すぎるのです。

重い重力がかかる身体。転倒するのは重力が原因です。その重力による転倒をほんのわずかな支えで助ける事ができます
しかし、感謝はされません。ただ、その手を離した時、突然現れる不安定によって心は乱されます。その時、支えてくれた人の有難さを感じられるのです。

一回、二回ではわからないかもしれません。それでも、支えを失った時の心の乱れを何回か経験すれば、きっと、支えてくれる人への思いが強くなるはず。無意識レベルでの信頼を作る事ができます

【お客様】

身体を通して「支える」という事を学べば、支えること自体が自分の武器になります。しかし、これは多くのビジネスですでに言われている事です。
お客様のためにお客様を支えて、そんなスローガンはよく聞きます。
おい、俺の商品を買え!こんな売り方、なかなかできません(笑)。もし、それが出来るのなら、それはよっぽど相手に恐怖を与えているか、すでに外側も内側も天然なイケメン状態になっていると考えます(笑)。

すでに自分に自信があるのなら、俺様商売、殿様商売でもいいでしょう。しかし、私には無理でした。だからこそ、どう人と向き合っていいのかわからず、困りながら生きてきました。
やっと「支える側」に立つ自信を得たのです。

「ノルマ」の厳しい時代です。お客様の事を思いたい、と願っても、ノルマを達成できない時の事を考えると、つい、自分の心配もしてしまうでしょう。それが人間です。
しかし、「支える力」を実感し、それを使ってコミュニケーションを作っていけば、時間と共に、無くてはならぬ人に代わっていきます。すぐ明日売り上げは上がらないでしょうが、時間と共に、変わります。

今の時代、優しい人が多いです。みんな仲良くで学生時代を過ごします。それが社会に入り、突然勝負を求められます。優しさを鍛えて大きくなったのです。うまく優しさを武器にする事を覚えればきっと、楽しく過ごせます。「支えられる」を経験し、ぜひ、使ってみてください。

【頑張りすぎ】

頑張ってなどいない、と思ってもつい、頑張ってしまっているのです。みんなそうです。しかし、頑張らないでいると転倒します。頑張ってしまうのも仕方がない事です。

それを認めたうえで、支える側に立つ。私たちに人間には支える役目に立つ人が必要なのです。うまく日本はその体系を文化の中に取り入れ維持をしてきました。しかし、欧米の個人主義が入り込み、支え合う生き方を忘れてしまいました

機械もサービスも進化、普及しましたから、個人主義でも長く生きられるようになってはいますが、やはり、老いて肉体が重くなってきた時、自分が動けない、という苦しさを味わう事になります。

おそらく多くの人がそれを「仕方ない」と思うでしょう。支えるという世界がどれほど楽に動けるようにさせてくれるか知らないからです。知らなければある意味幸せかもしれません。
しかし、それでもやはり、伝えたいのです。今、気づいておく事で、嫌な相手ですら、支え支え合う喜びの関係を作れる可能性すらあります

言葉の限界を感じながら書いています。
また違った形で「支える」を書き出します。次回、筋肉を緩める事についてお話をします。気楽に読み進めてください。

【近々の稽古は下記のとおりです】
名古屋 1/19(日)10:00-15:00
名古屋 1/22(水)10:30-12:30
浜松 1/26(日)13:00-17:00

【ヒーラー入門】
東京目黒 2020/2/2(日) PM1:00~PM4:00
つくば 2020/4/12(日)PM1:00~PM4:00

【甲野善紀先生の浜松稽古会があります】
浜松 2020/2/22(土)PM2:00~PM4:45

http://www.karadalab.com/sch

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