30年かかった後は3年で済む話 その3

常識は歳を重ねていけばいくほど固くなる。
「棒を奪い取る」、武術武道の経験のない人なら、これがどれだけ難しい事か知らないと思う。漫画や映画では主人公はヒョイと取り上げ恐れない。ごく当たり前にやってしまう。
ただ、実際にやってみればわかるが、これは本当に困難な事。

とはいえ、出来る人もいると思う。ただ、出来る人というのは、よくわからず出来るもの。その理由がわからない。だからこその才能なのだと思うが、それは出来ないものにとっては役立たない。

出来る時には理由がある

私は何も出来ない人。何かが出来るようになった時、必ず、そこに理由がある。身体が新しい動きを得る事で邪魔する何かを追い越す事が出来る。
今回の「棒を奪い取る」というのも間違いなくそれ。

前回、3つの回転を伝えたが、身体を力任せに使うのをやめれば手足、胴体、それぞれが動きだす。3つぐらいの動きは自然に出てくる。
力任せは大きな一つの力を求める事。それは目立ち、わかりやすいというメリットにもなるが、相手からもばれやすく、止められやすい。

それに対して手指、足指の動きは速い。残像が残るほどの速さを持っている。さらにその速さを作るのに必要な動きはごくわずか。そして、わずかしか動かないから、反転もできる。
この「反転」は非常に重要な事。

「反転」が自然とフェイントになる

指先が回転を作るのだが、そこに反転も加わればさらに動きのバリエーションが増える。
胴体で左右の動きを作ろうとすれば当然、ブレーキがかかる。うまく反転を使えば「フェイント」になるのだが、言うほど簡単じゃない。
しかし、指ならくるくると回すだけ。これもフェイントになるのだろうが、そもそもの身体の動きの質が違うのだから、止めようがない。

邪魔な観念

邪魔なのは観念と常識。
反転の動きが当たり前になれば頭も自然とそれを生かす事を考える。わざわざ衝突しにはいかない。
この動きはもうすでに持っていたもの。しかし、そんな速い動きは出来ない、と思い込んでいたから現れる事がなかった。

「棒を奪い取る」事が出来てもそのままでは実生活には役立たない。しかし、頭は柔らかくなる。
困難成果を求めるのに、指先一つを考えるような事で解決してしまう事もある、と知る事ができる。

私は棒を奪い取るのに、30年もかけた。指先の動きは、その30年が無駄に思うような発見。時間を無駄にした、という思いがあるからこそ、逆に、この発見の大きさがわかる。
何かをしよう、と考えた時、頭にはいくつかプランが浮かんだりするが、大抵のプランは失敗するもの(笑)。うまくいってしまう時にはあっさり、簡単に、それこそいつの間にかそうなっていたりする。
まさにそれが、指先程度の動き。

結果が欲しいのか、努力がしたいのか、どっちだ

色々な機械や、様々なサービス、商品があふれる時代。何かを解決しようとする時、簡単なものも絶対にある。頑張りたい、と思う人もいるだろうが、それは成果、結果は二の次でいい、と思う人。努力自体が好きなのだ。
結果を死に物狂い、で求めたなら視野を広げる方に意識を置いた方がいい。

とりあえず、棒の話はおしまい。
後は実際に稽古で聞いてください。指を主役にすれば大した話じゃない、とわかるはず。凄いのは指、私じゃない。

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