2019年の術理 6月

6月は術理以外に思いも変わり、久しぶりにトップページの更新をしました。デザイン性や戦略をやめて、ただ、私はこんな人間です、と書き上げました。3万字にもなってしまいました。

ただ、長い長いトップページを読んで参加をしてくれる人もいます。不思議な事に、初めて会ったとしても、すでに身体感覚への意欲が違うんです。すでに、その人なりの身体感覚を求めだしているからだと思います。恥ずかしくもありましたが、意味が見つかり、ホッとしています。もうしばらくはこのままのトップページでいるつもりです。

人それぞれ、身体感覚は違うんです。手掛かりとしていくつかの術理を紹介しますが、それはきっかけ。
私は甲野先生が示してくれる様々な術理をすべて疑ってきました。実感がないまま、わかった気になるよりも、身体に一度返して、なんとか自分の身で出来る事はないかと探りました。その結果、たくさんの気づきを得るようになったのです。

さて6月です。6月もやはり「鱗」から生まれてきました。

【液体】

鱗が作ってくれるのは外側と内側の境目、壁です。鱗の持つ働きの一つ、丈夫さが安心をくれます
安心した事で、胴体の力みも消えたのでしょう。身体の中がドロドロとなっているのかも、と思う時がありました。

人間は想像によってなんにでもなれる。イメージ法を得意とする人は水にも鉄にもなれます。しかし、私はそのイメージが苦手でした。
しかし、そんな私がこの身体は「液体」と言い出しました。

きっと、言葉だけを聞けば、そういう「イメージ」を持て、と思われるかもしれません。しかし、違うんです。イメージではなく、身体感覚が先に液体感を与えてくれたのです。
感覚が増していくたびに、その液体をどう使えばいいのかもわかってきます。また、考えてみれば、人間の身体は7、8割は水分だ、とも聞きます。むしろ、液体である方が自然ではないか、とも思うようになりました。

また、液体は揺れるもの揺れるものと言えば、感情。頭の中でつながっていきます。人間は感情の動物、と言われます。あぁ、これは仕方がないのだ、とわかりました。
身体が液体なのです。揺れるのは当然。そこを始まりとして、うまく使えばいい、そう思えるようになりました。

液体になり、技的にも面白くなりました。それまでやろうとも思わなかった技が突然生まれたりします。
液体なのですから、不特定な形で抑えられてもそれほど気になりません。数人に抑えられても、ここ、そこ、と部分が際立つことなく、そのまま暴れる事ができます。塊ではなく、液体だからこそ、できる技です。

ただ、形としてはまるでなく、やはり、安易に伝え、聞いてしまうと「イメージ」だと思ってしまう怖さがちょっとあります。

【赤の威力】

稽古は日常生活の中にあります。少しずつ稽古の割合が増えていきます。こんな生き方があるとは思いもしませんでした。

普段当たり前に暮らしていますが、これは人間だから。無意識に働いている人間の機能が山ほどある。そう考えています。
赤への気づきも本当にたまたまでした。

たまたま赤ペンを持ち、考え事をしていました。
顔の前でちらちら揺れる赤ペン。その時、私の目が「動かされている」と気づいたのです。

目を動かしているのではなく、目を奪われ、動かされている。これは大きな違いです。
身体を大切にし、その身体を感じ、制御をしようと稽古をしてきました。自然に任せず、制御したいし、何が行われているのか、感じたい。超エゴ的稽古です。
そんな中、赤ペンを見て感じた事。「目が動かされている」、私にとって、は大変な事でした。

色に力がある、というのは知っていました。覚え切る事は出来ませんでしたが、働きはある事は知っています。しかし、その働きはこの胴体、腕脚、手足、指が動けば問題ない、そう思っていました。
しかし、違ったのです。身体を動かそう、と思う以前に、すでに、目は赤色によって引っ張られていたのです。何かをしようとした時にはもう、縛られていた事に気づきました。

仕組みが分かれば後は実験。色々な人と試します。そして、この「赤に目は奪われる」という気づきは確信に変わりました。
そして、相手も目が奪われている事に気づきません。しかし、私はそれを自覚した。これは大きなアドバンテージです。

そしてこの仕組みも、人間は無意識に使っている、そう思えてなりません。
赤い口紅、赤い車、人から注目を求める人は赤を好みます。真っ赤な服を着て、私を見ないで!という人はいません(笑)。赤の威力を皆知っているのです。
ただ、その働きについて掘り下げようとしなかっただけ。赤の威力に気づいたら、好みも変わるかもしれません。性格も変わってしまうかもしれません(笑)。

【赤と液体の融合】

赤の働き、液体の働き。それぞれの働きがわかってきました。武術は困難に向き合った時、行動を求められるものです。想定していない状況であれば、自然と身体が動き出します
赤と液体の融合もそうでした。

敵と向き合った時、逃げたくなる気持ちはわかります。逃げられるのなら逃げた方がいいでしょう。護身術を学ぶ時、それを忘れがち。技を習う事でそれを使おう、と思うと大間違い。道場で学んだ技はたいていうまくいきません。
しかし、逃げられない時だってあるだろう。そう考えた時、逃げずに戦う方法も知らなくてはいけません。勝つか負けるか、生き残れるかはわかりませんが、せめて納得のいく選択をし、行動したい、そう考えています。そして、身体感覚の稽古は選択も、行動も与えてくれます

怖い相手、苦手な相手からは反射的に逃げが生まれます。気持ちの部分で逃げてしまうと、相手を直視できなくなります
「見る」という事がどれだけ大切にな事なのか。その大切さを知っていても、反射的に逃げてしまう。このギャップを赤と液体は埋めてくれました。

赤い液体、と言えば何を思いつきますか?
しかも、人が持っている赤い液体。

そうです、血液はまさに赤い液体。
多くの人は血を見た時、冷静にはいられません。その血に振り回され、いつもの行動がとれません。とはいえ、突然専門家にもなれません。
赤い血は私の心、気持ちをぐっと引き寄せるのです。このままでは大変ですが、ここで液体の働きを思い出してみるのです。
液体と闘うならばどうするか。こちらも液体になり、相手との合体を求めればいいのです。この時、たいていの形ある技はなくなります。だって、液体ですから。

姿かたち、表情、表面にあるものをみれば怖い相手、苦手な相手としか認識できません。しかし、その皮一枚下には赤い血液が流れているのだ、と考えるのは難しくありません。だって、必ずあるんですから。
すると、表面に合った怖い姿かたちは消えていきます。相手も、私も同じ液体ではないか、と思えてきます。

ここをスタートラインにして、出来る事を探す。心に余裕が生まれてきました。

【いよいよ今年の稽古も最後です!】
名古屋 12/29(日)10:00-17:00
浜松 12/28(土)13:00-17:00
【年明けの稽古も決まっています。】
名古屋 1/8(水)10:30-12:30
名古屋 1/19(日)10:00-15:00
浜松 1/11(土)13:00-17:00
瀬戸 1/16(木)10:00-12:00
熱田 1/17(金)13:30-15:00
【久しぶりの東京稽古も決まりました】
東京目黒 2020/2/2(日) PM1:00~PM4:00
【2回目のつくばも決まりました】
つくば 2020/4/12(日)PM1:00~PM4:00

http://www.karadalab.com/sch




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