リアルよりも強いイメージの作り方 その2

イメージの「玉」

両手を使い「玉」をイメージしてみて欲しい。「真円」などという条件は付けないから簡単だと思う。泥団子を作る感じでいい。
この時、両手のひらは「外側の形」を意識している。丸くこね、手のひらで転がし、玉にしていく。
もし、気功的なメソッドを知っているのなら、この玉をよくこね、伸ばし、さらに気持ちを入れていく事も出来るかもしれない。

10分、20分、飽きることなくそれが出来るのなら、相当強いイメージが出来上がっているだろう。
気の玉は「ある」と思う人にはある。そしてその「ある」を感じる人には有効になる。手のひらにビリビリとしたものを感じるぐらいにはなるかもしれない。しかし、それでは「武術的には」役に立たない。

邪魔をされても玉は残っているかどうか

武術的には、と書いてみてが実験は簡単。玉を作った後、邪魔をされても作り上げたイメージの玉が残っているかどうかを試せばいい。
もし、少し邪魔をされた程度でなくなってしまうならば、信頼のおける相手にしか、その玉の力は渡せないことになる。これでは多くの人に気持ちの力を渡せない。

身体を弱らせる方向へと研究を進めてみたところ、偶然にもリアルに負けない玉の作り方を見つけた。
作り方は簡単、本当に簡単。ただ、考えもしなかったからできなかっただけ。うまく言葉で伝えられるかはわからないが、書き残しておきたい。

身体感覚的イメージの玉の作り方

ポイントは親指と手のひら
左手の親指を「」として、そのまわりに「」としての玉を右手のひらで作るだけ。
両手で玉を作るのではなく、片手は「核」中心を作る事が大事。

たったこれだけだが、この時の玉の強さを感じてみて欲しい。
まぁ、ただ、核と殻を意識して玉を作ってもこれだけでは感動はないかもしれない。何もないところにイメージの玉があるだけ、普通に作った時とそれほど変わらない。しかし、これを邪魔してもらった時が違う。

玉を作り、それを邪魔するように横から押してもらう。腕の外側を押されれば普通なら、押されたところに意識が行く。外から押されるのだから手のひら側とは反対。押されたところに反射的に力が入り、手のひらの力が希薄になり、玉は消えるはず。
しかし、「核」を作っておけば違うのが分かる。

外から押されたとしても、手のひらの間にある玉は消えず、残り続ける

イメージに大切なものは二つ

イメージする、イメージしろ、イメージが大切、誰もがイメージを口にする。確かにそうだろう。しかし、武術的に考えると、安易なイメージは難しいのが分かる。実際に、リアルに存在する肉体を襲われながら頭の中にイメージを作る事がどれだけ難しいことか・・・。

そもそも緊急事態のふるまいを考えなくてはいけないのが武術。安心安全な状況でしか生み出せないイメージは役に立たない
しかし、核と殻によるイメージはそこに働きを見せてくれるもの。緊急事態において、生き延びるためにこれしかない、という状況で見えてきたものだ。

イメージの玉を「核」と「殻」で作ってみればその精度、強さがけた違いに上がる。ただ、これで終わってはもったいない。大切なのは「イメージの仕方」に納得を得られたという事だ。

現代はリアルというよりもイメージの世界。あらゆるものがイメージ先行で出来上がる。その「持ちたいイメージ」が少し遅れてくる現実に壊された時、がっかり感に襲われてしまう
成功体験を育てよう、と言われるが、すでにたくさんの失敗をしているのだから、簡単にはいかない(笑)。
しかし、イメージに対して、その仕組みに納得があれば「持っていたいイメージ」を身体の力で助けてやればいい

それが「」だ。
外側の方は安易なものでいい。よく細かく正確に、と言われるが、なんとなくの方向さえあればいい。その時「核」を作っていれば、その後の現実に襲われても、なんとなくの方向を見失うことなく、気分を落ち込ませられずに済むだろう。

おそらく、世に出ているイメージ法、自己実現法はここからがスタート
自分の理想というイメージを失わない、というレベルがあって初めて形となって表れてくる。
趣味程度の自己実現であれば確率をあげる、という事に興味も持てるが、武術的に向き合うなら絶対でなくては命は懸けられない。
イメージは核と殻二つあればなくならない、と今、わかった。これにより、肉体的な身体だけではなく、より感覚的な身体も生かせるようになっていく。また次回、この核を使ったイメージによって出てきた動きを紹介したい。

【稽古予定】参加受付中
5/29(土)甲野善紀浜松稽古

6/5(土) 名古屋緑区
6/9(水) 名古屋緑区
6/12(土) 浜松
6/25(金) 名古屋東山

詳細はウェブサイトで。
カラダラボ ウェブサイト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?