ゼロから作るイメージの世界

間が空いてしまった。間が空く時は大抵、研究が進む時、新しく見つかる身体感覚がうまく言葉に出来ない時、更新は滞る。
言葉に出来ない、というのが二つ意味がある、一つは出てきた感覚に言葉が追い付かない時、もう一つは新しい動きを説明する言葉が手垢のついたものだった時。今回は後者。イメージ力という世界は広い。どうしても、その守備範囲に取り込まれてしまうが、そうじゃない。身体由来、という事を忘れないで欲しい。

イメージは「核」と「殻」

私の稽古は実験稽古。どんなに立派な理論、教えであっても、使えなければ意味がない。「出来ねば無意味」を念頭に稽古をしている。
こうして書くと猛烈な稽古を想像するかもしれないが、違う(笑)。ほぼ、雑談出来なければ違う事を試し、笑いながら試行錯誤をするだけ

イメージの技は人によって合う合わない、がある。
世の中には催眠術という世界もある。目の前にないものを出させ、あるものを消し、精神と肉体をコントロールする人がいる。ただ、かかりやすい人、かかりにくい人がいる。

エンターテイメントであればそれでいい。しかし、武術ではそうはいかない。命がかかっている場面において、役に立たないイメージの技を使っても意味がない

イメージは「核」と「殻」。そんな事をこれまでのnoteで書いてきた。ついつい外だけをぼんやりと作りがちなイメージ。この時、核になる点を意識し、完成形としての外側も同時にイメージをしてみる。すると、それは強烈にそこに「ある」感じを与えてくれる。

核と殻、この二つを作るのに、両手を使えばいい、と書いた。片手は親指で核、もう片手は手のひらで殻を作る。

玉、棒、壁のイメージ

核と殻によってイメージは身体由来となり他者からの妨害にあっても壊れない、これが大切な事。周りの状況に邪魔されず、自分の中で信じ続ける事が出来れば相当な確率で相手にも伝わる。
この辺りはまだ不確かだが、人が信じる強さは映っていくのだと思う。ただ、それは「確率」の要素が大きい。確信をもって向かい、確率を受け入れる、今の私の姿勢はそんな感じ

玉から始めたイメージ。親指と手のひらで玉を作る。これは何度も書いた事。同じように棒も作れる。ただ、これは片手の方が作りやすいかもしれない。イメージの棒をつかむ、これは普通。そこに付け加え、親指を意識して核を作る持っていないのに、持っているかのような姿勢になるのだから、面白い。

点から線、そして面。少しずつイメージを複雑化していく。とはいえ、棒や壁だ。世の中にあふれているイメージ法からすれば簡単なはず。

自分が望む世界をすべて細かくイメージしろ、そうしたならそれは叶う、願望実現法はそんな無理難題を言ってくる。ただ、その無理難題も100人、1000人、1万人に伝えれば出来てしまう人が何人かいるものだ。才能ある人はいる
しかし、それでは多くの人は落ちこぼれ、天才たちの養分にしかならない。そんな当たり前のイメージ法は捨てた(笑)。身体由来は誰もが持つ力。ただ、身体が動き、世界を表現するまでに時間がかかる。しかし、確実に自分にもイメージの力がある、と自信を得る事ができる

棒が出来たなら壁。目の前に壁を作ってみる。パントマイマーは見事に壁を作るが、その時に暴力的に攻撃をしてみたら、その壁は壊れないのだろうか?見事に作っているが、芸としてそれを覚えると、他者から邪魔をされた時、使えない。芸ではなく、身体の力、それを確かにしておくこと、これは大切な事。

壁が出来たら、その壁に守ってもらいながら戦う事が出来る。目の前に盾のように邪魔なものを出されると人間はひるむのだ。こちらが強いイメージで作った幻想の壁を押し付けると、敵はそれに反応して動いてしまう。そこに隙が生まれる。
不思議ではあるが、これも実験をしていけば、そういうものだな、と理解が出来ると思う。

玉を作り、棒を持ち、壁を押し付ける、遊びながら試していけばちょっとずつ複雑なものが作れるようになっていく。それが身体の力。

また近いうちに「階段」の話をする。もちろんこの階段もイメージのもの。その階段に足をかけ、上がっていくとどうなるか。これがまた、信じられない世界へと入っていくのだ。

【稽古予定】参加受付中
7/11(日)甲野善紀名古屋稽古
7/17(土)川崎稽古会
8/21(土)つくば稽古会

6/25(金) 名古屋東山
6/27(日) 名古屋緑区
7/14(水) 名古屋緑区
7/16(金) 名古屋熱田区
7/23(金) 名古屋東山
7/24(土) 浜松←7月はこの日だけです。
7/25(日) 名古屋緑区

詳細はウェブサイトで。
カラダラボ ウェブサイト

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