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動画サポートでしている分析はこんな感じでやってます。


動画サポートで西山がどのように分析しているのかを徹底解析しちゃいます。指だとより細かくなり難しくなるので、全身の動きで解説していきたいと思います。こんな感じで、手も足も全て分析しています。


左への寝返りの動画

今回解説するのは、誰もが行う寝返り動作です。どんな特徴があるかを考えながら上の動画を一度だけご覧ください。

動作分析の手順その①〜開始姿勢と終了姿勢を切り取る〜

動作を見る上で大切なのは、開始姿勢と終了姿勢です。その理由は、動作というのは、A地点からB地点までどのように向かうための方法は無限にあります。ですが、最初と最後は止まる部分になるので、決まっています。そこを見逃さないようにしています。

<開始姿勢>

次に終了姿勢。

<終了姿勢>

動作分析の手順その②〜動作を5分割にする〜

無数にある途中の動きですが、基本的には5分割にすることができるんです。知ってましたか?ちなみにこれらのお話は、理学療法士向けの勉強会で12,000円いただいているお話です。皆様にはそれくらい知識を得て、1日でも早く改善を目指してもらいたいのでお裾分けです。

<①準備期>

<②加速期>

<③転換点>

<④減速期>

<⑤調整期>

こんな感じで分けられます。この分け方はきちんとした決まりがありますが、そこまでは必要ないかなと思ってお伝えは省略させていただきます。

さて、ここからが本題です。開始姿勢を見た瞬間に私が脳内で何をしているかというと、その姿勢からどんな動作になるかの予測です。

開始姿勢から動作を予測してみよう

この写真を見ただけで動作が予測できるあなたは、動作分析のプロフェッショナルです!普通に寝ているだけのように見えるのですが、実はいろんな形が隠されているんです。
何を見ていいか分からない方のために、こんな印をつけてみました。

これらは、姿勢分析と呼ばれます。止まっている姿勢を分析する方法もたくさんあるんです。
ここで重要なことは、モーメント。。。みなさん苦手な物理学のお話です。w
ここでは簡単に解説です。モーメントとは、上図で示している矢印方向の力のことです。どっちの方向に回りそうかという状態を矢印で表したものです。赤色の矢印は、男性の右側から左側へ、青色の矢印は、左から右へのモーメントが発生してそうだなという、あくまでも予測です。
例えば、右下腿にある青色矢印は、下腿が外旋位にあるので、右回りのモーメントと呼ばれます。その上にある赤色矢印は、大腿骨が内旋位にありますよということ。この2つの関係性から、右膝が左に比べて下腿の外旋が大きい状態なのかもという予測ができます。だから、動き出すときは、右の内側ハムの活動を高めることで、下腿を内旋させる力が必要になるかもしれない・・・とかの予測がモーメントからできるんです。
※施術の時に、足をちょこちょこっと触る場面がありますが、その時にこのようなことをしれっと観察しているんですよ〜。施術にこられた際は是非聞いてみてください。一瞬でそこまでわかるの!?というくらいの情報量を持っていると思います。

それでは、足元から見ていきましょう。


まずは、黒の線はなんの線かというと、
母趾の高さに引いた線になります。右の母趾が線に届いていませんよね?これから分かること・・・それは、右の方が外旋していて外側に開いているということ。

最初はそれでもいいんです。でもよく見てみてください。これに気づけたあなたは、動作分析上級者です。

見にくい方のために、アップです。

気づきました?今回は、ピンク色の線を増やしました。このピンク色の線は、小指に合わせた線になります。小指の位置は左右同じなんです。
右足の方が外旋しているのであれば、足全体が外側に回るはずなので、小指の位置も違う(下がる)はずですよね?でも小指の位置は変わらない。でも親指の位置は左足が高い位置にある。これから考えられることは・・・

・・

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

ちゃんと考えました?

難しいですよね。これが動作を見ることを仕事としている人たちの頭の中です。たまに、走りやピアノ演奏を撮影した動画を自分で分析する方もいますが、ここまで細かく分析しなければ本質に辿り着けません。むしろ間違った解釈になってしまうこともたくさんあります。自分で分析するときはご注意ください。

この状態が示すのは、左足関節の背屈位(前脛骨筋の筋緊張が高い)が考えられるのです。もう一度上に戻って確認してみてください。そう言われると、右の母趾球の方が落ち込んでるようにも見えますよね?左は、母趾球がこちらに「こんにちは」と顔を見せてるように見えます。
細かいでしょ〜?でもこれが動作分析の面白いところなんです。この分析ができるかどうかで、動作の予測が大きく変わってきます。

さぁ、どんどんいきますよ〜!
次は少し上に上がって、大腿と骨盤です。

骨盤は、左後方回旋のように見えます。あくまでも予想です。私も実際にこの男性の身体は触っていないので、予測です。
そして、左右の股関節は内旋しているように見えますが、ここからが大事なところ。
アライメント(骨同士の位置関係)を見るときに大切なことは、【何に対して】なんです。
大腿骨は、常に骨盤に対しての動きですので、骨盤を考慮しなければいけません。そうしなければ、太ももが内側に向いていても骨盤に対して内側なのか、下腿に対して内側なのかなど、対する部位によって意味合いが変わってしまいます。

今回、男性の骨盤は、左後方回旋しているので、大腿骨が環境に対して中間位のままであれば、右の股関節は外旋位、左の股関節は内旋位になります。そこで、大腿骨だけを環境に対して考えてみると、右大腿骨は軽度内旋位で、左大腿骨は正中位のように見えます。ということと、骨盤の左回旋を組み合わせて考える。

めちゃくちゃ難しいでしょ?意味わからないと思います。頑張ってもう少し分かりやすく解説しますね。

このマジックは、まっすぐですか?

きっと多くの人が、斜めと答えるのではないでしょうか?

そこが股関節の問題を難しくしているんです。ここでも何に対してなのかを考えなければいけません。この写真という環境に対しては、斜めです。でも、マジックそのものはもちろんまっすぐです。ここをはっきりさせなければいけないのです。
だから、よく新人さんとかが真逆の評価を言ってしまうことってありますよね?私もそれで若手の頃たくさん恥をかきました。
それは、【何に対して】なのかが分かっていないからということが多いです。

それを踏まえて、環境に対して、骨盤が左後方回旋している状態と右大腿骨軽度内旋位と左大腿骨正中位を組み合わせて考えていきます。
例えば、骨盤が左に10度回旋していると仮定すると、両大腿骨が正中位であれば、右股関節は、10度外旋位、左股関節は、10度内旋位になります。この関係性は難しいので、読み飛ばしても大丈夫です。w
そんなに難しいことを考えているんだなと感じてもらえればOKです。
今回の場合は、動作分析で、厳密な角度は測っていないので、もしこうだったらこうだろうというお話になります。

環境に対して骨盤左後方回旋(10)と右大腿骨軽度内旋(10)と左大腿骨正中位(0)として考えた場合、股関節の角度は、右大腿骨は正中位、左大腿骨は、内旋位ということがわかりますか?
骨盤が左方向に10進んでいて、右大腿骨も左方向に10進んでいるので、その2つの骨の関係性は、0ですよね?
反対に骨盤が左方向に10進んでいて、左大腿骨は、その場に止まっていたら−10になります。そのような関係性を常に考えていきましょうね。

最後は、右肩甲帯です。

追加でオレンジの線とオレンジの●をつけてみました。右肩の部分に比べて左肩の部分が下がっています。このことから、右肩甲帯は外転もしくはプロトラクト(前方突出)のような位置関係にあって、右大胸筋などの緊張が高いことが予測されます。

以上がざっくりみた背臥位でのアライメントとモーメントです。これを姿勢を見た瞬間に脳内でババババーーーっと処理しています。指だともう少し単純になるので、簡単になります。私にとっては。。。次行ってみましょう!!

ー準備期を分析してみよう


準備期は、大きく重心移動が起こる直前の動作になります。だからこの場合、重心が左側へ移動する前のタイミングで切り取っています。

肘関節屈曲しながら、股関節、膝関節屈曲していきます。この時重心はまだ大きく左へ移動していませんよね?左にいく準備をしています。
この時にすでに背臥位の時のアライメントと同じ動きが出ているのがわかりますか?

それは、、、

ここ!

左足関節背屈(赤マル)でしょ?そして、右足関節は底屈で母指球が下がった状態でしょ?
こうして背臥位のアライメントが次の動作に影響していることってたくさんあります。開始姿勢の分析が重要なのもわかりましたね?
人間ってたくさんの戦略を持っているんですけど、基本的に数パターンでしか使わないということが私なりの考えです。だって、毎回違う動き方をしていたら非効率でしょ?だから大元のバランス戦略をみることができれば、それが他の動作でも出ているはずという前提で考えていくことができます。

それから、右下腿が中間位になっているのがわかると思います。膝を屈曲させるためにハムを使うのですが、下腿が外旋位から、膝屈曲とともに下腿の内旋が起こっている。ということは、内側ハムの作用が強く出ているのかな?と考えられます。

ー加速期を分析してみよう

加速期は一番力がいるタイミング。細かく分割すると、加速期の中にも加速期、転換点、減速期があるのですが、割愛させていただきますね。


加速期では、どのように重心を左へ移動しているのかを見ることができます。男性の場合、右下肢でベッドを押し付け、左側へ下半身重心を移動しようとしています。上半身重心は、両上肢の屈曲内転内旋の活動・・・おそらくメインは右の大胸筋の活動によって体幹を回旋させる力を補助しているのではないかなということが予測できます。だって、、、背臥位の肩周りのアライメントで、右の肩甲帯が大胸筋に引っ張られてそうだったでしょ?その活動が、寝返りの時も使われているみたいです。
もちろん、左の足関節は背屈で固定されたままというのが見れるかと思います。

ー転換点を分析してみよう

今回転換点としたこの位置は、筋の活動がなくてもあとは脱力と遠心性収縮でブレーキをかけることで終了姿勢までたどり着けると判断できるタイミングです。この写真から脱力させると寝返りそうでしょ?

だから、転換点の意味は、加速させるための求心性の筋活動から、減速させるための遠心性の筋活動に切り替わるポイントということです。

この転換点で大切なのは、余計な力が入り続けていないかどうか。相変わらず左足首は背屈位での固定は見られますが、そのほかは大きな問題はなさそうです。(あくまでも動画だけを見た中での大きな問題点がなさそうということで、実際の介入では、触ったり他の評価とともに考えていく必要があります。)

ー減速期を分析してみよう

減速期も終わりの方のタイミングです。この減速期がヒロキの特徴的な動きが出ていますよね?本来は、減速期なので、スピードが緩まって終了姿勢になっていくのですが、男性の場合、、、

左の股関節の内旋(骨盤が大腿骨上に乗る動き)が出る前に、左下肢外転の力を使い、お尻を持ち上げて左のお尻を後ろへ引く動作が見られます。この動作をする人は、いろんな理由があるのですが、少しだけ予測してみましょう。

●股関節のクローズド(CKC)の内旋が苦手

●内転筋が過剰に働きすぎている

●左足関節背屈位で固定した状態で、かかとを滑らしながら膝関節を屈曲するので、下肢外側の皮膚や筋膜が遠位方向に引っ張られ、左股関節の内旋に伴い、股関節周囲でつっぱりのような感覚が出現し、それを解放するための動き

●背臥位の時点から、骨盤左後方回旋している可能性があり、すでに股関節内旋位だったから

などが考えられます。こういう特徴的な動きをする理由は必ず存在するので、それを評価することで動作の本質が見えてきます。

ー終了姿勢を分析してみよう

終了姿勢のこのアングルでは、見るポイントが少ないから簡単ですね。

もう言わずともわかりましたか?
右の足関節底屈位で母趾が下がった状態で、左足首背屈位。右下肢(下腿)が後方に若干残っているのは、右のハムストの影響かな?とか。色々繋がってきます。

動作分析と姿勢から男性のバランス戦略を読み取ってみよう

ほぼほぼ答えは出揃っていますが、まとめていきますね。

寝返り動作の動画で、見られた主な現象として、

●左足関節背屈固定
●右内側ハムの過活動
●右大胸筋の過活動

がありましたね。これが、男性の主に使用されるバランス戦略です。(寝返り動作の水平面で見えた範囲での戦略なので、他のアングルから見れば他にも見つかります。)

本当だろうな?と疑う方もいるかと思いますので、違う動作で検証してみましょう。その特徴が顕著に出ている部分を1カットずつだけ載せますね。

まずは、左足関節背屈の制御がどのようになっているのか。ランジ動作で著名に出ていました。

反対の右足はというと・・・

母指球が下がってますよね?背臥位の時と一緒なんです。

次は右内側ハムの過活動があるかどうか。

これだけでは、内側かどうかはわかりませんが、右膝の屈曲が強いですよね?ということは、右のハムを使っていることは明らか。

そして、最後に右の大胸筋です。

なんじゃこのジャンプの仕方は!!!!????笑

でもしっかりと、右大胸筋を使ってそうですね。笑

こういう負荷量が高い動作になればなるほど、バランス戦略はわかりやすく出てきます。

このジャンプ動作を、また少しだけ分析してみると、左の肩関節外転も強いので、三角筋も過剰に使ってそうだなということが分かります。

最後におまけで載せておきます。

ねっ?バンザイの動作の時に左手を少し外に開いて(外転)動かしているでしょ?

ここまで見れれば動作分析は難しくないです。
でもなかなかここまで細かいところは見れないと思います。

だから、自分での動作分析をしている方はリスクが高まります。

動作分析をするのってものすごく高度で専門的なんだなという気持ちが少しでも生まれたら、コメントやいいね、質問、100円の寄付、なんでもいいのでアクションしてもらえると嬉しいです。

適当に動画を分析しているのではないというのが伝わったかと思います。安心して動画を撮って送ってください。

明日からもリトレーニング継続していきましょう!!

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