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wonder君は太陽感想

主人公の名前、ワンダーじゃないんか〜〜い!というアホのツッコミをしてしまった。

主人公は遺伝子異常で顔面形成に異常をもって生まれ、整形手術を何十回も受けたことで顔に痛々しい手術痕がある。今まで母親と勉強を続けていたが、今後を案じた母は息子を普通の子と同じように学校に通わせることを決意する。

移り変わっていく視点

ずっと主人公の視点で語られるのかと思いきや、途中で主人公の姉、友人、姉の友人、と次々視点が切り替わる。
てっきり「主人公が自分の容姿からくる偏見を乗り越えて周囲と馴染めるのか?」というお話かと思ってい。けれど、さまざまな人物の視点でそれぞれの悩みを語られ、「たとえどんなに普通に見える人でも中身はさまざまで、普通の人なんていない」という主人公のナレーションで物語は終わる。
どんな容姿でもどんな立場でもそれぞれに悩みがあり、互いを「よく見る」ことでしか相互理解は得られない、という、意地悪に言えば綺麗事ともとれてしまうようなテーマが丁寧に描かれている。


思春期の悩みやあるある

友達が自分のいないところで自分の悪口を言っているのを聞いてしまうとか、親が手のかかる下の子にばかりかまって関心を向けてくれないとか、高校デビューしたい友達から急に縁を切られてしまうとか、友達の真似を勝手にしてしまって気まずいとか、友達の家庭環境が羨ましい、とか。どれも幼年期〜思春期に誰もが経験した苦い感情の体験が蘇ってくるような丁寧な描写だった。


お姉ちゃん切ない…

主人公の悩みはとても深刻でそう簡単に解決できることではないし、他人が救えることでもない。
しかしその主人公のせいで、姉は両親から満足に関心を向けられていない。姉も主人公の境遇の深刻さを理解しているからこそ自分の感情を抑え込み、親友を心の支えとしている。
けれど親友は急に高校から姉との関係を絶ってしまう。
主人公の悩みはとても深いけれど、姉が全面的に幸せなわけではない。
恵まれた生まれの人間も、そうではない人間も、親の離婚も、体の障害も、自ら全てを選んでどうなったわけではない。そういう意味で誰もが誰もに対して「そうなっていたかもしれない」相手なのだ。


すごく嫌な言い方をすると道徳の教科書のような映画だったけれど、描き方や演出がとても綺麗でそうは見えず、主人公に友達ができたときとか普通に泣いた。
誰でも他人を思い遣って優先して行動できないことはあるけれど、その振る舞いを反省することもできるし、謝って立ち戻ることもできる、というのは実際には難しいことだけれどとても大切なことだ。
小学校の道徳の時間に見たかったな。




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