「品質」とは何か？品物の質だけではない
はじめに
皆様は「品質」という言葉を使ったことはありますか？
何らかの製品について、「安いのに品質が良いな」と表現することがあるかもしれません。
この記事では、広く受け入れられている国際標準化機構 International Organization for Standardization (ISO)の体系を用いて、「品質」の定義を紹介いたします。
モノやサービスの「品質」とは何か？
品質は、製品などがニーズを満たしている程度、と考えられています。(ISO9000:2015 3.6.2)
ニーズには、性能、安全性、完全性、納期、法規制への適合などが含まれると考えられます。また、顧客が明示していない事項もニーズに含まれます。これらをより多くカバーしている製品が、「品質の良い」製品とされているわけです。
ビジネスのいろいろな局面で、顧客や法規制の要求を満たしていない場合、悪い評価を受けるということは、広く経験されていることです。
（「品質不正」などでGoogle検索してみてください。）
品質は何によって備わるのか？
それでは、品質を生み出す要因は何でしょうか？これは産業によって多様であるので、少し頭を柔らかくして考える必要があります。まずは、いくつかのケースを想定してみましょう。
輸送サービス（高速バスの運行会社）
サービスの品質は、安全、効率的な移動、チケットの買いやすさ、大きな荷物が運べること、停留所の利便性、座席の快適性などでしょうか。
これらの品質を担保するためには、以下のものが必要と考えられます。
整備状態のよい、トランクを備えた車両
乗組員の安全運転の技能
乗組員を疲れさせない労務環境≒十分な数の乗組員
IC乗車券システム
インターネットでのチケット購入
適切な運行経路ー停留所の数が多すぎず、渋滞が考慮されていて、高速道路の車線の選択が指示されている
停留所には待合所や売店があること
快適で便利な座席
トイレ
これらが準備された状態で、バスが運行されたときに、輸送サービスの品質が生まれる、と考えられます。
レストラン
サービスの品質は、食の安全、美味であること、適切な接客、クローク、料理の提供時間、料理の品揃え、などが考えられます。
これらの品質を担保するためには、以下のものが必要と考えられます。
安全な食材の使用
キッチンの衛生を確保できる設備
キッチンの清掃の実施
料理の技量、衛生への認識
接客の技量
顧客の注文をキッチンに伝える方法
クロークのためのスペース
適切な提供時間を維持できる、キッチン設備
メニュー、レシピ、看板
Photo by Nick Hillier on Unsplash
機械部品の受託製造
製品の品質は、形状の正確性、耐久性、注文を受けてから納入までに要する時間、などが考えられます。（受託製造の場合には、製品の設計は含まれないことが多いでしょう。）
顧客と合意された仕様書
製品検査のための指示
製造要員及び検査要員の技量
ひび割れ（クラック）を起こしにくい製造方法、製造設備
材料及び製品の適切な在庫戦略
効率の良い、十分な数の設備と人員
共通する要素：要員、設備、情報
上記の例に共通する要素はなんでしょうか。あなたがマネージャーなら、次のものをサービス提供や製造に先立って準備しておく必要があるでしょう。
力量を備えた、十分な数の人員
設備、労働環境とそれを維持するためのルール
役割分担
仕事を実行するための情報（マニュアル・図面・計画書・作戦など）
顧客との間や、組織の中で必要となる情報伝達・通信（コミュニケーション）
これらは、「現場視点」で見て明らかに必要なものです。もし、あなたの仕事が十分な品質を生んでいないのであれば、何か（すべて？）が不足しているかもしれません。
おわりに
今回は、「品質」について簡単に整理しました。
今回のお話は、きれいごとや理想論に見えるかもしれませんが、次の記事で紹介する「品質マネジメントシステム」を導入するのに必要となるので、品質を作り込む要素についても簡単にご紹介しました。
この分野にはたくさんの成書や規格が出版されています。興味を持たれた方は、ぜひ調べてみてください。
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