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久々にエースコンバット6をやって思った事

やっぱ面白いと思った。


皆さんはエースコンバット7のアップデート、楽しんでいるだろうか?

1〜3、6、X、INFなどの歴代主人公機+αに加え、以前のアップデートで発生した発光バグをまさかの逆輸入というサプライズもあり、しかもこれが無料のアップデートという大盤振る舞いだ。

以下の記事で書いた新作やら追加ミッションは流石に勇み足だった(とは言え今後発表される可能性は十分ある)ものの、長らく実装が待たれた歴代主人公スキンが実装された事は嬉しい限りである。

筆者も勿論アップデートを堪能した、と言いたい所なのだが、タイミング悪い事に愛用していたゲーミングPCが壊れ、修理から戻ってきたばかりで7をあまり遊べていない。

とは言え修理中ぼんやり待ちぼうけというのもアレだったので、折角なので今回主人公スキンが実装されたエースコンバット6(残念ながらProjectACES公式サイトはFlashのサポート終了に伴い昨年末に閉鎖されてしまっているが、バンナム本体のサイトは健在)を久々に遊んでみる事にした。

久々に6をやってみて改めて実感したのは、確かに問題点も多いながら、「大軍VS大軍」というコンセプトに恥じない敵味方のユニット数と、それを最大限活かしつつ戦略性を高めたゲームシステムは秀逸であり、次回作で復活させて欲しい要素も非常に多い、という事だ。

ということで本記事では、6の良かった所と悪かった所をいくつかピックアップし、「7の次」に何を望むか綴って行きたいと思う。


1. エースコンバット6とは、なんぞや?

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最近からシリーズに触れた方向けに簡単に説明すると、6こと「エースコンバット6 解放への戦火」は2007年にXbox360向けに発売された作品で、エースコンバットシリーズで初めてフルHD画質に対応したタイトルでもある。

当時はバンダイとナムコが経営統合してバンダイナムコゲームス(現バンダイナムコエンターテインメント)になってからまだ1年程しか経っておらず、開発自体はZEROやXと同時期に始まっていたため、実質「ナムコ時代に作られた最後のエースコンバット」と呼んでも過言ではない。

そんなエースコンバット6のキャッチコピーはズバリ「群れなす翼の大戦場ドラマ。」「次世代機だからこそできる、空の集団戦。」と、敵味方の大軍同士が入り乱れる大規模戦闘を一番の売りとしている。

実際、そのコンセプトに恥じない規模の敵味方が同時展開する上、「敵も味方もたくさん」だからこそ成立するユニークな要素をいくつも持ったタイトルで、しばしば物議を醸すAHや7と方向性こそ異なるものの、PS2三部作(04、5、ZERO)などと比べると十分に異色のタイトルと言える。

大乱戦の中で、時に味方を助け、時に味方に助けられる。僚機は勿論、味方の戦闘機やヘリ、戦車や艦船とさえ"共闘"を楽しめるのもエースコンバット6の面白いところだ。


2. エースコンバット6のココがすごい!


6の魅力や面白さは実際にゲームを遊んでもらった方が当然わかりやすいのだが、13年前の、しかもXbox360向けタイトル(一応現在はXbox One後方互換にも対応している)であるため敬遠してしまう方も多いと思うので、そんな方向けに6の魅力を分かりやすく説明していく。


【その1】敵や味方の数がすごく多い

兎にも角にも、6を語る上でこの点を外すことはできない。

それまでのタイトルだと同時出現する敵は多くても100程度だった訳だが、6では100越えは当たり前、場合によっては300超の敵ユニットが同時展開する上、それに見劣りしない程度には大量に味方ユニットも登場する。

申し訳ないが6の後に5をプレイすると「超大国同士の戦争なのに規模小さすぎィ!オーシアもユークも手抜いてない??」と思ってしまう程、その差は歴然である。

7のミッション19前半やDLCミッション1の様な"大空戦"も、6では日常の光景だ。正にどこでもコモナオールウェイズ円卓である。

とにかく常にマップ上のどこかがどったんばったん大騒ぎなため、「戦争してる感」は他のタイトルと比較して突出しているのは間違いない。


【その2】一つのミッションで二度も三度も美味しい

貴方がもし6を未プレイなら、【その1】を見て「大量の敵味方がその場で適当に戦っているミッションばかりでは飽きてしまうのでは?」と思われているかもしれない。

しかし6はそうではなく、陸海空の各戦力が各々に目的を持ち、その達成のために明確な"意思"を持って動く

例えば以下動画のミッションでは、敵の山岳要塞に対して①西から進軍する地上部隊の本隊②東から進軍する地上部隊の別動隊③前述の2部隊に電子支援(後述)行う支援機部隊の計3部隊が同時に行動している。

※動画はエースコンバットシリーズのプレイ動画や考察等で有名なAce Combat Fan(ACF)氏のもの

各部隊の行動は「オペレーション」という単位で区切られ、ミッションごとに達成すべきオペレーション数が定められている。上記の動画の場合、2オペレーションの達成がノルマで、ACF氏は3つのオペレーションから①地上本隊③支援機部隊を選択している。

オペレーションノルマ達成後にはミッションアップデートがあり、助けた味方と一緒に新たな敵と戦うことになるのだが、どのオペレーションを選択するかによって共闘する味方が変わる上、場合によっては敵の布陣も変化する。

オペレーションに関わる味方は必ずしも戦車や航空機だけではなく、艦船や電子支援部隊なども含まれるため、どの味方を助けたかによって後に受けられる恩恵も変わる。中には野戦飛行場(後述)の奪取や防衛に関わる味方もおり、オペレーション選択によってプレイヤーが取れる戦略の幅も大きく変わるのだ。

同じミッションをやり直しても、どの味方を助けたかによってミッション全体の展開が変わるので、繰り返しプレイしても飽きづらい。自分好みの攻略パターンを極めたり、パターンが固まった頃にあえて別のパターンで攻略してみたりと、様々な楽しみ方が出来るのも6の魅力だ。


【その3】助けた味方の"恩返し" 圧巻の「支援要請」

6において味方との"共闘"を実感できる要素は他にもある。

それが「支援要請」と呼ばれるシステムで、以下のようにプレイヤーが指示した敵を味方が一斉攻撃してくれるのだ。

筆者が考える、支援要請システムの優れた点は二つある。

一つは、その発動タイミングをプレイヤーが完全にコントロールできる点だ。

無双プレイが醍醐味のエースコンバットシリーズにおいて、「味方ユニットにどの程度仕事をさせるか」というのは、実はとても悩ましい問題だったりする。

すなわち

「戦場の雰囲気を出すために味方は出来るだけたくさん出したい」

「でも数を増やすとプレイヤーの手柄を味方が"横取り"する事が増えてしまう」

「かといって攻撃頻度を減らすと、仕事をしない"棒立ち"の味方が悪目立ちしてしまう」

というジレンマが付き纏うのだ。

(少なくとも現時点での)この問題に対する最適解こそ、6の支援要請であると、筆者は考えている。

つまり、支援要請というプロセスを噛ませることで「プレイヤーが助けて欲しい時だけ働いて、プレイヤーが集中して敵と向き合いたい時に茶々を入れて台無しにしない」という"理想的な味方"が作れているのだ。

もう一つは、支援要請を出すためには、まず先にプレイヤーが味方を助けなければならない点だ。

支援要請は無条件・無制限で発動できるわけではなく、敵を倒したりオペレーションをクリアして、支援要請ゲージ(レーダーの右隣にある横軸のバー、最大5回分)を貯める必要がある。

つまり、プレイヤーが味方を助けることで、助けた味方が"恩返し"としてプレイヤーの指示に応じてくれるのだ。オペレーションをクリアすると支援要請に応じる味方も増えていくため、プレイヤーが活躍すればするほど、味方の支援も強力になっていく

6に否定的なファンからは「支援要請が強すぎて全然『エースパイロット体験』になってない」と指摘する声もあるが、前述の「支援要請はプレイヤーが戦況に貢献している事を前提としたシステムである」という認識が不足しているように感じる。

繰り返しになるが、支援要請をするか否かはプレイヤーが任意に判断できるため、「味方の助太刀など一切不要」という孤高のエースを目指したいなら、支援要請を一切行わないという選択も出来るのだ。

逆にシリーズ未経験者など、プレイスキルに自信の無いプレイヤーは支援要請を積極活用することで難局を乗り越えられる可能性が高まるため、難易度調整の観点でも非常に有用なシステムであると考えている。

※余談だが、本項で触れた"恩返し"というキーワードは6のストーリーにも大きく関わってくる。その結実とも言える終盤のあるミッションは、展開を予想できたとしても思わず涙腺が緩くなってしまうこと請け合いだし、そこに6のゲームシステムが上手くハマって最高の演出になっている。このシーンだけでも6をプレイする価値は十二分にあると断言する。


【その4】機銃の性能がえげつない

6の機銃はシリーズぶっちぎりの壊れ性能である。

威力は高く当たり判定が広い上、攻撃対象との距離が近ければ近い程威力が上がるという特性があるため、至近距離からぶっ放せば戦車だろうが戦闘機だろうが一瞬で溶ける。どんな機体でもA-10気分が味わえる。

6は兎にも角にも敵の数が多いので、如何にして効率良く敵を処理するかが肝要になるが、機銃が雑に強いため、地上の敵相手に上手く使えば1アプローチで10以上の敵を蜂の巣にすることも可能だ。

一定のプレイスキルを持ったプレイヤーなら通常ミサイルよりも遥かに使い勝手が良い(というか後述の問題でミサイルの使い勝手が悪すぎる)のだが、それ故にHARD以上の難易度では弾切れに気を遣わなければならないのが泣き所だ。

※もっとも、この機銃の性能は6のゲーム性に最適化されたもので、他のタイトルで同じような性能にしたらゲームバランスが崩壊してしまう、という指摘は確かにその通りだとも感じる。


【その5】"兵站(補給)の管理"が出来るミッション設計

上記の評価点も勿論大切な事なのだが、特に筆者が6で高く評価しており、エースコンバット次回作にもその知見を活かして欲しいと願って止まないのが「兵站(=補給)の管理」である。

6は一部を除く全ミッションに帰還ラインがあり、実装割合で言えば04の次に多いのだが、それに加えて6独自の要素として「作戦マップ内での着陸・補給(いわゆる野戦飛行場)」が存在する。

6の一部ミッションには以下のように、作戦エリア内に着陸できる滑走路があり、滑走路を味方が確保してさえいれば何時でも着陸し、ダメージ回復や弾薬補給が受けられるのだ。

帰還ラインは一旦戦域を離脱するためどうしても移動のための時間が発生するが、野戦飛行場は戦闘エリア内に設置されているため戦闘→帰還・補給→戦闘をほぼシームレスに行える

その一方で、「野戦飛行場を使うためには専用のオペレーションをクリアしなければならない」「野戦飛行場周辺に敵がいる場合、離着陸中に攻撃を受ける可能性がある」といったデメリットも存在しており、利便性とトレードオフになった奥深さもある。

そして支援要請と同様に、この野戦飛行場も使うか否か(タイミング含め)の判断は完全にプレイヤーに委ねられている。飛行場の立地やプレイヤーの機体や兵装、攻略パターンによっては必ずしも野戦飛行場が有効とは限らないため、「そもそも途中で補給を行うか?」「補給するなら野戦飛行場と帰還ラインのどちらを使うか?」という判断もプレイヤーの描く戦略の一部となるのだ。

何より、戦闘の最中、砲火の飛び交う飛行場に着陸して補給を受け、味方の援護を受けながら離陸し再び敵と交戦するというシチュエーションの緊迫感・臨場感がたまらない。これこそユーザーが物語に関与できる、ゲームというメディアの特性を最大限生かした体験・ストーリーテリングと言えるだろう。


3. エースコンバット6のここがダメ

さて、ここまで6を全力で褒めちぎってきたわけだが、ではなぜ6の評判は(特に日本国内では)イマイチなのか。残念ながら、それにも明確な理由がある。

ここからはそんな、"次回作に継承して欲しくない"「6のダメなところ」を一切の忖度なしで解説する。


【その1】敵や味方の数がすごく多い

「それさっき6の良い所言ってたやん!」と思われたそこの貴方、期待通りの反応ありがとうございます!!

冗談はさておき、ここが6というゲームの厄介な所で、大規模戦闘という6の醍醐味や評価点も、見方を変えれば問題点になってしまう

上記のいくつかのプレイ動画を観て頂いたときに「敵の数が多すぎて何をやればいいか全然分からない」と思われた方もいるのではないだろうか。

例えばレーダー表示一つを見ても、表示される敵味方が多すぎて、どこにどんな敵がいるのか、それらの敵味方が何を目的に動いているのかが分かり辛い。

一応この問題を緩和するために、作戦識別器という、特定オペレーションに属する敵味方だけをハイライトする機能が存在するが、ミッションによっては各オペレーションの戦域が隣接・重複している場合もあり、そうなると別オペレーションの敵味方がごちゃ混ぜになるのでますます意味が分からなくなる。

7をはじめ、6以降のタイトルでは、大規模戦闘でも地上の敵を散発的に配置している事が多いが、これも敵を密集させすぎるとレーダーやHUDの視認性が低下するという6での知見を活かした措置なのかもしれない。

「敵が多すぎるから減らせ」などとは、6の大規模戦闘が好きな筆者としては断じて言いたくないのだが、今後のエースコンバットで6と同規模かそれ以上の大規模戦闘を描くなら、敵の配置やUI周りを相当工夫しないと厳しいだろう。

また、敵味方の数が多いと言う事は、それだけ必然的に1ミッションの時間も長くなるという事で、スキマ時間にサクッとプレイできる軽いミッションが少ないのも難点だ。


【その2】フレームレートが低い

これは6に限らず、6以降〜7以前のタイトル全般に言える事だが、フレームレートが低く(体感で30fps以下)、機体を激しく動かすと画面がかなりチラつく

エースコンバットはそのゲーム性から画面が目まぐるしく移り変わるため、フレームレートの低下はそのままプレイ体験の悪化に直結する。(筆者はそこまで酷くないが)人によっては酔ってまともにプレイできないレベルだとも聞く。

そういう意味では、久々に60fps以上のフレームレートで安定動作する7は本当に画面が見やすく有難かったし、次回作以降も最低でも60fpsは維持して欲しいと切に願う。


【その3】自機の挙動に難あり

6は機体の挙動に癖があり、スティックの入力に対して機体が若干遅れたような挙動をする。これに前述のフレームレートの問題が加わり操作性がかなり悪化しており、慣れるにもかなりの時間を要する。

この挙動の癖は、6程酷くないにしろ、7を含む以降の作品にも見受けられるもので、個人の好みもあるので一概には言えないが、少なくとも筆者としてはPS2時代の比較的素直な挙動に戻して欲しいと思っている。


【その4】通常ミサイルの性能に難あり

シリーズ最高レベルの壊れ性能と化した機銃と対照的に、6の通常ミサイルは誘導性能が非常に低い

例えば至近距離で静止している地上の敵をロックオンした時、敵を画面の中心に捉えて撃たないと軌道の修正が間に合わず当たらない時がある。

静止している地上目標でさえこんな状態なので、航空機、特に戦闘機を相手にすると命中率は更に悲惨なことになる。

前述の機銃の項で触れた通り、6は敵が多いためそれらを効率よく処理する事が求められるが、ミサイルの誘導性能が低いせいで(特に地上の敵には)機銃をばら撒いた方が手早く確実に敵を倒せるという状況になってしまっている。

なぜこのような事になったのか。公式から明言されたわけではないが、その理由は大体見当がつく。

実は、6にはミサイルの誘導性能に影響を与える2つの新要素が追加されている。一つが、敵の未来位置を予測した上で、その方向に機首を向けながらミサイルを撃つことで発動する「偏差射撃」、もう一つが、特定の味方(レーダー上で青い円が表示)に近づくことで発動する「電子支援」だ。

これらの要素を活用することで、6でもミサイルの命中精度を大幅に上げることが可能なのだが、偏差射撃を安定して行うには一定のプレイスキルが要求される上、機動性が高いエース級相手に狙って発動させる事は非常に困難だ。

一方、電子支援を安定して得るためには電子支援能力を持った特定の味方が参加するオペレーションをクリアする必要がある上、常にプレイヤーに追従して電子支援をしてくれるのは電子支援機「スネークピット」のみである。このスネークピットは一部のミッションでしか登場しないため、プレイヤーが全ミッションで安定して電子支援を受ける方法は事実上存在しない

偏差射撃や電子支援の効果を高めるために、素のミサイル性能にデバフがかかってしまっており、実質「偏差射撃or電子支援ありき」にも関わらず、その何れも安定性に乏しいという状況で、これでは本末転倒と言わざるを得ない。

※他にも、本作は敵の数が多いため、ミサイルの誘導性能が高過ぎると敵の猛攻を受けてしまうからという推測も出来るが、これは敵のミサイル性能や攻撃頻度を調整すればいいだけの話なので、理由の説明としては少し弱いと感じる。


【その5】プレイアブル機体数が少ない

6はプレイアブル機体の総数が僅か15機種のみであり、うち1機が6初登場の架空機(後述)であるため、実在機は14機種しかない

特に、所謂「東側」と呼ばれる機体の冷遇っぷりは深刻で、スホーイ系はSu-33(Su-27系統の艦載機派生型)とSu-47のみであり、ミグ系に至っては1機種もない

F-15C(ZEROのサイファー、ピクシー)やSu-37(04の黄色中隊)などの歴代主人公・ライバル機も容赦なくリストラ(サイファー・ピクシースキンはF-15E、黄色中隊スキンはSu-33で追加DLC配信されていたが、当然機種が違うためスキンも「○○風」の域を出ない)されており、X-02(A)やファルケン(ADF-01)などの人気の架空機も登場しない

6で初のフルHD対応となり、グラフィックの向上により機体モデリングのコストも激増したと思われるため、開発チームを責めるのも酷だと思うのだが、せめて有償のDLCで機体を追加したり出来なかったのか、とは今でも思っている。


【その6】一部の敵エース戦が理不尽過ぎる

恐らく6の評価を数段下げている最も大きなマイナス要素の一つ。

具体的には終盤に対決する本作オリジナル機体、「アニ機」ことCFA-44 ノスフェラトを指す。

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このCFA-44は30機程度の無人戦闘機を引き連れてプレイヤーに襲い掛かって来るのだが、このお供の無人機がとにかくウザイ。自機が出来ないような超機動で逃げ回るわ、真後ろにピッタリ張り付いて機銃を浴びせて来るわ、支援要請で排除しようとすると超加速で逃げ去って味方のミサイルを振り切るわとやりたい放題である。

正直CFA-44単体であればそこまで脅威ではなく、超機動はするものの隙があるため慣れれば割と簡単に撃墜出来るのだが、それだと二次ミッションの評価がCになりミッション全体のクリアランクも下がってしまうため、オールSを目指すならこの無人機を一定数撃墜する必要が出て来る。

が、前述の通り無人機は超機動で逃げ回り支援要請も役に立たないため、とにかくミサイルやら機銃やら特殊兵装を撃ちまくり、当たることを祈る運ゲーになる。なまじ敵の数が多いため、運頼みで弾をばら撒く作業を数十分続ける(当然途中で弾切れになるので帰還ラインや野戦飛行場への離着陸も繰り返す)必要があり、相当な苦行となる。

このCFA-44戦、戦闘に突入する場所や状況もさることながら、直前のカットシーンで搭乗員の敵エース、イリヤ・パステルナーク少佐の壮絶な覚悟を伺い知ることができ、本来であれば最高に熱い戦いとなるはずだったのだが、前述の無人機の面倒臭さに、熱さどころか不気味ささえ感じるBGMも相まって、(少なくとも筆者にとっては)6で最も戦いたくない敵となってしまった。

これ以前に挙げてきた6の問題点は、その背景をある程度読み取れるし、情状酌量の余地もあったのだが、これに関しては、一体何を面白いと思って作ったのか、思わず担当者を小一時間問い詰めたい衝動に駆られる。実際にやってみればわかるが、本当にそれくらい酷い。

6のアニ機戦を今改めてプレイすると、7のミハイなんかはまだ良心的な部類だったと実感する。(もっともミハイ戦の問題点は超加速・超機動だけではないので単純比較は出来ないのだが・・・)

寧ろ今にして思えば、(5の頃からその片鱗は見えていたが)近年のエスコンで度々問題視される「強い敵=自機で再現出来ない超速度や超機動でひたすら逃げ回る」という悪しき図式を確立してしまった先例が6であったとさえ思う。


【その7】対応ハードがXbox360(と、その後継機)のみ

これは6自体の問題ではないし、ともすればゲームハード論争にもなってしまいかねないので書くべきかどうか迷ったのだが、特に日本国内で6が中々評価されない原因として避けて通れないので挙げさせてもらう。

皆様もご存じの通り、Xbox系のハードは日本国内では非常に影が薄い。

最新ハードで見ても、2020年末時点での日本国内売り上げはPlayStation 5の圧勝であり、Xbox Series X|Sは文字通り桁違いの差を付けられている。(もっとも、両者の上に発売から4年近く経ったのに未だに年間600万台売り上げている化物がいるのだが、アレを含めると話がややこしくなるのでここではあえて無視する)

両ハードとも世界的な半導体不足の煽りで生産が遅々として進まず、現在も品薄状態が解消されていないが、それでも売り上げにこれだけの差が出てしまっている。(と言うかMicrosoftも日本市場を見限っているのかあまり供給していない節がある)

6が出たXbox360の頃はもう少しマシな勝負をしていたように記憶しているが、それでもXboxを買う日本ユーザは余程の洋ゲー好きプロデューサーくらいのものであり、それ以外のゲーマーはPS3があれば事足りるという状況に変わりはなかった。

そんな中で、6がXbox360のハード需要もけん引するキラータイトルとして期待されていたようにも見受けられるが、残念ながら当時のエースコンバットにそこまでの力は無く、当時のバンナムの悪評もあって「どーせすぐPS3で完全版出るんだからそれまで待つわ」となった人がかなりいたようである。

その結果6は初年度売り上げが70万本バンダイナムコホールディングスの決算資料より)と低迷し、その後PS3への移植が出ることもなく、長年のシリーズファンでも中々遊んだことのない、シリーズきっての超マイナータイトルになってしまった。

既に触れた通り、6には問題点を補って余りある魅力があり、もっと評価されていいと筆者は思うのだが、遊べる環境を用意するハードルが高い(余程熱心なファンでなければ6の為にXboxを買おうなどとは、まず思わないだろう)ことから敬遠されているのが非常に残念でならない。


まとめ

以上の通り、6は大規模戦闘を軸に、プレイヤーの自由度を高める独自要素を多く持つ、2000年代後半のエースコンバットシリーズを代表する佳作と言えるタイトルである。

グラフィックも7が出た今となっては流石に見劣りするものの、それでも十分に美麗であり、淡くて空気感を強く感じる画風が後発のAHやINFよりも良いという意見も多い。

一方で、超機動で逃げ回る敵との追いかけっこを強いられる敵エース戦など、7まで続く様々な問題の「原点」になってしまったという負の側面もあり、手放しに賞賛する事が出来ないのも事実だ。

ここで重要なのは、「だから6はダメだった」で終わるのではなく、どうしてそのような問題が生まれたのかを冷静に分析すべきであると言う点だ。

上記で挙げた6の問題点は(機体数などのリソース起因の問題を除けば)概ね「○○ありき」なバランス調整をした結果であると結論付けられる。


「偏差射撃or電子支援ありき」で、素のミサイル性能を劣化させる

「支援要請ありき」で、理不尽な機動で逃げ回る敵を作る

「大規模戦闘ありき」で、長時間のミッションばかりになってしまう


そして、この「○○ありき」が起こす弊害は、そっくりそのまま、7などの近年のエスコンにも当てはまるのだ。


「ギミックありき」で、プレイ体験を悪化させたり、難易度選択を無意味化する

「カスタマイズありき」で、素の機体性能を劣化させる

「チェックポイントありき」で、頻繁なミッションアップデートやブリーフィング詐欺、弾薬不足を引き起こす

「天候表現ありき」で、プレイヤーにストレスを与えるデバフ要素ばかりを追加する

「無線でのストーリー進行ありき」で、敵エースを予め決まったルートで飛ばし、無敵状態にしてしまう


以上の例からも明らかな通り、6は良い意味でも悪い意味でも、エースコンバットの今後に重要な示唆を与えてくれる作品である。

(釈迦に説法だし、言うまでもなくやっていると思うが)開発チームには定期的に6を遊んで、何が良くて何が悪かったかを研究して欲しいと思うし、未プレイのファンには是非とも一度触れて欲しいタイトルだ。

という事で、特にXbox360やXbox One(X)をお持ちで6を遊んだ事がないという方は、これを機に味方との"共闘"を楽しめる、一味違ったエースコンバットを堪能してみてはいかがだろうか?

前述の通り操作性や画面の視認性に若干の難があるし、最初は敵の数に圧倒されるだろうが、チュートリアル完備でギミック系のミッションも少ないので、初心者には比較的優しいと思われる。少なくとも7をクリア済みなら問題なくクリア出来るはずなので安心して欲しい。

今Amazonで新品を買おうとすると1万円を超える高値になってしまうが、中古なら500円からで購入出来る。近くにゲーム専門店があるなら覗いてみるのもいいだろう。

なんにせよ、これだけ挑戦的で、かつ大きな可能性を秘めた新要素の数々が、このまま打ち捨てられて朽ち果ててしまうなど、絶対にあってはならない。

作る側も、遊ぶ側も、今一度この隠れた名作に光を照らして欲しい。今尚盛り上がりを見せる「未知なる空」の、その更なる"先"に想いを馳せながら願う今日この頃である。


余談

6ならではの新要素と言えば、当時は良くも悪くも界隈を賑わせ、以後の作品でも定番となった「アイドルマスター」シリーズとのコラボカラー機(所謂"痛戦闘機")も6が初出である。

どんな感じの機体だったか、丁度いい感じに紹介されている動画があったので以下に載せておきたい。

6が出た当時、失礼ながら筆者はアイマスに全く興味が無かったため「ふーん。同じ会社だしまぁいいんじゃない?」程度にしか思っていなかったのだが、視聴を皮切りに、最近はシャニマスポプマスに手を出し始めて、徐々にだが確実にアイマス沼に沈められている状況で、エスコンとのコラボに関しても今ではすっかり容認派から推進派にジョブチェンジしている。

否定的な意見があるのも理解しているが、丁度アイマスも15周年で色々な企画が行われている最中だし、これを機に再びコラボを実現して欲しいというのが筆者の個人的意見だ。

これがサイファーやガルーダなどの歴代主人公カラーが未実装の時であれば、「それよりも先にやることがあるだろう!」というお叱りの言葉がファンから出るのも理解できたし、筆者も返す言葉が無かったわけだが、そういった懸案も先日のアップデートで大方解消された事だし、そろそろ羽目を外しても良い頃合いではないだろうか。

オリジナルの機体スキンが諸々の都合で難しいと言う事であればエンブレム配信だけでも是非して欲しい。F-16CやF-2Aに放クラのユニットロゴを付けて飛ばせる様になった暁には、泣きながらバンナム本社に向かって土下座して見せよう。

※ちなみに筆者はアイマスに限らず、他作品とのコラボは積極的にやって良い、寧ろやって欲しいと考えている派だ。今なら公式設定でニューコムに関する言及があった電音部とのコラボもアリだろう。


最後まで読んでいただいた方、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。ご意見ありましたら是非筆者のTwitterにコメント下さいませ。


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