スナネコの規制について考える〜動物の福祉の観点として〜

商取引規制の難しさは考えたのだが、動物の福祉という観点からの規制ができないかということも考えるべきだろう。

少し前のことだが、このような記事を見つけた。

そもそも生きものをローンで購入するというのはどういうことが想定されるのか。それこそ、審査によっては支払い能力がそれほど高くない人が購入する可能性があるということだ。そうなれば、生きものたちにとっては望ましい飼育環境を整えることが難しかったり、衝動買いを引き起こしたりする可能性が高い。そうなれば、生きものたちにとっても望ましくはないだろう。

そこで思ったのが、小売業者から生きものを購入する際に、リボ・ローン・分割での支払いを禁止し、現金もしくは口座引き落としなどによる一括払いを義務化するということだ。これは商取引の規制という面もあるが、それ以上に生きものたちの福祉的な環境を維持する能力の有無をある程度判断できるようにするための基準にもなる。そう考えると、「小売業者から生きものを購入する際の一括払いの義務化」というのはある程度重要な、スナネコだけでなくさまざまな生きものの安易な購入を阻止するという観点からすれば重要なのではないかと思う。ちなみに、消費者金融で借りればいいと思う人もいるかもしれないが、消費者金融では50万円以上の借入を行う際は収入証明書が必要である。そうなると、高い買い物としての生きものの購入に関しては規制されていくのではないかと思う。

生きものにお金をかけられない場合は、動物の福祉という観点から飼育は難しいという判断ができる。よほどのことがない限り飼育ができないということになれば、スナネコはもちろん様々なエキゾチックアニマルに関しての飼育を抑制できるのではないかと思う。

とはいえ、安価な生きものに関しては、効果が薄いという問題も生じる。デグーやチンチラなどの場合はいいとしても、熱帯魚やハムスターなどの場合は一括払いでも十分購入できる価格帯ではある。そう考えると、高額な生きものの購入規制にはつながるが、価格帯が安い生きものの安易な飼育にはあまり影響を与えないだろう。

それに、ペットショップや小売業者からの反発も予想される。けれど僕としては、衝動買いによって利益を得ていくシステムはもう終わりにして欲しいと思っており、新しいビジネスモデルを提案すべきなのではないかと考えている。

それが、ペットショップを生きものに関する様々なことへのインフラ化だ。近年ではペットホテルやペット用品などを取り揃えているショップも増えてきているが、生きものを飼育していく中で生じる様々な問題や課題を解決していく場所としてのペットショップを提案していきたいと考えている。それとともに、生きものを飼育する際には「生きもののごはん」も必要になってくる。そういったことからペットショップのリピーターというのは多い。だからこそ、そういった人が何か疑問を感じた際に対応できるような、そして生きものの販売記録をベースにどれくらいのペットがどこにいるのかといったことをデータとして扱えるように、生きものを飼育するということを社会全体で考えていくのが重要なのかもしれない。

さて、話が逸れたが、今回のテーマは「動物の福祉や愛護」だ。もちろんのことだが、愛護の面で言えば、スナネコを一般家庭で飼育するというのは禁止すべきことであろう。しかしながら、それでは多くの生きものの飼育を制限してしまいかねない。

どのような生きものが、どのような環境を好むのかというのは種類によって様々だ。それを個々の生きものごとに法律で指定するのはナンセンスだ。だからこそ、包括的な運用が求められる法的制度の上では、当該野生動物の生態、習性及び生理に基づいた飼育という文章になっているのである。

そうなると、スナネコの飼育のガイドラインというのを制作し、販売者や購入者に順守してもらうのが重要なのではないだろうかと思う。具体的な湿度等は難しいけれど、スナネコは特定動物の飼育にも匹敵するほどの難易度であるからこそ、一定の基準が必要ではある。それ単体に法的拘束力はないけれど、それを目安にすることで生態や習性、生理などの要件をはっきりさせておき、難易度をきちんと明示することが重要ではないかと思える。

今回はスナネコを中心としているためにガイドラインの明文化という発想が出てきたけれど、それでは全ての生きものには対応しきれないだろう。とはいえ、それぞれの生きものの飼育へのガイドラインや適正飼育環境を順守するような仕組みも重要ではある。それは明文化されているけれど社会通念上のものであって法的拘束力はないというものにして、法律ではないところで用意すべきものであると思う。

これら一連の勉強の中で、スナネコを特定動物に指定するのは難しいという認識が纏まってきた。けれど、それ以外での、新しい制度を求めていくべきことが分かってきた。あとは、いくつかの軸を設定し、それをもとにしてスナネコのペット化をどうやって防いでいくのかを考えていく必要がある。

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