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Penalty Paradise Pick'emのすすめ

今回はポーカーのParadise Pick'em(通称ピッケムン)、特に自分の周辺で遊ばれているPenalty Paradise Pick'emについてのルールや基本戦略、面白さについて紹介します。

難しい種目もあるので、後日詳細なルールについて種目別でまとめた記事も書こうと思います。

遊び方

Paradise Pick'em

オマハ同様、4枚のカードがプレイヤーに配られる。
UTGのプレイヤーは種目を選択する。
選択された種目に応じてカードを取捨する(3枚以下の種目の場合は手札からその枚数になるまでカードを捨てる。5枚種目の場合は追加で1枚ずつカードが配られる。)。
選択されたゲームをプレーする。

通常のピッケムンの遊び方は以上となります。ドラマハに限定したもの、HORSEに限定したもの等様々な種類がありますが、今回は私の周辺でプレーしている以下の形式に限定して話を進めます。

Penalty Paradise Pick'em


オマハ同様4枚のカードがプレイヤーに配られる。
UTGはディーラーボタンを使用するFL種目(卓の合意が取れる種目であればなんでもよい)を選択する。
①UTGがポットを獲得した場合
そのまま次のハンドが始まる。
②UTGがポットを落とした場合
そのハンド終了時にそのポットに参加したプレイヤーに対して1BB(ビッグベット)、参加しなかったプレイヤーに対して1SB(スモールベット)それぞれ罰符を支払った後、次のハンドが始まる。

ポットを獲得したかどうかは、一部でも獲得していれば条件を満たします。1/2でも1/4でも獲得していたら罰符は回避されます。Penalty Paradise Pick'emという名称は私が勝手に付けました。

このルールに辿り着いた変遷については後ほどまとめるとして、まずはこのゲームでの基本的なルール、戦略をまとめます。

基本戦略

UTGは卓の合意が取れるあらゆる種目の選択が認められています。しかし、ポットをいくらかでも獲得できればUTGは罰符を回避できるので、基本的にはスプリットポットゲームから種目が選択されます。それを踏まえた上で選択される可能性のある種目の一覧は以下になります。

Drawmaha系

Hi
Badugi
Hi-dugi
0
49
Prime
Not Prime

Draw系
Badugi
Hi-dugi
Badugi Hi/Low
Badacey
Badeucey
Archie

Omaha系
Double Board Omaha Hi/Hi(4 or 5枚)
Double Board Omaha Best/Best(4 or 5枚)

ドラマハをはじめとしたスプリットポットゲームがゲームの大半を占めます。これ以外にも例外としてCourchevelが選ばれることも想定されますが、UTGは以上の15種目から基本的に選択することになります。

それぞれのルールについてまとめます。

種目別ルール

Drawmaha系

ドラマハは手元5枚の手役とオマハの役で強さを競うスプリットポットゲームの種目です。
フロップ以前のアクションは5カードオマハと同様に進行する。ターンを開く前に1度だけドローすることが可能。

Hi,Badugi,Hi-dugi
元の種目同様の役判定で強さを決めます。

0,49
数字の合計で手元の勝敗を決めます。J~Kは0として扱われる。0では0に近い方が勝ちで49は49に近い方が勝ち(それぞれピクチャー5枚、TTTT9がナッツ形)。

Prime,Not Prime

Primeは素数(2,3,5,7,J,K)
Not Primeは合成数(4,6,8,9,T,Q)

の枚数が手元に多い人が勝ち。
枚数が同じ場合はLowballの方が勝ち(2357J,4689Tがそれぞれナッツ形)。

Draw系

Badugi
手元4枚のドローポーカー。
4枚が異なる数字かつ異なるスートで構成され、かつその中の1番大きい数字が小さいほど強い。
4枚が異なる状態を"バドゥーギ"と呼ぶ。
ナッツはA234レインボー。
バドューギが完成しなかった場合は被った数字、スートを除いたより強い3枚同士で比較し、3枚のうち最も数字の大きいもの同士で勝敗を決める。
バドゥーギが完成しなかった状態の3枚を、日本では"ダイ"や"tri(トリ)"、英語では"3 card"と呼ぶ。
3枚が完成しなかった場合は、2枚で勝負。
3枚同士、2枚同士の比較は、同じバドゥーギ、同じダイを持っている場合も行う。スートによる強さの違いはなく、同じハンドの場合はチョップ。

Hi-dugi
ペアが強いBadugi。Badugiの強さを逆転させて、その上のランクにペアで異なるスート形、3カードの異なるスート形、4カードの異なるスート形がある。ナッツはAAAA。

Badugi Hi/Low
BadugiとBadugi Hiのスプリットポットゲーム。Badugi Hiのナッツ形はAKQJレインボー。HU時のナッツ形はA678レインボーなど。Badugi HiはHi-dugiではない点と、Aは1と14どちらでも取れるという点に注意。

Badacey,Badeucey
それぞれBadugiとA-5,2-7tdの複合種目。

Archie
9のワンペア以上の役の強さと8以下のローでそれぞれ勝敗を決めるスプリットポットゲーム。場所にによってクオリファイが異なることがあるので注意。66+の場合もある。クオリファイを満たしていない場合、チョップとなる。場所によってはクオリファイ無しのハイの強さで勝敗を決める。

Omaha系

Double Board Omaha Hi/Hiは2つボードを開いてそれぞれのナッツハンドがポットを獲得。
Double Board Omaha Best/Bestは2つボードを開いてハイナッツとローナッツでポットをスプリットする。

これでPenalty Paradise Pick'emをプレーする準備は整いました。あとはハンドに応じたゲームを選択してゲームを楽しみましょう。

ルール改訂の歴史

ここからはピッケムンのルール改訂の歴史について主観を多分に含んだうえでまとめます。興味がない方は読み飛ばしてください。

私が初めてParadise Pick'emという言葉を知ったのは2022年下旬、中野DDPTのAll-All-Allという、あらゆる種目、あらゆるLimitからゲームを選択できるDealer's Choiceでピッケムンが選択された時でした。最初5枚配られてUTGが種目を選択、特に罰符などはなく、ただ好きなゲームをプレーするというオーソドックスなルールのピッケムンでした。

2023年3月、とある日本人の専業Kさん、Mさんとプレーしたパラダイスピッケムンで以下のルールを思いつきます。

BTNがゲームを選択できるのはあまりにも有利だから、BTNがポットを取れなかった時はペナルティを設ける

ペナルティについては、私がラスベガスで実際に体験した、"BTNのプレイヤーがポットを落としたら卓の全員に5$ずつ支払う。(当然ディーラーにも5$支払う)"というゲームから着想を得ました。

当時参加していたチャットグループ

この罰符システムの画期的な点は、全力で罰符を回避するUTG vs 罰符を払わせたい他プレイヤーという構図が出来上がり、フォールドしたプレイヤーもゲームを観戦して楽しむことができるという点にあります。また、UTGは自身のハンドのEQが高いゲームを選択し、他プレイヤーも罰符との兼ね合いで参加がプラスだと思われる範囲でプレーすることから、ある程度はレンジの概念が存在する為ゲーム性も担保されます。

さて、3人でプレーしていたピッケムンですが、2023年春ごろから新規プレイヤーの参入により7maxでプレーされることが多くなりました。またルールの改定も重ねられていきます。主な改善点や理由を以下にまとめます。

・初期枚数を5枚から4枚へと変更したことによるゲームバランスの調整
・罰符の量をそのポットに参加したか否かの条件で分けることによる他プレイヤーが参加するインセンティブの向上
・Prime、Not Primeの追加によるtrashハンドの救済

2024年8月現在、これらの変遷を経てレギュレーションがかなり固まり完成に近づいたことから、ようやくピッケムンが始まってきたように感じられます。これからもまだまだ改訂が進むかもしれません。

まとめ

ピッケムンはMIXゲーム全般のルールとある程度のゲーム性を網羅する必要があり、また楽しむ為には同卓者のレベルもある程度担保されている必要があることから、プレーする敷居が他の種目よりやや高いかもしれません。ですが、


・ハンドの組み合わせと種目の多様さからくる種目選択の難しさ
・マルチウェイの均衡を意識する必要がある
・罰符

といったようにこのゲームはNLHとは少し違った要素について考えることが多く、それでいてポーカーの理解度や実力が問われる非常に楽しいゲームとなっています。
個人的にはMIXゲームを勉強するメリットの大半はピッケムンをプレーできることに集約すると言っても過言ではないほどにピッケムンは魅力的なゲームだと私は思います。皆さんもMIXゲームを覚えてピッケムンで遊んでみてはいかがでしょうか。

おまけ

さて、今回の内容で1点疑問が生じた方もいるのではないでしょうか。スプリットポットゲームを選択するべきこのルールで、なぜBadugi,Hi-dugiといったスクープゲームが選択種目の候補に入っていたのでしょうか?機会があればこの辺りの内容についてもまとめようと思います。

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