SENSHU RUGBY 2018 ~上位4強を目指し中央戦へ
今季から大学ラグビーはレギュレーションが変わり、留学生選手が同時に3人まで出場できるようになった。これは大きなルール変更だ。
ラグビーはサッカーのように各チームで戦術のシステム(4-4-2、4-3-3、4-3-2-1といったような)が異なるわけではない。つまりミラーゲームだ。
ここに図抜けた体力やスピードを持つ留学生選手が入ると、日本人はどうしても一人で止めることができなくなる。二人、三人とディフェンスに行けば、それだけアタックをしているチームは人があまってフリーになる選手が増える。
仮に留学生一人を日本人二人で止めるとすると、昨年までだと攻撃側は2人が余る。が、今年からは3人が余ることになる。
もちろんラグビーはそれほど単純ではないし、これまで多くのチームが努力をして日本人だけで留学生のいるチームに勝ってきた。が、その難易度が今年はさらに上がったことは間違いないだろう。
近年、対抗戦グループや関西に有力な高校生が流れていくなか、リーグ戦グループ全体の力が落ちているという指摘がある。対抗戦に留学生のいるチームが少ない反面、リーグ戦1部で日本人のみで戦っているのが法政、中央、専修だけという事実は、リーグ戦における留学生の依存度の高さを示しており、しかもそのチーム構成と最終順位は有為な相関関係にあると言える。
しかも今年はリーグ戦からの大学選手権出場枠は3枠のみ。となると大東、東海、流経の3強の一角を崩す必要がある。
専修はすでに開幕戦で大東に敗戦、が昨年4位の法政に29シーズンぶりに勝利し、迎えたのが流経、東海の2連戦だった。
そのファイナルスコアは以下のとおり(カッコ内は前半)。
専修 14(0)-(21)56 流経
専修 15(8)-(26)73 東海
結果から見れば完敗。今季の大学選手権出場の夢は断たれた。
しかし、この2試合を観戦した筆者の率直な感想は「強くなった」である。
そう、専修は確実に強くなっている。
確かに最終的には点差は離れている。しかし前半はそれなりに健闘しているのだ(ただし前半終了間際に点を取られる悪いクセがリーグ戦、ジュニア戦ともに続いているのは残念)。強力な相手フォワードに対してマイボールスクラムは崩されることはなく、接点では相手のボールをターンオーバーすこともしばしば(とくに坂本のボール奪取力は凄い)。ゴール前へ攻め込めばFWでトライを取ることもできている。個々の強さは確実に上がっているのである。
東海戦は前半30分まで8-14(先制トライは専修)。その後に2T1Gを追加されて8-26でハーフタイムとなる。後半も先に点を取られたが坂本が取り返して15-31。だが、この後にシンビンで14人となってしまう。ただでさえ東海の3人の留学生が強いのに、さらに物理的に1人減ってしまうと流石に怒涛のアタックを止めることはできなくなり、5連続トライを取られてしまった。
残念な結果、もう少し点差の開かない試合をしたかったという思いは残る。しかし、苦難の時代であれば、もっと早い時間でゲームが壊れてしまい、まったく見せ場のないままノーサイドを迎えてしまったはずだ。そう考えれば悲観することはなにもない。
間違いなく言えることはチーム力自体は右肩上がりであること。
長年にわたり低迷し、やっとそこから脱出したチームが、だからといってトップチームとすぐに互角に戦えるわけではない。さまざまな壁は待ち受けているが、現在のチームはそれを乗り越えていいく力がある。方向性は間違っていないのだから、後はこの努力を積み重ねていけば、近い将来、必ず優勝争いに加わることができるだろう。
前述のように今季は大学選手権出場はならなかった。が、次なる目標は4位に入ること。上位4チームとの対戦を1勝3敗で乗り切った今、残り3試合を勝てば自力での達成が可能だ。
まずは28日の中央戦。2部に落ちた2003年、2004年と連続して入替戦で負けた相手であり、2015年には後半30分に追いつきながらの敗戦。その借りを絶対に返さなければならない。
発表されたメンバーはハーフ団が変わった。SHが小田剣(今季初出場)。SOは前節と同じく郡司(それまではCTBでスタメン出場し、後半途中からSOに上がっていた)。
そしてなんといっても注目は、SHのリザーブに入った野口宜裕。
セブンス日本代表に名前を連ねる快速ランナーが、ついにリーグ戦デビューを果たす。春のシーズンにも少しだけ試合出場があったが、短い時間でもトライを取る力は抜群。スピードだけでなく強さも兼ね備え、しかも日常的に海外で外国人選手とコンタクトしているだけにタックルも強い。
ベールを脱ぐ秘密兵器と郡司のHB団(このコンビは試合では初)は後半戦最大の武器になるだろう。
【関東大学リーグ戦 1部 第5節 vs中央大学】
10月28日(日) 14:00KO(熊谷ラグビー場Bグラウンド)
1. 石田 楽人
2.宮本 詩音
3.栗山 塁
4.山極 大貴
5.殿元 政仁
6.坂本 洋道
7.佐藤 匠
8.石川 恵韻
9.小田 剣
10. 郡司 健吾
11. 夏井 勇大
12. 夏井 大樹
13.光吉 謙太郎
14.水野 景介
15.松浦 祐太(C)
16.檀野 友多郎
17.原 健将
18.森重 慶司
19.小野 悠太
20.志賀 亮太
21.野口 宜裕
22.檜山 成希
23.澤田 歩武
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