SENSHU RUGBY 2020 ~ 大敗の東海戦。いいじゃないか、前を向けば

2年ぶりに秩父宮で行われた東海との試合は予想以上の大敗だった。
開始2分、森野が蹴ったショートパントが東海4番の留学生にチャージされるとそのまま持ち込まれてトライ。以降、前半だけで33失点。後半の52失点を加えての0-85は惨敗以外の何ものでもない。

だが、前半に限って言えば、よくやっていたと思う。とくに密集付近のディフェンスは強力な留学生FW二人をダブルタックルで食い止めて中央突破を許さなかった。だが、タックルの後でどんなに速く立ち上がっても、ダブルタックルを繰り返していれば、外側へ振られた時にディフェンスの人数が足りなくなる。なにしろ東海は日本人選手も強力だ。
そして「ゆらぎ」という名前の初スタメンの1年生SOが縦横無尽に走り、専大ディフェンスを混乱させた。
この日の東海は強かった。次節からいよいよ上位同士の対決が始まるだけに、開幕の頃とは比べものにならないほど調子が上がっていることは間違いなく、メンバーも前節の法政戦ではスタメン1人だった留学生が3人、おそらくSOも含めてこれが東海の今季の最強仕様なのだろう。

そして、この強い相手に、まだまだ専大の力は通用しないことがはっきりした。が、悲観することはない。相手は近年、ずっと強さを継続しているのに対して、専大は長年の低迷から脱したとはいえ、3年前には2部にいたのである。
とはいえ、ではその差は縮まっているのか?

そこで思い出すのが2018年シーズンの関東学院とのジュニア選手権入替戦。
この年、2015年以来、3シーズンぶりに1部に復帰した専大は、中央、法政には勝ったものの、やはり上位チームには通用せず、「本当に進歩しているのだろうか?」という不安の中にいた。ジュニア選手権もカテゴリー2に上がったことで全敗。
そこへ乗り込んできたのが関東だった。この年の関東はリーグ戦2部、ジュニア選手権C3を全勝で通過。2週続けての入替戦の第一弾が専大ジュニアとの試合だった。関東にとっては前年のリーグ戦入替戦で煮え湯を飲まされた相手だけにジュニア戦とはいえ並々ならぬ気合が入っていた。それが専大サポーターにも感じられ、「負けて降格するのではないか」という不安が試合前まで漂っていた。
ところが実際にゲームが始まると、主導権は完全に専大が握った。それはカテゴリーの違いを感じさせる内容で関東は専大に完敗。翌週の入替戦でも関東は中央に完敗した。一方、専大もリーグ戦の入替戦に出場したが、東洋相手に完勝。
要は2018年のシーズンはプレミア、ジュニアともカテゴリーが上がったため、どうしても相手の強さに目が奪われて弱くなったような錯覚に陥っていたが、実は進歩していたのである。それを確認できたのがジュニアとリーグ戦、二つの入替戦だった。

今年も同じことが言えると思う。
確実に進歩している。それは大東戦や日大戦を見れば明らかだ。が、まだ最上位には通用はしなかった。それだけのことだ。
目標だった大学選手権出場はなくなった。だが、まだまだ戦いは続く。とくに今季、初めて手に入れていながら試合ができなかった春季大会Bグループに、来季も絶対に属さなければならない。そのための重要な試合がこれから三つ続く。
下を向いている場合ではないし、その必要もない。
あくまでポジティブに戦えば結果は自ずとついてくる。

1995年、ワールドカップでジャパンはニュージーランドに145失点という記録的な惨敗をした。が、この試合直後に南アの地で一部の選手たちが熱いミーティングをしてジャパンの将来について語り合った。
うちの一人は、次のワールドカップ出場を心に誓い、四年後、見事にその願いを叶えた。その人こそ現在の専修大学ラグビー部監督である。


【関東大学リーグ戦 1部 第2節 vs関東学院大学】
10月11日(日) セナリオハウスフィールド三郷 13:00KO(無観客)

1.檀野 友多郎
2.小栗 冬雅
3.栗山 塁
4.小笠原 颯
5.久次米 航希
6.折居 慎斗
7.春口 陽
8.原 健将
9.友池 瞭汰
10.森野 幹太
11.水野 晋輔
12.夏井 大樹(C)
13.平山 壮太
14.花田 悠太朗
15.飯塚 稜介
16.山口 和明
17.米沢 豪真
18.松尾 龍之介
19.西尾 開登
20.山下 拓真
21.宮坂 航生
22.松尾 東一郎
23.水野 景介

この試合はJSPORTSオンデマンドでライブ配信されます。

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