砂原浩太朗について
ここのところ、たまたま手に取る機会があり、3冊続けて一気に読了したのが、砂原浩太朗の小説である。
僕のように、藤沢周平の作品が好きな人間にとっては、藤沢作品と同じような匂いがするところにまずは大いに親近感を覚える。
特に、『高瀬庄左衛門御留書』『黛家の兄弟』の神山藩シリーズは、まるで藤沢作品の海坂藩シリーズのオマージュのようですらある。その神山藩シリーズの最新作、『霜月記』も近々発売されるとのことで、楽しみである。
藤沢周平は、時代劇を書きながら、実は現代小説を書いていたのだと思う。わかりにくい話をするようだが、時代設定は江戸時代であったとしても、そこに描かれている登場人物の生きざまは、現代の我々に通じるものがあるからである。海坂藩に仕える武士たちは、我々サラリーマンと同じようなことに悩んだり苦しんだりしている。だからこそ、我々は藤沢の小説を読んで、大昔のつくり話ではあったとしても、作品中の登場人物たちに共感することができる。
砂原浩太朗の3作品を読んでみて、まったく同じことを感じた。つまるところ、彼の作品はサラリーマン小説なのである。
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