完全脱力の時
骨格通りの顔
父が亡くなった時のこと
息を引き取りこの世から解放された時
私にできる事はもうないが
もどって来るんじゃないかと
さする手が動く
今際の際に間に合わなかった母
夫でもある父
対面する二人を思い
安らかな男前にと触れる手に意思がのる
完全脱力された顔
力みのない筋肉
骨格に沿い触れていく
こけた頬をいたわり触れる
刻まれたシワは深い
ねぎらい触れる
ありがとう
骨格に沿った顔
本来の
父の顔がそこにある
それは穏やかでもあり
今にも微笑みかけてきそうな
なんとも
幸せそうな顔だった
そう
幸せな顔
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