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【プロに聞く】『ぶっちゃけ自動車株ってどうなんですか?』前編

*今回の記事はニュースレター「モビイマ!」の特別企画「モビトーーク」を転載した記事になります。週2回、クルマの最新ニュースとおすすめ本/レポ+特別企画を無料で配信するニュースレター。今回の記事、後編も無料配信します。興味を持たれた方はこの機会にぜひご登録を

ご安全に!

やっている投資は積み立てNISAとどうぶつの森だけ、株のことはさっぱりわからないカッパッパです。(嫁さん任せ)

自動車業界のことはわかる…でも投資対象としてテスラやらNIOやらすごい話題なんだけど、自動車株ってどういった位置づけにあるのか、さっぱりわからない!

そこで「ぶっちゃけ自動車株(米国株)ってどうなんですか?」と自動車株を中心に投資全般のことについて、プロの投資家であるYSさんにお聞きしました。

カッパッパのように株なんかさっぱりわからない方でもわかる、また、すでに投資をされている方にも非常に役立つ対談になりました。読めば自動車株に投資したくなる?!

前後編、2回に分けてお送りします。

今回お招きした方

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1.米国株式市場における自動車株の位置づけ

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カッパ:本日は対談企画に賛同いただき、ありがとうございます。先日、ニュースレター繋がりでYSさんと対談する機会があり、話が上手、内容もすごく楽しかったので、ニュースレター、有料購読させていただきました。

YS:有料購読、ありがとうございます。

カッパ:YSさんのニュースレター、すごく勉強になりました。これまでやっている投資は積み立てNISAだけ、ほとんど株の知識なんてなかったんですが、ど素人にもわかりやすく、俄然、興味がわいてきました。自分は自動車業界のニュースについては知っているものの、株や投資についてはさっぱりです。今回は主に米国市場に投資され、プロの投資家であるYSさんに、イチから自動車株、そして投資そのものについてお聞きしたいと思い、対談を申し込ませていただきました。初心者なので基本的なところからになると思いますが、よろしくお願いします。

YS:こちらこそ、お願いします。

カッパ:では最初に米国市場における自動車株の位置づけに教えていただきたいんですが。YSさんのニュースレターを読んで初めて米国市場でセクターという分類があることを知ったんですが、自動車ってどこのセクターに分類されるんですか?

セクター:米国株において、産業によって分類される全部で11のカテゴリ。同じセクターの銘柄は、株価が似たような値動きをしやすい傾向にある

YS:自動車株は一般消費財セクターに含まれますね。この「Finviz」というサイトを見てほしいんですが。

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カッパ:おぉ、Twitterでよく見る画像だ。赤いと下がっていて、緑だと上がっているんですすよね。

YS:このサイトだと、CONSUMER CYCULICALに自動車株はありますシクリカル銘柄といって、景気が上向きの時に上がる、例えば多く物を買ったり、ちょっとお財布の紐が緩んだときに上がってくる、景気にすごく敏感な銘柄。他にはAmazonも同じセクターです。このサイトはS&P500の時価総額、株価X発行枚数を表していて、四角が大きいほど時価総額が大きい銘柄です。S&P500に採用されている自動車メーカーは3社、テスラ、GM、Fordです。ここで見るとテスラ、GMの時価総額の70倍ですね。

S&P500: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表している米国の代表的な株価指数。ニューヨーク証券取引所、NASDAQ等に上場している企業から代表的な500銘柄を時価総額で加重平均し、指数化したもの。

2.テスラ株ってどうなの?

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カッパ:では次にテスラについて教えてください。やっぱり今、自動車株といえば、テスラ。かなり取り引き額が大きいのは知っていて、普通の自動車メーカーとは全然違うのではないかと思っています。自動車メーカー,製造業なので、営業利益率が低い。IT関連に比べると非常に低い。

YS:はい、上がりが低いですね。

カッパ:今トヨタで営業利益率8%くらい。8%でめっちゃいいって言われる世界。そうしたときに、テスラ、そしてその株価は理解がしにくいなぁと。つい最近の決算は置いておいて、近年までの決算というのはそんなに良くもなかったし、赤字もずっと続いていました。ただ、株価は伸びてきて、実際をどう評価されて株価に反映されてきたのかわからない。売り上げも実際はトヨタと比べれば、少ない。トヨタは売上高30兆近くあって、営業利益だけで2兆超えている。ただテスラの方が株価時価総額はめっちゃ高い、トヨタの2倍。どう考えるというか、どういうふうに見たらいいのかよくわからないんです。

YS:僕らが得ている情報の中で考えて、僕はもうテスラを自動車製造会社とは思ってないですね。

カッパ:やっぱりそうですよね。

YS:「車は一応作ってます」という捉え方、僕はテスラがやりたいことは、交通面を完全に支配したいのかなっていう目線で見てるんですよ。例えば同じシクリカル銘柄の中だと、Amazon。顧客が物を買うっていうのを便利にして、起爆剤になったのが、即日配達。それをきっかけにAmazonですごく爆発的成長していきました。テスラが今後やりたいのは、車を使って人の移動をのプラットフォームを作っていきたいんじゃないかなとすごく感じるんですよ。それこそ、今テスラ、イーロン・マスクがやってる地下トンネルを作ることや、スペースX開発して、衛星を大気圏ギリギリのところまで打ち上げて、アフリカなどインフラ整備が全く整えないようなところでも衛星を使って、その交通面の部分をすごくフラット化していく。またトラックの方でも将来的に行動範囲を広げていく。今、その環境ができるかっていうと、各国の法、法規制等々もあって難しい。またその環境を作り上げるためのネットワークのスピードであったり、セキュリティ面であったりとかまだまだ不確定なところはあるにしても、将来的に移動のプラットフォームを作っていくことを目指していってる。そのことででテスラが独り歩きしてるんじゃないかなと思ってるんですよ。

カッパ:その感覚はすごいわかってわかります。自動車メーカーというよりは、IT関連に近い、自動車メーカーではないんですよね、本当に感覚として。

YS:そうですね。僕もそう見てます。自動車はあくまでも通過地点みたいな感じで、まだ他にもいろいろある中でその中で一番最初に取り掛かったのが、自動車だったみたいなところなのかなあっていう。

カッパ:自動車作りのスタンスも全然違うんですよね。自動車メーカーって基本良い自動車作って終わりなんですが、テスラは全然発想が違う。株価に関しても、そういった点も織り込んでいるからなのかと今思いました。

3.株価=ビール??

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YS:株価ってビールのようなものなんです。ビールって注いでいくと、黄色の部分と泡の部分に分かれますよね。泡の部分ってほっておくとじわぁとなくなっていく。結局、ビールの本来入れた量が少量でも、最初にバーッと入れていくと泡がもうコップ一杯もう満たすような感じで入ってる。

株価もビールと一緒。テスラ、イーロン・マスクさんのパフォーマンスもあって、テスラは今後こういうふうなことを目指していきますと言いますよね。あれだけの株価だし、お金がジャブジャブでも入っていく。ワーッと泡の立ったビールのような状態,高い株価になる。でも、泡だったビールの状態になると泡ってだんだん減っていくので、ここで株価がだんだんちょっとずつ下がっていく。そして、またビールを注ぎながら、泡が立つ。それの繰り返しなんですよ。

カッパ:なるほど。

YS:ちょっとずつビールが足されて、黄色い部分は上がってはいる。けれども、全体的な評価を見たら、テスラが言った「こんなことがしたいです」に対して、今どこまでできてるのっていう黄色の部分はある。ただ、「ここまでこんなことをやってきたから」、「この企業買収したり、将来こういうふうなことをやるんだ」というビールの泡の部分が増えたり減ったりしているのが多いんで、株価がすごい乱高下してるんじゃないかなとは思うんですよ。

カッパ:その例え、すごいわかりやすいですね。あと、テスラですごいなと思うのは、今このビールの泡が乗ってる高い株価をうまく利用して、お金がたくさんあるから、それを投資に回してしまおうの部分ですね。

YS:そう、そこなんですよ。すごいうまいなと思いますね。そこは完全にもうGAFAと考え方が全く一緒ですね。Amazonはもうその戦略で軌道に乗って、株が勝ち上がった会社なので、もうその点はは、すごい真似てるなっていうのは思いますね。

カッパ:そういった戦略の自動車メーカーってこれまでなかったんですよ。製品云々の話は一旦置いておいて、その思想、今やろうとしてるその経営戦略はすごく上手いなと思っていて、結局そういうところが株価にもどんどん反映されているっていうことですね。

YS:うん、そうです。

カッパ:自動車という製品がビールの黄色の部分で、そこそこ入ってると思うんですけど、実際それがどのあたりで、残りがどれだけ泡なのかはよくわからない。けど、結局伸びてるんで、ビールたくさん入ってるように見えるんですよね。

YS:正直、黄色い部分と泡の部分の付け根は、チャートの出来高で推測する以外方法はないんですよ。株を見る際に出来高を見ます。出来高は株の売買の数なんですね。例えばテスラが欲しいですって人が100人いましたと。逆にテスラもういらないですというと100人いたら、出来高は200なんです。200人の人がテスラに対して、何かしらのアクションを起こした出来高とそれに対するチャートの動き。こうした出来高見るときって、基本、日足という1日にして見ていくんです。この日足を見て、出来高の大きさ、チャートの上がり具合で、一般個人が作り上げたチャートじゃない、機関投資家、国、ヘッジファンド、大口の個人投資家が大きく仕掛けたな、おそらくこういう人たちが入れたのかなっていうのは、ある程度慣れてくると感覚でわかってくるんですよ。

何か確証もないんですけど、なんとなく見えてわかって、じゃあどこが仕掛けたんだろうっていうのを探していく。実は結構Twitterでぽろぽろ出てくるんです。例えば、アークインベストメントっていう結構攻めの銘柄を扱うような会社がTwitterでここを買ってここ、売ったみたいなこうツイートしてくれる。やっぱりここで買ったよねっていうのはそこで確認ができるんです。

今回の出来高はここが入れたから、こういうふうに上がったのはわかる。でもなんで今ここで買ったんだろうと考える。結局早く情報入ってくるのはヘッジファンドなんですよ。何日か経った後に、僕ら一般人に対して、一般ニュース、速報で流れてくるんですが、そういう速報は結構株価の中には既に織り込み済み。

ヘッジファンドの人たちが大きく入れたっていうのは、ビールの黄色部分を上げた数値にしてもいいのかなって個人的には思っていて、そこからの変化は泡の部分、一つの変化とかニュースとかに対して、周りの人間がどれぐらいその銘柄に対する入れるのかは泡の部分だとおもうんですよね。

カッパ:なるほど!

YS:その中でもが何が正なのかは難しいです。逆にだましのパターンもあるんですよ。だましというのは、ヘッジファンドの人たちが、確かに最初にこのニュースを受けて、こんだけ入れたけれども、あれこれ先行きってよくないぞっていうのが後々ににわかってくる。そして、急にポンと売ったりする。ポンと売るときは、ヘッジファンドの人たち一気に株を売ることができないんですよ。なぜかというと、金融っていうのはある一定のバランスのもとで成り立っているので、大きい金額を市場に対して投じているヘッジファンドが、いきなり大きく売っちゃうと、逆に売りが売りを呼んだんじゃってバランスを崩れちゃう可能性があるんですよね。そのアンバランスを防ぐために、ルールが決まっていて、ヘッジファンドの人たちは少しずつ売っていくんですよ。買うときはパーと買って、売るときは25%変えました、次に15%など徐々に減らして最後にドーンと減らすんです。25%、25%、50%みたいな感じ減らしていくんです。この減らし方が、果たしてこれはヘッジファンドの人たちが売ったものなのか、それとも個人として狼狽して売ったものか、はたまたあのTwitter上やSNSのコミュニティである有名な人が呟いたからこれは売れなければいけない、私も売る僕も売るという個人が果たして作り上げたものなのか。これも一概にわからなくて、あくまでもあの全員共通で見れるのは一つのチャートに過ぎないんですよ。僕たち投資家はチャートからそこの情報を読み取って、売買をするのが株式投資のメインなんですね。

元の話に戻って、なぜテスラが乱高下が激しいかっていうと、テスラがそれだけ注目を浴びることによって、いろんな事象が一つのチャートから発生している。一つの銘柄が乱高下しやすい原因の一つじゃないかなと思います。

カッパ:なるほど。ありがとうございます。テスラが動きが激しい理由はそういったいろんなところの思惑、ヘッジファンドもたくさん入って出来高も多いから、値動きが激しいということなんですね。

YS: はいそうです。おっしゃる通りです

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前編はここまで。

自動車株全般、そしてテスラ、株の値動き全般。ど素人のカッパッパでもわかる、投資初心者はもちろん、現在投資されている方にも非常に役立つ情報になったのではないでしょうか。

後編では話題のNIOやSPAC上場企業、そして自分の専門分野で株式をするときの強みについて語ります。次週発信、乞うご期待です!

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