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『自分を知る』~どういうこと?No.2~

さて、皆さん、こんにちは。余力がある方は、このページに来られたと思いますが、凄いです。ここまで、読んでくださるという方は、よほどの何かがおありなのでしょう。

では、その続きにいかせていただきます。


私の町に先生を呼んだ張本人が、この県の主催者であり、その主催者の方の自宅で「アイの会」は開催されていた。

その主催者は、立派な分譲マンションに住み、出してくれるコーヒーカップが『高級』を絵に描いたようなデザインに、家具や調度品も高そうで、間違いなく「リッチ」という空気の住まいに、私は興奮していた。

実家で出されたことのないカップと紅茶に、手作りパウンドケーキまでご馳走になった。この、ご自宅に行けるだけでも嬉しかった。私とはまるで違う人生を生きて来たであろう、その奥様は、30歳は年上だったと思うし、私の母とは真逆のタイプだった。

私の母は、驚くほど飾らない人で、出しゃばらず、父や家庭を支えていて、外見を着飾らず、自分の服を好んで買うわけではなく、常に子供たちに愛情をそそぎ、いつも笑顔だった。

主催者の奥様は、高そうな家具と調度品に、立てかけている写真には、男前の息子かが、海外かどこかで家族と写っている写真があった。私の人生にはない光景が、そこに映しだされていた。

その主催者が、今度、私も行くことになった、泊まり込みで開催される場所に、参加している方の事を興奮して話していた。

「もうねっ、ほんとに素敵な人に出逢ったのよう~。もう、驚いたぁ!ほんとに素敵なの!今度、参加する時に会えるのよ~!もう、楽しみ~!あの人に出逢えただけでも幸せっ!」

みたいに、珍しく興奮していた。いつもは気取っていて、ちょっと鼻につくお金持ち特有の意識の高さを感じる方ではあったが、私は、美味しい紅茶かコーヒー、おやつを出してくれただけで、私の中では「いい人・親切な人」に分類されていたので、特に、なんて事はなかったが、あまりに興奮しているので驚いた。

「そんなに興奮するほどの素敵な人がいるのか?男の人?いや、素敵な人って先生のことか?いや、先生に対しては、こんなに興奮して紹介されなかったしな。この歳で素敵な人って、若いイケメンにでも会ったのか?

いや、どうもそんなノリではないしな。この人が興奮するなんてな。そんなに興奮するかぁ?素敵な人って、先生以外にまだ、すごい人がいるとでも言うのか?」

と、非常に疑問だったので、どんな人なのか聞いてみた記憶があるが、そこの詳しいセリフは覚えていない。だが

「会えば、分かるわよ~!もう、ほんっとに素敵な人だから。私、その人に会えるだけでも嬉しい!」

みたいなことを言い、興奮もしていたことを覚えている。

「先生と同じように、さらなる凄い人がいるのだろうか?」

と思ったのだが、私が先生に出逢った時に、先生以上はいないと本能的に感じていたので、この奥様が興奮するほどの人が、どんな人なのか興味があったし、出会ってみたいと思ってもいた。

そして、その日がやって来た。

そこで会場を提供している主催者は、その県の外れにペンションを借りてるらしく、参加者は泊まることも出来る。そのペンションの名前は花の名前で、可愛い名前をつけていた。私はワクワクしていたし、緊張もしていた。

私は先生に会えるのだから、オシャレをして出向いた。だが実際は、ブリブリの女女スタイルで向かった。当時は、今、現在よりだいぶ痩せていて、流行りの薄いサラサラ生地のスカートをはき、正座してムチムチの太ももがあらわにならないように、ハンカチーフなんぞを膝上におく手法を取っていた。

そこにいる参加者は、皆、地味に見えた。

「フッ。この中で私を超えるものはいないな。いや、待てよ。あの人は、まぁまぁ綺麗だな。顔だちが外人みたいだし目が二重だ。こいつ、年は、いってるが、自分を綺麗だと思ってるな。チッ。なんとかせねばな。」

なんてことを思っている私がいた。女性というものは、初対面で、すぐに比較し、勝った負けただのと、ものすごいスピードで自分なりの品定めをし、自分の位置を把握し、誰にでもマウントを取ろうとし、ライバル心を燃やすのである。

もちろん私が、そうなのであった。しかも私の場合の比較は、外見がメインで二重まぶたかどうかが、まず勝敗を左右していた。あとはスタイルの良さだ。

とにかく低レベルの競争と比較を数秒の間でジャッジし、勝手に勝った気になってから、誰に話しかけるかを決めて動く自分がいた。改めて当時の中身を出してはいるが、自分でも驚くゲスっぷりを中身で炸裂していたのが分かる。

こんな驚く中身で参加している自分がいた。
私は、この中でもNo.1だと自負してから、先生が座る席の、ど真ん中を陣取るように席を確保しに行った記憶がある。

先生が到着するのをワクワクドキドキしながら待っていた時に、私の町の主催者が興奮して誰かに駆け寄った。それは恋する乙女の顔であり姿だった。それに驚いた。

間違いなく、以前、話していた「素敵な人」と出逢っているのは間違いないのだが、私が想像していた「素敵な人」が見当たらない。60代の女性を、そのように興奮させるほどの、その「素敵な人」は、さぞかしキラキラしていて、きっと私にもまぶしく映るのであろうと思っていた。

かなりキョロキョロしてみたが、やはり見当たらない。ただ、主催者は誰かと嬉しそうに話している。
あまりに見当たらないので、主催者に話しかけてみた。

「あの、前に言ってた人は、どこに…。」

これは私が話しかけたか、何を言ったかは忘れているが、アイの会で知り合った友人と話しているであろうと思っていた、その友人に見える、その人こそ主催者にとっての「素敵な人」だったのである。

それは、普通の女性だった。
私は、非常に驚いた。

まず、普通だったし女性だったからだ。驚きすぎて、すぐに言葉が出ずに

「ど、どこが…。」

と、思わず言いそうになると、その主催者は

「ねぇ~!この方よ~。もう~、会いたかった人は~!💕」

興奮していた主催者を見て、私は引いていた。
そして私は、その「素敵な人」をガン見していた。

「この人が?どこが?スタイルは、まぁまぁだし、目も一重まぶたじゃないか。薄っぺらく見えるが、どこが素敵なんだ?私の目がおかしいのか?どう見ても、先生とは比べものにならんが、この主催者は、まさか先生より、この人のほうに魅力を感じているのではなかろうな?

一体、どういうことなんだ?私が感じきれてないのか?でも、さっぱり分からないぞ。何も感じないぞ!主催者は、一体、この平凡な女性のどこに何を感じているんだ?」

であった。だいたいが、失礼極まりない判断をしていた。まず二重まぶたを重要視し、太っていないか、スタイルがいいかが先にきて、ジャッジしているのだ。幼稚園児でもしない。最悪な判断と狭すぎる視点。おそまつな自分がそこにいた。

外見のコンプレックスが長く続くと、ここまで、おかしい思考回路になるのだ。

ただ、非常に驚いていると、その主催者が興奮しながら、そして、その女性の素晴らしさを伝えるかのように私に紹介した。

「この方はね。嫉妬がないのよ~。今まで嫉妬した事がないんですってー!ねぇ、凄いでしょう?」

である。

「はぁーーーーーっっっ???」
( ゚Д゚)( ゚Д゚)( ゚Д゚)‼

一瞬、思考が止まるという経験を初めてしたので、この衝撃は、よく覚えている。頭の中が、こんがらがっていた。

「どういうことなんだ???嫉妬って、人間に当たり前にある、すでに備わってる感情じゃないのか?嫉妬がないなんて人間がいるか?そんなの人間じゃないじゃないか!嫉妬がないなんて、そんな事ができる人間がいるのか?この人、人間なのか?いや、人間じゃないだろう?なんなんだ、この人はっ!」

だった。主催者は、嫉妬がないことを凄いことだと言い、惚れ惚れしているように見ていたが、私は少し気持ち悪さと、感情の中に常に渦巻く『嫉妬』というものが、ない人がいることに、とにかく驚いた。

「なんなんだ、ここは!どういう人間が集まっているんだ?嫉妬がないなんて人間じゃないじゃないか!そんなことがありえるのか?でも確かに、この人、嫉妬を経験したようにも見えない。嘘でもないらしい。

なんなんだ、こいつは!なんか、ポーっとしやがって。なんだかフワフワしてるようにも見えるし、なんか、よう分からん表情をするやつだな!人間じゃないみたいだ。人間の匂いがしないというか、一体、なんなんだ、コイツはっ!」

人間というのは、理解できないものと遭遇すると、このように攻撃していくことも、今になると、よく分かる。理解できないのと、今まで認識していた誰にでもある『感情』というものが、生まれつき備わっていると思っていたが、そうではないという人間に初めて出会ったのだった。

それは異様だったし、不思議というより奇妙で理解しがたかった。その女性は、いつも空(くう)を見ているようだったし、とにかく、よく分からなかった。初めて、私が把握できない存在に見えた。

『感情』とは、当たり前に誰もが持つものだと思っていたが、そうではないのか?持っていない人がいるってことは、では『感情』とは何なのか。そして私は、なぜ、感情があるのか。

「なんなんだ?一体、どういうことなんだ?この人、なんなんだ?」

これが、その女性への第一印象であり、感情への疑問と不思議。そして、そこにいる人達の、なんだか分からないが、居心地が決して良くない、心が乱れる、とても落ち着かないエネルギーを感じたのである。

普通の人間に見えるのだが、明らかに私に意識があるのに、近づいてくるわけでもなく、受け入れるわけでもなく、完全なるアウェイ感があり「よそ者が来た!」をビシビシ感じる空気の中で、私は先生が到着するのをひたすら待ったのである。

ここから、この異様な空気を感じながら、針のむしろのような空間に、私は入っていくことになる。今、思い出しても、当時の異様な感覚や、ずっと拒絶されているような空気というものを、初めて肌で感じた。

それは生まれた町や、今まで出会った、色んな人達とは、まるで様子が違っていたし、今まで感じたことのない視線を感じていた。とても居づらく、気が休まらない感覚があった。

それでも私は、先生に会いたかった。先生だけが全てだった。それが何なのかも、なぜかも分からなかったが、先生にだけは、会いたかったのだ。

息が詰まりそうな空間ではあったが、それはもちろん、私のせいであり、そんな自分であることにも、まるで気づいていなかった。居心地の悪さは私も発信していたし、彼らもイヤだったに違いないのだ。そんな中で、私の「アイの会」が始まる。

今回は、このへんで終わりに致します。
ここまで、遊びに来てくださり、ありがとうございました。

それではまた、記憶をたどりながら、『自分を知る』をお伝えしていきたいと思っています。

それでは、また。

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