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さようなら、私の青春。さようなら、ムーンライトながら。

あなたは、青春18きっぷ、ご存知ですか?

12、000円ほどで、日本全国のJR路線に5日間乗り放題という、魔法の切符です。これだけ聞くと、全国いけるの⁉️めちゃくちゃ安いじゃん⁉️なんで皆これを使わないの?と思いますよね。
その理由は、切符の利用ハードルを上げる、2つの縛りがあるからです。

1.時期限定
この切符は学生の長期休暇の時期に合わせて、春、夏、冬の3回しか発売されない切符なのです。まあ通年発売していれば、採算取れないと思いますしね。

2.普通、快速列車オンリー
この切符はJR全線乗れるんですが、そう!新幹線や、特急列車には乗れません。各駅停車か快速のみです。

この縛りに加え、使い方がよくわからないとか、時間がないとか、乗り継ぎのスケジュール決めるのが大変という理由で使ったことのない人もいるようですね。

安いけど、とにかく時間のかかる旅。しかし、縛りの中で最大限遠くまで行けるスケジュールを組み、遠くの知らない街までたどり着けた時には、達成感でいっぱいになる。そんな楽しさがあるのが青春18きっぷです。

そんな青春18きっぷの救世主として君臨していたのが、本日廃止が発表された「ムーンライトながら」です。

ムーンライトながらは、東京を23時台に発車し、岐阜県の大垣に翌日朝5時くらいに到着する列車でした。俗にいう夜行列車です。
この電車は「快速」という分類の電車なので、指定席料金として510円の追加料金を払えば、青春18切符でも乗ることができるんです。首都圏から西を目指す18切符ユーザーにとっては、寝ている間に遠くまでいける、とてもありがたい列車だったんですよね。

ここまで読んで、さぞ安くて便利な夜行列車のようにお感じかもしれませんが、実態はなかなかのカオスっぷりでした。今日はそんなムーンライトながら、その兄弟であり先に廃止されたムーンライトえちごに乗車した際の思い出を綴っていきます。

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※そしてこの電車はかつてのムーンライト信州です。ややこしくてすみません

まっ…眩しい…

ムーンライトシリーズは、夜行列車です。しかし、普通の特急列車を使って走るので、座席は古い特急列車のイスです。リクライニングがほんのちょっっっっとだけ傾いてくれますが、フラットな状態では眠れません。乗り心地は「格安高速バス」です。確かに安いし、その辺は大目に見てあげたいのですが、1点だけどうしても気になるのが…

「ライトつけっぱなしで走る」こと。

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単純に眩しいです。これじゃあ車内は昼です。無理です。初めて乗った時はほぼ眠れませんでした。周りを見渡すと、みんなアイマスクして寝ています。
そうか。皆同じ後悔をしたことがあるんだな…。

私も2回目からはアイマスクを持参しました。
ついでに3回目からはお酒を飲んで強制シャットダウンする術を身につけました。

なんか臭う

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お安い快速列車なので、乗客の方も若い学生だったり、外国人だったり、年齢不詳の怪しい人も乗っています。カオスな人種の香りが混ざり合い、なんとも言えない臭いがします。あと、私と同じくお酒を飲んでシャットダウンする人もいるので、お酒の匂いもするし、おそらく香りに敏感な人は苦手でしょう。私も匂いが気になったので3回目以降はマスクもしていました。

乗ると絶対何かが起こる

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前述の通り、お安いせいか治安があまり良くないです。乗ると何かしらのハプニングが発生します。
ゆさゆさと外国人に起こされ、「殺される…!」と思ったら「この切符で大垣まで行けますか」と質問されたり(行けるよ、大丈夫だよ、わざわざ私を起こしたのは何故)
女性が「もう嫌〜〜〜!!!うわーーー」とデッキで大泣きしていたり。寝ているおじさんのカツラが通路に落ちていたり(これは治安関係ない)。
また、ムーンライトえちご(東京〜新潟まで行く)は女性専用車両があったのですが、そこに酔っ払ったおじさん2名が乱入。「席空いていないなぁ!なんだ女の子しかいねーな!」と大騒ぎして、車掌さんにつまみ出される…といったことも起こります。

それでも好きだったよ

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乗り心地は快適とは言えないけれど、ハプニング込みで、非日常感が味わえる楽しい列車でした。
近年、徐々に運転本数が減って居たのですが、ついに廃止が発表されてしまいましたね。寂しい限りですが、これも時代の流れですかね。
速さが求められる時代になり、ゆっくり各駅停車で移動…なんて効率が悪いと思われるかもしれませんが、各駅停車ならではの出会い(おばあちゃんに漬物もらったり、おじいちゃんにサンドイッチ貰ったり)があったりして、余分な時間がある分、余分な楽しみも発生していたんですよね。皆さんも情勢が落ち着いたら、各駅停車でゆっくり車窓の風景を楽しむ旅もいかがでしょうか。

こんなことを言いながら、最近の私は身体が疲れちゃって、仕事に支障が出るので、長時間の電車旅は全然しなくなりました。長い距離の移動の際は新幹線乗っちゃいますし、特急乗っちゃいます。贅沢な大人になったものです。ムーンライト号とともに、私の青春も終わりを迎えたのでしょう。

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